『 No.162 』カテゴリーの投稿一覧

No.162_目次

発行日:2023年 11月30日
発行者:栃木県中小企業家同友会
〒321-0968 栃木県宇都宮市中今泉2-3-13
TEL 028-612-3826 FAX 028-612-3827
E-mail:t-doyu@ninus.ocn.ne.jp
URL:http://www.tochigi.doyu.jp/
企画編集:広報委員会 印刷:有限会社 赤札堂印刷所
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No.162_News Topic:栃木のNEWS

News Topic 01 栃木のNEWS
~2023栃木同友会経営フォーラム~

自己変革で困難を乗り越え 輝く社員と地域を救え!
~全社員が夢を叶えられる会社へ~

報告者 株式会社 日産サティオ徳島 代表取締役 藤村 泰之氏

藤村泰之氏 写真

藤村泰之氏

2023年11月13日、宇都宮駅東口交流拠点施設ライトキューブ宇都宮にて栃木県中小企業家同友会2023年経営フォーラムが開催された。今年は44名が参加し、6グループに分かれて徳島同友会、株式会社日産サティオ徳島・代表取締役 藤村泰之氏の報告を拝聴した。

藤村氏の会社は新車・中古車の販売、自動車整備、自動車保険の他に障がい者就労支援事業や行政と連携したカーシェアリング事業など地域問題の解決に向けた取り組みを行っている。藤村氏は社長就任時、お金と人に苦しみ、多くのプレッシャーとストレスから不祥事を起こした部門長に強く当たってしまい、社内で孤立、社員を傷つけた事で自己嫌悪に落ち不眠症が発症した。氏は本を乱読し、セミナーに片っ端から参加し、どうすれば良いのかの答えを求めている時に、同友会を知った。そこで「強い思いは必ず実現する」と知り、社長の責務を全うするため行動に移り、同友会に入会し、早速、経営指針実践塾を受講した。

塾では「自己否定からは何も生まれない」「藤村さんは鎧(知識や哲学)を着こんでいて、本当のあなたが全然見えてこない!」など色々な言葉を頂いたという。受け入れられない言葉もあり、理念や姿勢が書けず深夜までサポーターと口論したが、同期の「サポーターの皆さんは1円の対価も貰わず、宿泊費を自己負担して、こんな遅い時間まで、僕たちの為にやってくれている。それなのに、まったく聞き入れない姿勢は、社員に対しても出ているんじゃないですか?」という言葉を受けて、サポーターの言葉を受け入れる事ができた。そして理念や姿勢を確立出来たと氏は語った。実践塾の中間発表では皆さんの感動を得られたとの事であったが、最後の発表は「イマイチ」と言われた。

なぜ、サポーターの心を掴めないのか、卒業後もサポーターを頼り、教えていただいた。そこで、「経営指針書に、生まれてから今までのことを全部書くと良い」と教わり経営指針書で自己開示した。指針書の中には「社員を傷つけたこと」「不眠症だったこと」「社員一人ひとり輝ける会社にしたい」「力を貸して欲しい」なども書いた。涙を浮かべる社員や共感を寄せてくれる社員もいて信頼回復のきかっけになったという。

信頼回復後は経営指針の全社的実践を加速させた。毎日、朝礼で経営指針のディスカッションを行い、共に学び、育ち合う事で理念が浸透し、社員一人ひとりが主役になり始めた。だが、中にはなかなか主役になれない社員もいる。主役になってもらうには環境と支援体制の充実が重要だ。例えば、子供のお遊戯会で直ぐに踊る子もいれば、何をして良いか分からず、止まってしまう子もいる。そういう子には黒子(先生)がサポートする事で、踊りの主役になる事ができる。私達に必要なのは社員が輝くための環境作りと支援であると氏は語った。最後に日産サティオ徳島のビデオが流れた。そこには、主役となり輝く社員の方々と一緒に藤村氏が映っていた。

