『 No.181 』カテゴリーの投稿一覧

No.181_目次

発行日:2025年 6月30日
発行者:栃木県中小企業家同友会
〒321-0968 栃木県宇都宮市中今泉2-3-13
TEL 028-612-3826 FAX 028-612-3827
E-mail:t-doyu@ninus.ocn.ne.jp
URL:https://www.tochigi.doyu.jp/
企画編集:広報委員会 印刷:有限会社 赤札堂印刷所
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No.181_コラム

コラム

外部環境の変化
江戸期でおこった人口減少を知っていますか?

みなさんが人手不足を特に感じ始めたのはいつもぐらいからでしょうか。私は体感的に、2-3年前からかなりひどくなっていると感じています。

2008年(平成20年)に「日本の総人口が1億2,808万人をピークに減少へ転じました。出生率の低下が起き始めたのが1970年代後半から。合計特殊出生率が2.0を割り、2005 年には過去最低の1.26 を記録しています。

また、高齢化も進行しています。人口の中で65歳以上の割合が急速に上昇していて、現在(2020年代)は総人口の約30%近くを占めます。

若年人口の減少と少子化が定着して、子どもが生まれにくい社会構造(非正規雇用、教育・保育負担、晩婚化など)が長期的に傾向になっています。

長期的に見ると、少子化が始まって50年で実際の体感になってきたというところでしょうか。実際に兆候が起きてから、眼の前でわかるようになるのに約50年。社会的問題というのは、長い期間を経て現れてくるものもあるのです。

ここで、過去の人口減少時代を見てみましょう。

実は日本でも、人口停滞期というのが、300年ぐらい前に起こっています。

そのなかで、江戸期に栃木県の人口が100年間で6割ぐらいになっていたことをご存知でしょうか。ウイキペディア(ネット上のフリー百科事典)を見てください。そこで、「江戸時代の日本の人口統計」を開いてみると、ここに面白い表があります。注目してほしいのは「幕府人口調査と推定人口」の「旧国別調査人口の変遷」というところです。

ここには旧国名で1721年(享保6年)から1873年(明治6年)までの人口がでています。

よく見てほしいのは下野国のところ。この表では、1721年の56.0万人をピークにして、ここから113年後の1834年(天保5 年)で34.2万人まで人数がへります。実に61%まで人口が減った計算です。更に39 年後の1873年(明治6 年)でには50.1万人まで人口が戻っています。

全国的に見ても1720年頃から1846年の約125年は人口の横ばいが続いています。

この頃に「享保の改革(1716~ 1745年)」「寛政の改革(1787~1793年)」「天保の改革(1841~1843年)」という三大改革がありました。経済的に苦しい状態が続いたのだろうと思います。今の私達が置かれている状況というのはこれに近のではないでしょうか。だからこそこの時代に学ぶものがたくさんあります。

実は今、全国各地にある特産品と呼ばれているものの多くが、この時代に生まれています。人口停滞で需要が細ったのを掘り起こすために各地で名産品開発が行われました。多くの工夫がなされ、それらの名産品
はいまでも地域に根づいています。今でいうと何にあたるのでしょうか?

推し活ビジネスはそれの変形かもしれません。いわゆるマーケティングで言う「ファンになってもらう」というのともちょっとちがいます。「推し活」には、「発見される」「見つけてもらう」という要素もあります。今はネット時代。うまく行けば海外からも「推し活」の人たちがきます。

また、江戸時代のこのときは、売るほうが歩く時代にもなったともいいます。売れないのならこちらから、御用聞き、引き売りをして、買ってもらおうというわけです。そう考えると、ネット宅配はそういったものの現代版と言えるかもしれません。

過去の事例が、今後のヒントになるかもしれません。今回、1720年-1846年の下野国の産業がどう変わったかをしらべてみたのですが、文献を探すことができませんでした。もし、これを読んでいる方で、そういった資料をご存じの方がいらっしゃいましたら、t-doyu@ninus.ocn.ne.jpにご一報ください。よろしくおねがいします。

下野国 1721年を100%としたときの人口割合の変化
下野国 1721年を100%としたときの人口割合の変化

[文責]専務理事
石綱知進(株式会社共立 代表取締役)

