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No.175_目次

発行日:2025年 1月1日元旦
発行者:栃木県中小企業家同友会
〒321-0968 栃木県宇都宮市中今泉2-3-13
TEL 028-612-3826 FAX 028-612-3827
E-mail:t-doyu@ninus.ocn.ne.jp
URL:https://www.tochigi.doyu.jp/
企画編集:広報委員会 印刷:有限会社 赤札堂印刷所
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2024年をふりかえって

定時総会まで

斎藤秀樹代表理事 写真

斎藤秀樹代表理事

2024年も年の瀬となった。今年一年のわが国を振り返ると、1月1日に能登半島地震、翌2日に羽田空港での航空機の衝突事故から新年がはじまった。10月1日には石破内閣が発足、10月27日には衆議院選挙がおこなわれ、与党が議席の半数を下回る結果となり、安定した政権運営がむずかしい状態となっている。

われわれ栃木同友会に今年1年をふりかえると、1月の理事会から翌年度理事者も参加した「拡大理事会」がひらかれた。新しい栃木同友会のめざすところや執行部・事務局の体制といったあり方がまとめられ、5月に定時総会が開かれた。

代表理事にわたし斎藤、副代表理事に小岩氏、専務理事に石綱氏が就任した。スローガンとして、「経営の畑を耕し、種まき、根をはる一年」を掲げ、あたらしい体制がスタートする。基調講演では佐藤全氏((株)ヴィ・クルー/宮城同友会)より「地球を救う車を創る 新卒採用で地域の未来を創る」というテーマで自社のあゆみを話していただいた。

定時総会以降

6月からの理事会運営は、栃木同友会の活性化にむけて、理事会の運営方法を変えることからはじまった。いまも一つ一つの課題に取りくんで解決し、全体を再構築している。事務局では長年事務局長をつとめてくれた二階堂氏が退任した。9月から江口好子氏がパート事務局員としてつとめ始め、理事会と共に新しい事務局実務の再構築を続けている。

また、委員会・支部の活動でも今までの活動に加えて、あたらしい試みがはじまっている。

委員会活動は、経営労働委員会では、経営指針分野、社員教育・共同求人分野の2分野の活動が行われた。経営指針をつくる会、経営基礎講座が開催され延べ8名の方が修了している。

社員教育・共同求人分野では合同入社式、フォローアップ研修会をひらき、新卒採用された社員たちが共に学び合う場を継続して設けている。更にあらたな取り組みとして宇都宮大学の学生団体コラベルトと連携したインターンシップ・マッチング会がおこなわれた。

支部活動のひろがり

支部活動においては、県央支部が中心となり、他支部との連携を進めた。また、「インナーブランディング」(会社の内部でブランド意識を高めること)をテーマにした県央支部例会を2回おこない、栃木経営フォーラムに繋げる活動を行っている。経営フォーラムでは、五十嵐久仁子氏(株式会社フロット・宮城同友会)より「自社の『か・だ・い』を知っていますか?」のご報告をいただいた。

各支部の声掛け活動のお陰で、すべての支部から会員が参加。グループ討論では女性会員だけのグループがつくられ、女性同士での討論がはずんでいた。

来年に向けて

12月には、理事者の有志であつまり、来期に向けた戦略会議をおこなった。来期の中心となるテーマはなにかを話しあい、総会と経営フォーラムそして県例会と支部例会の軸にすえて、県全体が各支部・委員会とつながった運営をしていく計画を共有した。

2024年は先を見通すのが難しい1年だったのはみなさんも感じているかと思う。それは、自社も、栃木同友会も同じである。どうすれば継続して経営していけるのか、そのためにはどんな計画が必要か。より深く考えなければならない年になった。来年はより難しい年になることは想像に難くない。

これからはより、世の中でなにが起きているのか、先を見通すことが必要になってくる。言われたことを鵜呑みにするのではなく、情報をあつめ、対話をしてより理解をふかめて経営していく必要がある。

来年には、京都大学の岡田知弘先生をおまねきし、「激動する日本と地域 ~ 中小企業と地域経済~」(仮)をお話しいただく予定である。みなさまの経営の見通しを立てるヒントになれば幸いである。

おわりに

「経営の畑を耕し、種まき、根をはる一年」。

栃木同友会にとって、2024年はその種をまきはじめた年でした。2025年はこの種が芽ぶき、成長する年にしていきましょう。一年間、ありがとうございました。

[文]栃木県中小企業家同友会
代表理事 斎藤秀樹

No.175_News Topic:栃木のNEWS

News Topic 01 栃木のNEWS
~2024年経営フォーラム~

 栃木経営フォーラム
「自社の『か・だ・い』知っていますか?」

シリーズ例会「インナーブランディング」の完結編

五十嵐久仁子氏 写真

五十嵐久仁子氏

2024年11月22日(金)、ミナミテラスとちぎを会場に「自社の『か・だ・い』知っていますか?」と題した経営フォーラムが開催された。

報告者は、株式会社フロット(山形市)の常務取締役・五十嵐久仁子氏。母体となる田宮印刷株式会社は創業117年を数える老舗企業だが、デザイン部門の子会社だったフロットを吸収合併するタイミングで社名を「株式会社フロット」として新たなスタートを切った。その陣頭指揮を執ったのが五十嵐氏である。