藤村氏の報告は学びが多く、中でも自己開示の大切さは、私を含めたくさんの参加者の心に強く残ったと思う。

2023栃木同友会経営フォーラム開催の様子

[文](株)シンデン
専務取締役 八木匠

No.162_News Topic:栃木のNEWS

News Topic 02 栃木のNEWS
~県南支部10月例会~

私への事業承継と私からの事業承継

2023年10月25日小山の「ゆめまち」にて、(有)齋藤製作所の代表取締役の伊東正郎氏に「私への事業承継と私からの事業承継」というテーマで支部例会が開催された。

話を聞いて2点印象に残った。一つは業界形態の違うところから入ってきたら「仕事の基本の流れは同じ、各自役割があり、動かしていくにはチームワークが大切。」そして今回のテーマにも関することだが、「社長の仕事は方向性と分配を決めこと。」とのことに改めてその通りだと思った。

そして、もう一つは、今回のテーマの事業承継。「各々の企業には色々な事情があるので難しい。画一的なものは無いが、早めに検討し、準備をしておく必要がある。」ということ。

伊東社長は前職、旅行会社で広告・販促と担当で、同僚であった奥さんの義父が創業した金属板金の(有)齋藤製作所に、将来の後継者として入社した。実家は、今は兄が継いでいるという、120年続くという長野温泉旅館である。温泉旅館から旅行会社、そして板金加工の町工場との経歴に、社員さんに受け入れてもらうまで時間がかかったとのこと。

先代は、職人気質が強く、会社では、社員等への仕事の技術的な指導等には積極的であったようだが、株の移転等を含めて、経営者の継承は、なかなか進まなかった。そこで伊藤氏は会計事務所を巻き込み、事業承継税制「相続税の納税猶予(特例措置)」を利用して、引き継いでいったが、感心したのは、納税猶予がより使いやすく改定されるまで株の移管を保留したことだ。これは税制を現状と今後どうなるかを研究しておかなければ出来ないことだと思った。

そして今後については、現在いろいろと模索しているところだが、まだご子息は小学生と3代目の社長にするにはまだ早い。伊藤氏の構想は、自分と息子さんの間に社員さんに社長になってもらおうと考えている。

現在は体制を構築中だが、今後どのような会社にしていくのかを幹部社員さんと議論しているという。まさに10年ビジョンの構築だと思った。

県南支部10月例会開催の様子

[文](株)シンデン
代表取締役 八木仁

No.162_News Topic:全国のNEWS

News Topic 03 全国のNEWS
~第22回障害者問題全国交流会 in 愛知~

第22回障害者問題全国交流会in愛知チラシ

障全交は2年に1度の開催ということで初参加であったが、この交流会にはわが栃木県から、それも鹿沼日光支部会員であるNPO法人CCVが4年前の交流会の報告者であったとのことで、色々と事前に話を聞いており楽しみに参加させていただいた。

1日目は第4分科会「全社員を巻き込んで進める、『障害者雇用と社員教育』」~『労使見解』実践20年の積み重ね~(福地金属(株)福地守社長)に参加した。

家業である会社にバブル経済の入り口頃に入社したため、何の苦労もせずに、取引先に単価を下げるといえば売上が増えていったとのこと。そのため、「社員は社長(父)と俺の言うことを聞いてくれてたら間違いないんだ」と思い込んでいたそうだ。

バブル崩壊後の低迷期(40歳)で同友会に入会し、本人としては今までよりも自社を客観的にみられるようになったと思い、43歳で経営理念を作成、44歳で父親から事業承継して社長に就任し、社員の声を聞いている…と思っていたが、46歳の時に社内で経営計画作成の一泊研修をしたところ、むしろ社員の不安をあおり夢を削ぐことになってしまい、参加者全員が退職してしまったという。

