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商い話Vol.76

No.76 新春トピック対談「新4号線工業地帯の可能性」

新春トピック対談「新4号線工業地帯の可能性」

〜 県内製造業に見えはじめた明るい兆し。
県南エリアの発展性から未来像を探る 〜

長く続いた円高基調が解消され、日経平均株価も1万5000円台を回復するなど、明るい兆しが見えてきた日本経済。『商い話』新春号にあたる本号巻頭特集では、山中氏・八木氏の両代表理事を迎えた新春トピック対談を企画。「新4号線工業地帯」という独自に打ち立てたキーワードをもとに、物流・製造業を始めとしたビジネス発展の足がかりと、未来像をひも解きます。

栃木県内の工場立地が堅調のようですが、現状についてお聞かせください。

八木 新聞報道によると昨年の県内の立地件数は36件と前年比2.8倍に、面積は121ヘクタールと11倍に増え、全国順位はともに6位です。

特に県南地域が顕著で、佐野市では「佐野田沼インター産業団地」が造成予定、壬生町では「みぶ羽生田産業団地」が活況です。

当社の事業所がある小山市には現在7カ所の工業団地がありますが、新たに3つが造成を開始しています。

山中 北関東自動車道の全線開通で北関東3県が東西につながった影響が大きいですね。加えて南北を結ぶ大動脈、東北自動車道を強みに、東西南北どの方向にもアクセスできる、理想的なインフラが整ったことになります。

物流の視点でいえば広域幹線道路である国道50号線、新4号線の重要性も高いと思います。

八木 今後開通する圏央道が東北道とつながり、五霞インターができるとガラッと変わると思います。私自身、栃木の県南地域と茨城の県西地域は「新4号線工業地帯」と呼ばれるのではないかと思っています。

栃木同友会事務局で行われた対談の様子

栃木同友会事務局で行われた対談の様子

「新4号線工業地帯」は聞き慣れない言葉ですが、その定義についてお聞かせください。

八木 昨年9月の県例会で、報告者の吉田敬一先生(駒澤大学経済学部教授)の講演「これからの経済情勢と中小企業経営を考える」を聞いたことが発端です。

吉田先生の第一声はこうでした。「東京オリンピックの開催が決まったことで、東京にある工場は継続がますます難しくなった」。その話を聞いて「潮目が変わったな」と直感しました。小山市の工業団地の現状とオーバーラップする形で、県南エリアを中心とした新たなビジネスゾーンが見えてきたというわけです。

平成26年度に開通予定の五霞インターチェンジ(茨城県猿島郡五霞町)ができると、小山市を起点に南北を新4号線が貫く、理想的な物流の円が描けます。

具体的にはどのエリアを指すのですか?

八木 国道50号線と新4号線の立体交差を中心とする半径約20キロの円です。具体的には上三川インター、館林インター、佐野インター、桜川筑西インター、五霞インターの各高速道路のインターまで20数キロ圏内です。円の半分は茨城県にかかることになります(【図1】参照)。

ちなみに、円の一番北が上三川インター、一番南が五霞インターで、その距離は40数キロですが、この距離を東名高速道路に置き換えると「日本橋-厚木間」とほぼ同じです。神奈川県に入ると山間部が増え、トンネルやアップダウンが続くのはご存じの通り。加えて、渋滞も多く発生する東名高速道路と比べると、ほとんど真っ平らな「新4号線工業地帯」は、ビジネス的にかなり利便性が高いと思います。

小山市を中心に半径約20キロの円で描いた「新4号線工業地帯」のイメージ図

【図1】小山市を中心に半径約20キロの円で描いた「新4号線工業地帯」のイメージ図

「新4号線工業地帯」の魅力、メリット、可能性についてお聞かせください。

山中 重雄 代表理事

山中 重雄 代表理事

山中 物流の視点からいえば「走りやすい」のが一番です。例えば、平地である、渋滞が少ないという条件は、定時運送が生命線である運送業にとっては重要です。

同時に、雪が降らない、降っても積もらないという気象条件も大きく影響します。そうした意味でも「新4号線工業地帯」は理想的なエリアだと思います。

また、工業用水をまかなう水系にも恵まれています。利根川、渡良瀬川、鬼怒川などの一級河川が平野部を縦断しています。

八木 ちなみに、この半径約20キロの円をお隣の群馬県に描こうとしても描けません。この価値を利用することによって、今後さらに、栃木県は発展することができると思います。それが「新4号線工業地帯」構想の大きな魅力です。