No.181_News Topic:栃木のNEWS

News Topic 03 栃木のNEWS

第40回定時総会報告

2025年5月30日(金)に栃木県中小企業家同友会第40回定時総会が開催されました。

斎藤秀樹代表理事の挨拶に続き、議長の選出が行われ、福田忠史会員が立候補し承認されました。

会員数115名、総会出席者36名、委任状36名となり、出席者と委任状の合計が会員数の過半数を越えたため、成立となります。

その後、第1号議案として、2024年活動報告、決算報告、会計監査報告があり、承認されました。

第2号議案として、2025年度役員体制が提案され、承認されました。

総会で選出された役員による第1回理事会が開催され、代表理事、各支部長、各委員長が互選されました。

小岩圭一代表理事より、挨拶があり、第3号議案として、2025年活動方針、2025年予算案が提案され、全議案が承認されました。

「経営の畑を耕し、種まき、根をはる1年~1年で終わらない経営の畑づくり、3年は企業づくりを~」をスローガンにますます厳しくなる時代を生き残っていくための、同友会活動を共に学びあいながら行っていく意思を共有し、第1 部の定時総会は閉会しました。

第2部では「激動する日本と地域~「地方創生2.0」と中小企業~」をテーマに京都橘大学教授岡田知弘氏の基調講演が開催されました。

参加人数44名が、外部環境にまつわる講演に参加しています。

世界的に見ると、大災害、気候変動、ロシアによるウクライナ侵攻があり、日本では、能登半島地震の悲惨な状況と事実上の棄民政策、「アベノミクス」の後遺症としての円安と食料とエネルギー価格の高騰が続いている。

株価指数、大企業の純利益および内部留保で人件費はわずかに増加したが、実質賃金はマイナスを記録し続けている。

また、2015年以来の地方創生政策の結果が失敗であったことは、2020年代の東京一極集中や、2023年まで8年連続合計特殊出生率の前年比減少を見ても明らかである。

少子化は派遣等の非正規雇用の拡大政策による青年層の不安定就業化、低所得化が根本的な原因であると言える。

大規模市町村合併、大型店の規制緩和、大型公共事業、企業誘致、行った政策の結果は全て、東京などの中心部への経済の集中でしかなかった。

これらの説明を聞いた上で、自分自身の周りを見渡して見てみると、確かにその現実を目の当たりされる。

地域経済の発展、ひいては日本経済再生のためには、「地域内再投資力」の量的・質的形成が決定的に重要だと氏は語る。

地域内にある経済主体が、地域に再投資を繰り返すことで、そこに仕事と所得が生まれ、生活が維持、拡大される。

それを実現可能なのは、我々中小企業だと多くの成功事例を挙げて、強く訴える。

今回は地域の足元の宝物を発見し、それらをつないで内部循環型経済を作ることの重要性を認識することが出来た貴重な講演でした。

"理事挨拶・講演の様子"

[文責]オフィス日光
入江正文

No.181_News Topic:栃木のNEWS

News Topic 01 栃木のNEWS
宇大生・社員と経営者が世代を超えて
「働くとは?」を深め合う懇談会

あなたにとって「働く」ことの意味や目的は何だろうか?

この問題提起を皮切りに、働くということに関して大きな世代間ギャップを抱えているであろう宇大生と経営者とが混じりあった2つのグループで懇談が始まりました。

冒頭の問題提起から本題に入る前の導入部分においては、働く意味や目的は一人ひとり異なること、また時代や人生のステージとともに変化することを前提に、「働くとはどういうことか」について私なりの見解
を話させてもらいました。その後、参加者全員が自分の働く意味や目的を付箋5枚に書き出し、これをグループ内で表明したうえで模造紙に貼り出し、これを眺めながら、似たような付箋を見つけては集約し、集約したものに的確なタイトルをつけていきました。次にそのタイトルについて、自分の「理想の形」や「ありたい姿」について各々表明し、グループ内で深め合い、最後は出来上がった模造紙で発表といった流れで懇談会は進みました。