そんな中、地元の特別支援学校のインターンシップを受け入れる機会があり、その精神障害者を正式に採用することになったところで、社長はやっと「相手の立場に立つことの難しさ」を実感することができたそうだ。また、障害者に関わるうちに「障害者に対しての特別な配慮」ではなく、「社員全員に個別の配慮が必要であること」に気づかせてもらえたとおっしゃっていた。たった一人の入社での実体験により社長自身が変わることができたことで、周りの社員もとても協力的になり組織づくりもうまくいったという事例であった。

社長は「障害者部会が必要ではない社会を作る」ことが、「共存していくこと」ではないかとまとめていたが、まさにその通りだと感じた。

2日目のパネルディスカッションは「企業経営における見えない生産性とは」~人間が人間らしく生きられる共生社会へ~であった。

障害者問題とは、障害者を雇用するということ以前に、障害者に関わっていないとか知らないというところ自体が問題だよねという始まりでディスカッションが行われた。

正直なところ、人手不足から障害者雇用を始めたという事例もよくあるが、理由はどうであれ雇用する目的を会社全体で共有できる風土づくりがないと、すぐに辞められてしまうことになる。障害者も健常者と同じように働き続けることで成長できる、ということは例えば誰でもわかりやすいマニュアルがあれば全員が成長できる可能性があるということをパネラーの方全員がおっしゃっていた。

「どうせ…だから」という考えは捨てて「とにかくやってみよう」という社風を作りあげることが「見えない生産性」というまとめだった。そのためには何事も個人ではなく会社全体で取り組んでいくことが必要だと思う。

[文]トカール労務サポート
代表 齊藤加居

No.162_News Topic:新会員訪問

News Topic 04 新会員訪問
~一般社団法人三乗堂 文化財を後世に伝えるお手伝い~

井村香澄さん、中愛さん、森﨑礼子さん3人揃っての集合写真

三乗堂は東京芸術大学で文化財保存修復を学んできた井村香澄さん、中愛さん、富山大学で芸術文化を学んできた森﨑礼子さんの3人が日光山輪王寺の三仏堂三尊修復現場で出会い、2017年4月に生まれた。

2016年の夏、中愛さんは不安の中にいた。輪王寺の修理作業が翌年3月に終わる。この現場が終われば現地スタッフは解散することが決まっていた。文化財修理技術者を目指す人は多いが転職先は大変狭き門だった。

「勤め先がないのなら一緒に会社を創ろう。」中愛さんは気の合った二人を勧誘。仕事終わり、毎日のように3人は今市のファミレスで将来の姿を語り合った。

個人的な技術も必要だが、何より文化財修理に対する思いが大切。話を重ねるうちに自分たちのやるべきことが見えてきた。「国の重要文化財の修理は国指定の企業が行う。自分たちは地域で大切にされてきた文化財や先祖代々受け継がれてきた思いを後世に伝えるお手伝いをしよう。」

彼女たちの思いは周りの方々に伝わっていく。栃木県でやっていくのであればと、輪王寺大猷院(たいゆういん)の風神雷神模刻像制作を依頼される。作業現場の確保については弊会の風間総合サービスの風間氏や大倉ホンダの鷹羽氏の働きかけで木工の街・鹿沼市に落ち着いた。

修理作業は調査からはじまり、汚れの除去や損傷箇所を檜材で補うなど仕上げに至るまで、長いものだと数年に及ぶ工程となる。修理完了後には文化財の修理報告書を作成し、履歴を遺す。再び長い時間の後に修理される時に、令和時代の修理履歴が伝わる。歴史の検証に耐える彼女らの仕事ぶりはSNSでも拡散され、現在では北は岩手県から南は徳島県まで口コミで依頼が広がり、3人では抱えきれないほどの依頼を受けた。そして先月新しくスタッフが加わることもあり、会社としての永続のため、同友会で学ぶことを決意した。

「いつも出会いに恵まれて」と語る3人、栃木同友会との出会いも価値あるものにしたい。

[文]事務局

栃木県中小企業家同友会

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