印刷業界の衰退に伴い、事業の見直しが急務に

そもそも吸収合併が生じたのは印刷業界の衰退に端を発する。市場縮小に伴い売上減少を見据えた方針転換と戦略策定が急務だった。そこで売上重視から利益重視へ、量から質への転換を図ることになる。

キーワードは「戦略的縮小」で、具体的には、①市場を見据えコンパクト化する事業と強化する事業に分ける、②製品やサービスの付加価値を高める、③ブランド力を上げる、という成長モデルを描くことであった。

そこで取り組んだのが全社一丸となって会社をつくり変える「インナーブランディング」だった。五十嵐さん自身はデザイナー出身で田宮印刷に入社後、デザイン部門を経て執行役員に、フロット設立時は子会社に移籍して取締役を務めている。

同友会的手法で、“真”の答えを導き出す

インナーブランディングと横文字にすると耳障りはいいが、現実はスマートなものではなかった。まず、愛社精神溢れる古参社員から猛反発にあった。「合併でリストラ?」との噂で社内が騒つく。また、クリエイター的なデザイナーと技術者的なオペレーターとの価値観の違いもあり、全社一丸は程遠かった。

五十嵐さんはトライ&エラーを繰り返す中で、ついに見出したのが同友会的手法だったという。同友会の「社員共育」をヒントに全社員を巻き込んだ委員会活動を実践。①つながる委員会(コミュニケーション活性)、②むりむだ委員会(業務効率)、③いごこち委員会(職場環境改善)、④まなぶ委員会(共育)を地道に続けた結果、社員の自主性や相互理解などに一定の効果があった。

その後、インナーブランディングは次なるフェイズへ。真の顧客とは何か、他社にはない強みは何かなどについて検討を重ねた結果、新たな事業分野を導き出し、①中小企業のトータルブランディング、②想いを繋ぐセールスプロモーション、③大学・教育機関の広報支援、④企画力アップコンサルティングの4つのソリューションを立ち上げる。先に触れた戦略的縮小の答えがこれで、現在のフロットの業務の柱を形づくった。

実践編・ブランドステートメントを創る

後半はブランドコンセプト構築の前段階にあたる「ステートメント(声明)」を作成するミニワークがあった。

ワークシートは「1.自社の観察」と「2.文章にする」に分かれ、最初に機能的価値と情緒的価値の両面から自社を観察し、シートの空白を自身の言葉で埋めていくと、自ずと文章化できる仕組みだ。自身の潜在的な声が自動筆記されるようで興味深く、客観的に自社を見直すよい機会となった。

2024年経営フォーラム 開催時の様子

[文]アデラ・コンテンポラリー
鈴木正則

No.175_コラム

コラム

AIつかってますか?

AIって聞くけどなんだかよくわからない。それで先日、U大学で特別講義を受けてきた。そこである業種の例を聞いて驚いた。コアコンピタンス(他社に真似できない核となる能力)と思うような部分が一部AI化されていた。

2022年11月、2年前にchatGPTが出てきた時は「人工無能(チャットボット)の強化版」と思っていたのだが、最近使ってみると、すごく頭が良くなってきている。実際の仕事に取り入れられている様子は衝撃を受けた。知的作業と思っていた人間の受け持ち分野が取って代わられていた。

そうすると、これからの課題はAIをどのように自分で使いこなすかということになってくる。試しにchatGPT(OpenAIのAI)やGemini(GoogleのAI)の無料版をスマホやパソコンでつかってみてほしい。

聞きたいことを相談すれば、ある程度答えてくれるはずだ。2022年時点では答えを捏造していたが、今はそんなことも少なくなってきている。

検索するよりも問題点を絞り込んでくれる。実感しないとわからない世界。説明が難しい。自転車に乗れない人に自転車の乗り方を言葉で説明するようなものなので。

実際に仕事で使ったり、生活上でつかったりするようになると、AIとの付き合い方も考えなければならない。いや、もはやAIさんか。彼? 彼女? とつき合うという考え方を持たなければ危険かもしれない。

われわれの質問や対話がAIさんとの関係性を固定化し、聴く人によって返ってくる答えがかわるようになるかもしれない。新たなるフィルタリング。そのうち、AIさんとのお付き合い講座なるものがでてくるかも。

SF小説の話もバカにできなくなる。ロボ心理学者スーザン・カルヴィンの話(「われはロボット」アイザック・アシモフ著、ロボットの心をあつかう小説)は荒唐無稽な話ではなくなってくる。それよりも、「未来の二つの顔」(ジェイムズ・P・ホーガン著、コンピュータが自我を持ち始める話)の方が近いのか。

そういえば、あの講師の先生は、AIへの質問で敬語を使っていた。

[文]株式会社共立
石綱知進

栃木県中小企業家同友会

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