山中 企業が工場を進出する条件として、「人・物・情報」が集まる拠点であることが重要です。同時に、車輌等の出入りがしやすいなど、アクセスのしやすさも不可欠です。

八木 仁 代表理事

八木 仁 代表理事

八木 山中さんは茨城県のご出身ですが、ご実家はこのエリア内なのですか。

山中 そうです。五霞インターにもほど近い境町に実家があります。車での移動はいつも新4号線を利用しています。以前は宇都宮まで1時間40分ほどかかっていましたが、今は1時間10分程度に短縮されました。

その理由は、車線も増えて道幅もワイドになり、立体交差点が整備されて交差点が少なくなったから。ほぼ真っ直ぐな道なので高速道路並みの道路環境です。現在も各所で整備中なので、これからますます利便性が高まり、時間短縮が図れると思います。

八木 五霞インターが整備されると、また大きく変わりますよね。

山中 東西方向へのアクセスが魅力です。例えば千葉の成田、東京の八王子、神奈川の海老名とのつながりが見えてきました。

この視点を企業の工場進出に置き換えれば、「新4号線工業地帯」の魅力は相当大きいと思います。大きな可能性を秘めたエリアといえるかもしれません。物流が盛んになって「人・物・情報」が集まり、大きな企業が進出してビジネスチャンスが広がることを期待しています。

八木 圏央道は埼玉を横断し、東京の青梅、八王子、神奈川の相模原、厚木など、工業地帯を通る道路です。自動車、住宅、建機などの大手メーカーがあり、今の日本経済を引っ張っている業種ばかりです。五霞インターの開通によって、同エリアの企業とつながる可能性が見えてきましたね。

さらに、それぞれの地域は東京のベッドタウンであり、圏央道と東北道がつながれば、日光や那須等の観光地に多くの人が足を運ぶことになると思います。

発展の可能性を秘めた「新4号線工業地帯」は、栃木同友会の各会員企業とどう関わるのでしょうか。

山中 「新4号線工業地帯」が現実のものとなれば、住宅事情などこのエリアの社会環境は大きく変わるでしょうね。

八木 その通りです。人口が増えることで「暮らし」という大きな枠組みでニーズが掘り起こされ、新たなビジネスが生まれます。進出企業との取り引きばかりでなく、「人・物・情報」の流入によって、さまざまな業種にビジネスチャンスが広がっていくということです。

山中 メリットがあるのは物流や製造業ばかりではないということですね。

八木 そうです。大切なのは、大きな可能性を秘めた「新4号線工業地帯」を軸として、自分たちのビジネスにつながる環境づくりを、それぞれの企業が考えることです。先に触れた通り、これからの中小企業家として進むべき道を考えるとき、吉田先生が示唆した「鳥の目」が必要だと思います。

具体的には、自分たちが経済活動を行う地域の「資源・資産」をいかに掘り起こすかがキモです。「新4号線工業地帯」は「立地・環境」という資源に着目し、導き出したキーワードといえるかもしれません。

そうした捉え方は中小企業家同友会の例会のスタイルとも連動しています。投げかけられたテーマを自社ビジネスにどう置き換えるか、生かせるかがポイントです。「新4号線工業地帯」という新たなキーワードをもとに会員自らが工夫し、応用・発展させることで、新しいビジネスにつなげていきましょう!

