Posted on 2021年8月31日(火) 08:00
コラム
今こそ栃木の自然を楽しもう
弊社のすぐ横を用水路が流れている。川幅10m以上あり所在地の地名にもなっている川なのだが、そこに蛍がいると聞いて今年6月初旬に行ってみた。事業所から川沿いに徒歩で2~300m下流へ。いる、いる、独特のはかない光点が川面と草むらを飛び交っている。蛍はその生態から環境にとても敏感な生き物で激減している、そのゲンジボタルがこんなに近くで見られることに感動した。
僕は早速知人に知らせて回ったのだが、ご近所さんから逆に「毎年の事なのに、今まで知らなかった?」と驚かれてしまった。
僕は40年以上現在の場所で仕事してきたのに、恥ずかしい限りだ。
SDGsの目標に「14海の豊かさを守ろう」「15陸の豊かさを守ろう」がある。川は陸を潤し陸の生命を育み、やがて海へ注ぎ海を豊かにする。自社の事業活動を持続可能な社会へのお役立ちという観点から再定義する上で身の回りの自然環境を知り影響を考えることは、大切な第一歩だと思う。以前から現像廃液を出さないシステムに変えたり、周辺の清掃などして環境保全に努めてきたが、今後は蛍の住める環境維持に積極的に役立ちたいと思った。
我が栃木県は、周辺に山と森林、真ん中に大きな川、あいだに田んぼが広がる実に自然豊かな地だ。企業がこの豊かな自然環境にダメージを与えないだけでなく、良い方向へ向け積極的にかかわって行くためには、まず足元の自然に関心を持ち「知る」ことが第一歩だ。
たまには図鑑を片手に、会社や家の周りを皮切りに野山を散歩してみてはどうだろう。お馴染みの景色も、自動車に乗っていては見逃していた違ったものが見えてくるだろう。
食物連鎖のトップに君臨する人類から見れば、たかがちっぽけな虫や野草かもしれないが環境は多様な生き物の連鎖、動的平衡の上に成り立っている。ウイルスだって進化の上では重要な役割を持っている。たまには虫目線でみてみれば世界が自分たちだけではないことを知らされるに違いない。
緊急事態で県境を超えた移動が制限される今こそ、身近な自然を楽しみつつ「知る」チャンスかもしれない。
[文責]小山研一
県北支部 (有)赤札堂印刷所
Posted on 2021年7月31日(土) 12:00
発行日:2021年 7月31日
発行者:栃木県中小企業家同友会
〒321-0968 栃木県宇都宮市中今泉2-3-13
TEL 028-612-3826 FAX 028-612-3827
E-mail:t-doyu@ninus.ocn.ne.jp
URL:http://www.tochigi.doyu.jp/
企画編集:広報委員会 印刷:有限会社 赤札堂印刷所
※左の画像をクリックするとPDF版がご覧いただけます。
Posted on 2021年7月31日(土) 11:00
News Topic 01 栃木のNEWS
~県南支部6月例会~
『「中小企業は今の半分以下に」 By アトキンソン&現政権?
