『 商い話 』カテゴリーの投稿一覧

No.169_目次

発行日:2024年 6月30日
発行者:栃木県中小企業家同友会
〒321-0968 栃木県宇都宮市中今泉2-3-13
TEL 028-612-3826 FAX 028-612-3827
E-mail:t-doyu@ninus.ocn.ne.jp
URL:https://www.tochigi.doyu.jp/
企画編集:広報委員会 印刷:有限会社 赤札堂印刷所
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No.169_News Topic:栃木のNEWS

News Topic 01 栃木のNEWS
~第39回栃木同友会総会基調報告~

三位一体の活動で明日を拓く

佐藤全氏 写真

佐藤全氏

株式会社 ヴィ・クルー
代表取締役 佐藤 全氏(宮城同友会)
所在地:宮城県白石市斎川字伊具田25-1
創 業:2006年
事業内容:車体整備事業(板金、塗装、電装、リニューアル、クリーニング)リサイクル事業(解体、リサイクルパーツ品販売)、企画営業(デザイン、ディスプレイ事業)、製品開発(設計、企画、販売)

HP:公式サイトはこちら

2024年5月22日、第39回栃木同友会定時総会がライトキューブ宇都宮で行われた。第2部として株式会社ヴィ・クルー代表取締役である佐藤全氏を講師に迎え「経営指針・社員共育・共同求人 三位一体の活動で明日を拓く」と題して同友会活動の学びから実践に関する講演いただいた。

沢山のお話をいただいたが、今回は①自社・自分に対する気づき、②同友会活動を再認識する機会となった2つに絞って書かせていただいた。

①10年ビジョンを対極で考える

現状の対極にある10年ビジョンを考え、ご自身で歩み続け社内で発信し続けてこられた実践をお話してくださった。例えば、自動車について「化石燃料を使い、排気ガスを吐き出し、走れば走るほど地球を汚す」の対極は、「走れば走るほど地球を綺麗にする」のビジョンにむかって社員と共に考え進んでこられた。

2024年現在は、第2章の10年ビジョンを走っているそう。その中でも、中国のEVバスメーカーとEVバス開発を進め移動手段のバスから「走れば走るほど地球を救う車を創る」バスを実現してきたと話す。貨客混載の車を日本で一番はじめに設計され当時車の構造上無理だと言われたことも実現してきた。

また、観光地の駅から駅までの移動手段のバスをエンタメ化し映像を使った観光地プロモーションをするなど「トキつくり」「コトつくり」を目指していくと話す。

佐藤氏は「成功者のように聞こえるかもしれませんが、裏ではその何倍もの失敗を経験してきた」と言い、地道に活動を継続して、いかにして会社を成長させてきたかという内容だった。

私自身、2019年に経営指針をつくる会を受けた後5年になり、日々の仕事におわれているが、10年という第1章を終えたトキに自分・自社のありたい姿を改めて社内でも話しあってみたいと思った。

②同友会活動の三位一体実践を聴く

三位一体とは(第39回定時総会議案書P17から抜粋)から「経営労働委員会では経営指針を学び、社員共育委員会では経営者が社員とともに成長する過程を学び、共同求人委員会では社員を募り若者を学び若者が育つ環境づくりを学びます。」

佐藤氏が新卒採用を続けてこられた経験からのお話だった。「新卒採用について30年前は売上をあげるためにやっていた」が、同友会と出会い委員会活動で学び変わっていくなかで、20年前は新たな組織つくりとして、10年前は新事業準備としてとらえて新卒採用を続けているそうである。

若者を迎えて人を育てないとならない。その一つとしての資格取得(仕事に関係ないどんな資格でもOK)の費用は、コロナ禍でバスの需要がなくなり売上が極端に減少した状況でも会社が全額負担することを続け、成果として一年に一度の経営指針発表会資料へ社長も含め全員が一年間にどんな資格を取得したか一覧でわかるようにする。

地域では人口減少の中、田舎の若者が地元に残って働いてくれるのは奇跡である。その若者たちは地域で消防団に入ったり、青年団に入ったり…など活躍をしてくれ地域でも大切な存在となっていると話す。

私自身、栃木同友会の2024年度活動方針を話し合う会議に出席した一人として、栃木同友会活動方針である「経営の畑を耕し、種まき、根をはる一年~自社と同友会の大いなる実りの為に~」を実践していくために活動することの重要性を考えた。

[文]有限会社芯和
高橋和子

No.169_News Topic:栃木のNEWS

News Topic 02 栃木のNEWS
~県央・県北支部合同例会~

自社をデザインできていますか

令和6年6月4日、県央・県北支部の合同例会「自社をデザインできていますか」(基礎編)が行われた。今回の例会では「デザイン」から経営を考えることをテーマとし、講師を有限会社芯和の代表取締役 青柳匡宣社長が務め、司会は同社常務取締役の高橋和子会員が行った。

青柳社長の講義は、非常にユニークで事例も交えてわかりやすく説明をいただいた。

講義の一つとして、両口玄能(釘等を打ち込むトンカチ)を例としてデザインについて、次のような説明があった。青柳社長より両口玄能を提示され、これは何がデザインされているか問いかけがあったのだが、私には分からなかった。しかし、この両口玄能には、次のようなデザインがされていると解説された。

  • 両口玄能の頭の打撃部分は、左右両端どちらも同じように見えるが、片方は平らになっており、もう片方は円の中心に多少膨らみがある。その理由は、はじめに釘を打ち込む際は、平らな面で打ち、釘を面に打ち込むときには膨らみがある方で叩くためである。
  • 握る柄の部分が楕円の形状をしているが、その理由は、釘の打ち込む際、視覚的な判断に頼らずとも持ち手を容易に変えて適切な打撃面ですぐに叩けるようにするためである。