(聞き手/広報委員長 鈴木正則)

No.76 「障がい者就労の現場から」

障がい者就労支援部会報告「障がい者就労の現場から」

戦力になる障がい者


株式会社まるつね
(下都賀郡壬生町)

事業内容   :乾物製造・販売業
従業員数   :10名
障がい者雇用数:4名(知的障がい者)

戸崎泰秀会員が代表を務める同社では、かねてより知的障がい者施設より従業員の受け入れを行ってきました。その際、どんな作業が可能かを施設担当者と十分に話し合い、障害の特性から異物の混入除去作業の工程に従事してもらっています。
企業と障がい者本人、福祉施設担当者との良好な関係性の維持が重要で、度々三者間での話し合いの場を設けています。戸崎氏は「各々がウィンウィンであることが重要」と話します。

障がい者雇用による事業の効率は数字にも表れ、雇用前は1カ月間に10件程度の異物混入のクレームがあったが、現在ではほとんどなくなっているとか。品質管理面で重要な異物の混入除去を障がい者本人に任せることにより、他の従業員にも注意喚起意識が高まり、相乗効果が表れたそうです。

「今後も大切な戦力として、彼らの成長を見守り続けたい」という戸崎氏の言葉がとても印象的でした。

(報告/福田雅樹)

No.76 「平成25年度障害者雇用状況」

障がい者就労支援部会報告「平成25年度障害者雇用状況」

雇用障害者数が初の3000人台に

昨年11月に公表された、栃木県の民間企業における平成25年の「障害者雇用状況」集計結果を抜粋してご報告します。

障害者雇用促進法では、事業主に対し、常時雇用する従業員の一定割合(法定雇用率:民間企業の場合は2.0%)以上の障害者を雇うことを義務付けています。

今回の集計結果は同法に基づき、毎年6月1日現在の身体障害者、知的障害者、精神障害者の雇用状況について、栃木労働局が障害者の雇用義務のある栃木県内に本社を置く事業主などに報告を求め、それを集計したものです。なお、法定雇用率は昨年4月1日に改定されています
(民間企業の場合は1.8% → 2.0%)。

民間企業(50人以上規模の企業:法定雇用率2.0%)に雇用されている障害者の数は3165.5人で、前年より9.9%(285.0人)増加と初めて3000人を突破し、9年連続で過去最高となりました。雇用者のうち、身体障害者は2304.5人(対前年比8.7%増)、知的障害者は706.5人(同9.6%増)、精神障害者は154.5人(同34.3%増)といずれも前年より増加し、特に精神障害者の伸び率が大きく増加しています(栃木労働局資料)。全国ランクとして栃木県は、一昨年と同様の41位の低水準になります。

(報告/福田雅樹)

No.76 「第17回 障害者問題全国交流会 in 神奈川」

「第17回 障害者問題全国交流会 in 神奈川」参加報告

パワーに圧倒された熱い交流会

昨年10月24〜25日に横浜で開催された「第17回障害者問題全国交流会」に、栃木県の会員として八木代表理事とともに10名で参加してきました。

「共に働き、育ち合う、その素晴らしさを広げよう! 〜知らないから見える壁、知ることでなくなる壁〜」のスローガンのもと、全国の中小企業の経営者のみなさんが中心となり、障がい者雇用について討論がなされました。参加者は約650名でした。

基調講演は「人を生かせば会社も元気-障がい者とともに歩む戦略」というタイトルで横浜市立大学の景山摩子弥先生の講演で、障がい者の生産性は必ずしも低くないこと、広義の人間関係作りで会社の生産力アップにつながる事例紹介でした。新しい視点の講演内容にびっくりしました。

その後7つの分科会、懇親パーティ、2日目は分科会報告と記念講演、さらに3つのオプションツアーという盛りだくさんの内容でした。

これを機会に、障がい者雇用についてますます関心が深まり、障がい者問題への取り組みが全国各地の経営者に広がっていくことを期待したいと思います。

神奈川のパワーに圧倒された、とても熱い交流会でした。

(報告/障がい者就労支援部会 部会長 金井光一)

栃木県中小企業家同友会

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