今夜はこれをつまみ(題材)にZOOMしてみます!座談会 』
「たわけ者」の語源をご存知だろうか?「田分け者」の意で子孫に田の分割相続を繰り返すと極小化され生産性の無い田が無数に出来てしまう。そんな事をするのは愚か者という事だそうだ。…6月23日(水)の県南支部例会はこんな雑談から始まった。
今回の例会テーマは 『「中小企業は今の半分以下に」By アトキンソン&現政権?今夜はこれをつまみ(題材)にZOOMしてみます!座談会 』。
企画&進行を担当した福田忠史氏(保険業)の実験的な意図もありZOOM・リモート環境の強みを最大限に活かした例会構成で、アトキンソン氏出演の経済番組などのコンテンツを視聴した後に議論が進行する形式。参加者はまるで経済番組にリモート出演しているかの如くであった。
そもそもデービット・アトキンソン氏とは米国金融業界出身、日本の宮大工会社の社長を承継し、現在は政府の成長戦略会議に参加している人物。主張を要約すると「日本は人口減少と少子高齢化により社会保障の持続性が困難化する。解決には企業の生産性向上が必須だが過剰に多い中小企業が大きな阻害要因。最低賃金引き上げにより経営力のない中小企業を淘汰・統合するべき」といった感じになる。
参加者からは「本当に中小企業を半分にしたら雇用の受け皿が足りずに失業者で溢れてしまうのでは?」という意見が多くでた。
しかしアトキンソン氏の主張してきた施策が着々と現実に実行されている事実も示された。
補助金を見れば生産性をあげようと努力する企業を支援しようとする政府の姿勢は明らかだ。保険業界では個人代理店は現実的に営業継続が困難となる法改正が行われ統合が進んでいる。昨夜には折しも最低賃金の議論再開の報道もあった。
政府が「田分けが行き過ぎた低生産性状態」を是正しようとしているのは間違いない。そしてそれは現在進行中である。
あなたの会社も篩(ふるい)にかけられているのだ。
[文責]山嵜俊也
タカマチ産業(株)
Posted on 2021年7月31日(土) 10:00
News Topic 02 栃木のNEWS
~鹿沼・日光支部6月例会~
「身近な個人の悩み事に本業で向かい合う」
6月24日、鹿沼・日光支部6月例会が支部内外から30名の参加者を迎えweb開催されました。
今回の例会は「身近な個人の悩み事に本業で向かい合う!~地域に根ざしたスタッフと共に、お客様の家族の歴史を見守る~」と題して、鹿沼市で創業して63年が経つ住宅建設を主たる業務としている株式会社カクニシビルダーの代表取締役 西村陽一氏に報告を頂きました。
報告の具体的な内容は、街の重要なインフラである住宅が人のライフステージの変化や人口減少によって空き家になり、街が変化することでした。
今回の例会は、西村氏の提案で、報告の最中に質問を受け付けて報告を止めてその質問に答えるというスタイルで行いました。この報告スタイルは鹿沼・日光支部では初めて?のスタイルでした。
が、中々、質問が出なかったので座長の私が質問をし、その質問に西村氏が答え、逆に、西村氏から座長の私に質問があり、私の考えを答えました。私は、鹿沼市内で司法書士、行政書士として土地や建物を介して市民より相続の相談や離婚の相談などを受けて、弁護士などの他のプロフェッショナルにつないだりして市民に寄り添いながらその解決する道を探しています。西村氏は私の視点からの回答を求めたのだと思います。結果的には、西村氏と私の掛け合い報告となりました。
今回の例会の目的は、参加者が「わたくしごと」として認知症、相続、離婚などの人のライフステージの変化や人口減少によって空き家になり、街が壊れることをどのように取り組んでいくか、であり、グループ討論もこの目的に基づいて行いました。
グループ討論の結果を聴いていると、認知症、相続、離婚が街が壊れる要因ではないという視点からの回答があり、多様な視点があることを知りました。参加者一人一人が「わたくしごと」として空き家の対策や街の活気の回復にそれぞれの事業の視点から一つでも取り組んでいって頂ければ今回の例会の目的は達成されると思います。
[文責]浅野知則
浅野知則司法書士・行政書士事務所
Posted on 2021年7月31日(土) 09:00
News Topic 03 栃木のNEWS
~取材記事~
今いる場所で最大の挑戦をする
(株)行廣国際アカデミー 代表取締役 行廣智明氏