つまり、デザインとは課題を解決することであり、人工物や商品の形には何らかの意味があり、そこにデザインが施されているのである。

次にインナーブランディングとアウターブランディングについて講義があり、企業にとってブランドとは何か、そしてブランドを作り上げるためには内外のコミュニケーションがいかに重要なのか説明いただいた。

インナーブランディングとは、社員一人ひとりに自社のブランド価値を理解してもらい、共感してもらうための取り組みである。これにより、社員のモチベーションが上がったり、顧客への良いサービスにつながったりする。

アウターブランディングは、顧客や取引先など社外に自社のブランドイメージを伝え、好印象を持ってもらうための取り組みであり、広告やPR活動などがこれに該当する。

インナーブランディングとアウターブランディングは車の両輪のようなもので、バランスよく動かさなければならない。

有限会社芯和は、グラフィックデザイン・Webデザイン・プログラミング・コミュニティ運営・企画など総合的にクライアントのブランディングデザインを行なっており、お客様のデザインをするためにはコンセプトが重要だと話す。このコンセプトは、同友会のテーマである経営指針に該当するのだと感じた。

グループ討論では、自社のデザインについて、討論した。自社のロゴや名刺のデザインの歴史や想いについて各会員が語り、自社の事業ドメインについて改めて考える機会となった。

討論の結果、ブランドとは表面的なイメージだけでなく、会社の内側にある「人」「文化」「価値観」から生まれるものであることを認識することができた。

今回の例会は全3回のシリーズで行われる。デザイン面から経営を考える珍しいテーマであり、次回も楽しみである。初回に参加できなかった会員さんであっても、次回例会も、楽しく参加ができると感じた。

県央・県北支部合同例会開催の様子

[文]サイトウ行政書士事務所
齋藤丈威

No.169_News Topic:栃木のNEWS

News Topic 03 栃木のNEWS
~県南支部例会~

社員一人ひとりの声に耳を傾け、
それに応じた行動を取ることが大切

阿良山輝明氏 写真

阿良山輝明氏

4月17日、小山城南市民交流センター「ゆめまち」で今年度初めての県南支部例会が開催された。県南支部今年度の基本テーマは「皆さんの会社経営に役にたつ」だ。

そうした基本テーマから選出された第1回例会の主題は「社員にとって優しい会社とは」であり、社員獲得と離職防止に焦点を当てた内容だった。

発表者は株式会社アイテムの阿良山社長。アイテム社は、産業機械部品と生産装置を扱うテクニカル総合商社で、同社の事例も紹介された。特筆すべき点は「有休取得改革」で、有休が時間単位で取得可能となり、社員からのポジティブなフィードバックが得られたことだ。

発表後の意見交換会では、参加者から多様な意見が提供され、社員が無理なく休暇を取得できる環境の確立が重要であるとの意見が多く見られた。このような環境は、社員のワークライフバランスの向上に寄与し、職場の生産性向上にも繋がるとされる。また、社内で互いを尊重し支え合う文化の促進が、チームワーク強化とコミュニケーション障壁の低減に効果的であるとの意見も出された。

さらに、社員の個別の悩みやニーズに対する理解と共感が必要であるという意見も強調され、社員それぞれの成長を支援するために定期的なワンオンワンの面談やアンケート実施が推奨された。

この意見交換を通じて、社員にとって優しい会社を築くには、単に福利厚生を充実させるだけでなく、社員一人ひとりの声に耳を傾け、それに応じた行動を取ることが重要であるという共通認識に達した。

この例会は、経営者と社員が共に働きやすい環境を作り上げることの重要性を浮き彫りにし、具体的な学びを多くの参加者に提供した。

最後に、経営者がこれらの知見を活かし、実際に職場改革を進めることが、社員にとって優しい会社への第一歩となるだろうとまとめるに至った。

[文責]有限会社トレンディハウス
野田精一

No.169_コラム

コラム

「騙されないために学ぶ」

同友会の先達、故大久保尚孝氏、元北海道同友会専務理事の言葉に、「騙されないために学ぶ」という言葉がある。なかなかに棘のある言葉だ。なぜ大久保さんはこんな言葉を残したのだろう。ちょっと考えてみる。

伊丹十三をご存知だろうか。40代以下の方はあまりご存じないかもしれないが、むかし、「たんぽぽ」や「マルサの女」で、一斉を風靡した映画監督だ。その父親、映画監督の伊丹万作の著書に「戦争責任者の問題」という本がある。その中に、「だまされるということ自体がすでに一つの悪である」という言葉が出てくる。

知識不足でもだまされる、自分の中に軸がない、モノサシがないことでもだまされる、というのだ。また、禅問答の公案の中に「主人公」というものがある。

あるお寺の住職が、毎朝起きるときに、「主人公」と自分に呼びかけるという話だ。
“主人公”
“はいはい”
“今日も一日だまされるでないぞ”
“はいはい”

ここで言う主人公は自分のことである。では、だますのは誰なのだろう。

一つは他人。もう一つは自分自身。大久保尚孝氏、伊丹万作氏の言葉を住職の問いかけから考えてみる。
“他人が他人をだます。”
“他人が自分をだます。”
“自分が他人をだます。”
“自分が自分をだます。”

これらは、無知と自分の中の軸がないことから生まれる。

内の規範を持つことで、他人に対しても自分自身に対しても責任を持つということになる。内の規範を自分自身の中につくり、自分の行動を変えていく。

そのための手引が同友会の理念だ。手引はあくまでも手引。経営者としての、人間としての自分をつくるのは自分自身。

自分自身にだまされないために、人は一生涯を通して学ぶ。

[文]栃木同友会専務理事
石綱知進

栃木県中小企業家同友会

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