一つのグループでは、働く意味や目的を「家族との生活・自分が頑張れる基礎」「働く環境を良くする」、「自己実現」、「人とのかかわり・交流」、「社会貢献」と集約したタイトルを、縦軸に「基本からより高みへ」そして横軸に「個から社会集団へ」の2軸からなるマトリックスを用いて整理を行ったうえで、これらタイトルを矢印で結び、まずは家族を含めた生活の土台を築き上げるために働き、次に自ら働く環境を良くする努力をしていくと、自己実現に繋がり、実現したことを人々と交流することによって、社会貢献となるというような過程をループ図よって見事に表現していました。もう一方のグループも世代間ギャップを感じながらもこれを認め合い、両世代の意見に耳を傾けながら自らの理想の働き方について深めていました。

実をいうと、この懇談会の一週間前に弊社の創立55周年記念行事でも同じ内容の研修を行いました。社員達の間でも大変盛り上がり、世代や部門を超えてそれぞの考えを認め合い、共感しながらも、自己の働く目的を再確認していた様子でした。社員みんなの考えている表情や、自信を持った表情、楽しげな明るい表情は忘れられません。

自己と向き合い、自分自身の働く意味や目的を表明したうえで、若者たちをはじめとする世代を超えた人たちの考えを聞き、人や社会との関わりを考えながら、自分にとっての働く意味や目的を更に「探求」し続けることは大切ですね。

[文責]株式会社総研 代表取締役
小岩圭一

No.181_News Topic:栃木のNEWS

News Topic 05 栃木のNEWS
~県南支部例会

情勢に関する座談会

2025年5月21日に県南支部例会が小山市小山城南市民交流センター・ゆめまちにて開催された。今回は支部長の起案で、参加企業の経営にまつわる情勢を含めた情報交換がなされた。

今回例会に参加した8名(8社)に於ける自社の景気動向や今後の見通しについて共有された。全体の報告を纏めると次の(1)から(3)の様な内容となった。

(1)直近3ヶ月程度では、改善傾向かつ良いと判断している企業が過半数に達し、悪い判断する企業は1~2社だった。

(2)自社の今後3 ヶ月程度の景気動向見通しについては横這いと判断した企業が過半数を超えて悪化と判断した企業は少数だった。ただし、全社ともに今後6ヶ月から1年後の見通しについては皆不安を感
じているのか、先行きの業績についての見通しは悪くなるだろうとの意見は一致していた。

(3)設備投資の傾向については現状の話を聞く限りでは決して悪くない様ではあるが、今後の見通しの不透明さからか消極的な姿勢や慎重な意見が大多数を占めた。

マクロ経済の実態は悪くないが、景気観(気分)は詳細については割愛するが、かなりネガティブという意見が有った。これらの情報が飛び交い、今回の例会が徐々に重苦しい雰囲気に支配してゆく中、筆者も「あぁ、やっぱり景気の悪さや外部要因には負けない術は無いのか…」とダークモードに堕ちようとした次の瞬間、一筋の光明が差した!その先陣を切ったのは運送業のY社長。

自社の業績の伸ばしている秘訣について次の様な話をしてくれた。「ウチは大手が嫌がる仕事やみんなが嫌がる仕事を拾う事で事業の安定性に繋げる事が出来たよ!我々中小企業が狙うべきはニッチな市場に
目を向けるとチャンスはまだまだ有るんじゃないの!?」会場に消えた希望の光が再び灯る。

続いて人材派遣事業を営むY社長のエピソードが披露される。「コロナ禍では確かに大きなダメージを受けた。そこで次の戦略として実践した事が、人材を提供する市場を工業製品工場から「食品業界」と「農業」に切り替えた結果業績を回復させる事が出来たよ!生活に必要な物資や内需をターゲットにした結果が成功したのだと自己分析をしています!」この時の二人の経営者の発表が実に頼もしく見えた。

確かに今の世の景気は決して良いとは言えない。先行きも見通せずに日々の不安は解消される事は無い。だが、こうして一歩自社の外の世界(例会)に踏み出せば自社以外の様々な経営事例に触れる事が出来る。通常、中小企業の経営者は自社の中だけの数字や状況しか見ていない。ましてや他企業や他業種の動向や情報は、ほぼ分からないと言っても過言ではないだろう。経営者は自社の現在位置や世の中の情勢・経営のヒントをどれだけ多く持っているかが、今の先行きの不透明な世の中を切り抜けていく為に重要である事を実感した。次回の例会に参加するのが待ち遠しく思う。

[文責]県南支部・阿良山輝明

栃木県中小企業家同友会

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