5月19日に行われた栃木同友会第36回総会にて行われたパネルディスカッション(コロナ禍の学び、コロナ後の生き方~明日を生き抜くためのパネルディスカッション~)では、一人の持ち時間が短く伝えきれなかった内容もあった。今回はパネラーの一人(株)行廣国際アカデミー代表取締役行廣智明氏に昨年の取り組みを時系列で振り返っていただいた。
【青天の霹靂】

行廣智明氏
2020年3月コロナショックは、栃木市に海外留学生のための日本語学校と外国人技能実習生のための事業協同組合、日光市鬼怒川温泉に国内留学生のための外語観光専門学校を営む行廣氏にとってまさに青天の霹靂だった。海外からの留学生(4月入学者)及び技能実習生の入国が停止されたのである。日本語学校と海外人材紹介事業の売上げは前年対比-71%に落ち込んだ。さらに、鬼怒川温泉の観光専門学校のアルバイト先がすべてなくなり国内留学生80名のアルバイトが一時停止し、生活困窮者が続出した。待望の新入生を向かい入れることができない。しかも学費は払えない。会社の資金繰りは一気に悪化した。
【留学生の暮らしを守る】
行廣氏はすぐに自社の資金確保を行った。緊急融資、持続化給付金、家賃支援補助金等の政府系助成制度を活用した。困窮する留学生には緊急小口資金貸付(社協)の申請を行った。初めは「定住外国人は可能だが、留学生は無理」と融資を断られたが、留学生の暮らしは刻一刻苦しくなっていく、行廣氏は本部へ再三にわたり連絡をとり、最後は直談判を行って何とか留学生の当座の資金を確保することができた。(この取り組みは全国に先んじて行われ、この後、留学生に対する貸付が可能になった。)次は鬼怒川温泉の学生のアルバイト先の確保である。鬼怒川温泉の旅館はどこも厳しかったので、鶴翼の陣形のごとく、鬼怒川温泉~栗橋駅までの東武沿線における人脈ルートを広げて、コロナ禍で売上を伸ばしていた食品工場などに振り分け、学生全員のアルバイト先を確保した。「生徒たちの暮らしを守る」という氏の思いと、彼の思いを知り、力を貸してくれた仲間たちの協力の賜物であった。
【どんな時でも仕事はある】
怒涛の春・夏を乗り切ったが、来期の海外留学生の受け入れは見えてこない。日本語学校としての売り上げは見込めない状況だった。業界内では廃校や身売りが相次いだ。一方、日本国内の外国人労働者の生活や帰国困難者にとっても非常に厳しい状況が続いていた。同社では政府の救済措置である「雇用維持支援制度」を活用して、自社のゲストハウスの空室を無料開放し、全国各地の外国人労働者への救済事業で栃木県への招聘を図った。10月に入り、日光市内の鶏頂山にあるホウレンソウ農事業者の来春の人材不足問題に対して、「雇用維持支援制度」を活用した国内人材マッチング企画を日光市の人材派遣業者と農事業者へ提案した。「国内人材マッチング事業」は試行錯誤の繰り返しだったが実績が徐々に拡大して、約80名の新規労働者の売上を確保し、日本語学校の4月入学生の売上分を補てんした。
【七転び八起き】
2021年1月再度、海外からの留学生と労働者の入国停止により、3月卒業生の入替であった4月入学がさらに10月以降に延期になり再び売上げ減少。一方で鬼怒川温泉の観光専門学校は、三回目の緊急事態宣言により、再び観光客が激減した。しかし、教職員が一丸となって進路支援を行った結果、観光専門学校の第一回卒業生も無事に就職(留学生就職率は全国でも優良)、栃木市の日本語学校も過去最高の就職率と進学率を達成した。
【ここで仕事をつくり、ここで仲間たちと生きる】
2021年6月から事業計画どおりに、鶏頂山への収穫人材の供給が開始された。これにより会社全体としては2021年11月決算に向かい、前年度以上の収益を出す見込みである。2022年にはようやく海外からの留学生や労働者の入国が再開されると、既存の日本語学校及び事業協同組合の事業が回復して、過去最高の売上と収益になる可能性が出てきた。今いる場所から逃げずに、日光市に踏みとどまり、栃木市との事業連携を図った結果、観光業以外の農業という新たな分野を開拓し、国内における人材紹介事業にも進出することで危機の打開を図れた。
行廣氏は「栃木に骨を埋める覚悟ができたことで心の整理がついたことが、今回の危機に向かう力を与えてくれた」と語った。広島出身の行廣氏と大阪出身の奥さんだが、この栃木でさまざまな人と出会い、ここを終の棲家として墓を建てた。「ここで生きる」の一念がこの地域での仲間づくり、ひいては仕事づくりにつながる。「どんな時でも仕事はある」「どんな時でも打つ手はある」その言葉はこの地に住むすべての人へのエールとなった。

ソーシャルディスタンスでの授業
[文責]事務局