Posted on 2025年9月5日(金) 13:35
コラム
会社経営に役立つ本:
「利益が見える戦略MQ会計」
みなさんは「会計」と聞いて、どんなイメージを持っていますか?難しそう、数字ばかりでつまらなそう、そんな印象があるかもしれません。しかし、会計は企業が生き残るために必要不可欠な‘‘言語’’です。そして、経営の戦略を支える“武器”にもなります。今回紹介する「利益が見える戦略MQ会計」は、そんな会計の本質をやさしく、そして面白く教えてくれる一冊です。
製品・サービスの価格が企業経営を決める、そんな話を聞いたことはないですか?「MQ」とは、「M =粗利」と「Q=販売数撮」を組み合わせた指標です。普通の会計では「売上」「原価」「利益」などの数字を見ますが、MQ会計では「どのくらいの粗利で」「何個売ったか」に注目します。つまり、ビジネスの現場で利益を生み出す‘‘源泉’’を分析するための会計方法です。
企業はなぜ利益を重視するのでしょうか?それは、利益がなければ長く続けることができないからです。利益が出れば、社員に給料を払ったり、新しい設備を導入したり、社会に貢献したりすることができます。逆に利益がなければ、企業はすぐに倒産してしまいます。
つまり利益が出ている黒字経営は、会社が存続するための最低限必要なことなのです。『利益が見える戦略MQ会計』では、利益がどのように生まれるかを、経営戦略と会計の視点から詳しく説明しています。
●値段を上げるべきか?
●もっとたくさん売るべきか?
●コストを減らすべきか?
こうした疑問に対して、「MQ会計」はシンプルな数字で答えをだしてくれます。
たとえば、お店でパンケーキを販売するとしましょう。
●1枚100 円でパンケーキを売る。
●1日に100 枚売った場合、売上は10,000 円。
●材料賀などを除いたら、いくら粗利が残るか?
粗利>固定費(給与+家賃+光熱賀などの物が売れなくてもかかる費用)になっていると、黒字。なっていなければ赤字となります。
このようなシミュレーションを通じて、「粗利(M) 」と「数量(Q)」、そして「利益(G) 」の関係を学ぶことができます。MQ会計は、分かりやすい数字で“利益’’を明確にしてくれるので、実際のお金の流れを理解するのに役に立ちます。
企業の経営者は、「どんな商品をいくらで、どれだけ売ればいいのか」を考えています。それも、直感だけで決めているわけではありません。『利益が見える戦略MQ会計」では、数字を使って合理的な意思決定をするための考え方を学べます。
たとえば、「値引きをすれば売れるけど、利益は減る」「広告を出せば売れるかもしれないが、費用がかかる」といったジレンマに対して、数字で効果を予測できます。

数字を味方にして、自分の行動をより戦略的に考える力を身につける手助けをしてくれます。
この本は、経営の現場で長年培った知識と経験をもとに書かれており、会計の本質を分かりやすく伝えています。
経営をする上で、価格と粗利益は最も重要な要素です。稲盛和夫氏も「値決めは経営である」とまで説いています。
皆さんも、これを機会に値決めについて考えてみてはいかがでしょうか?
[文責]石綱知進
株式会社共立 代表取締役
Posted on 2025年9月5日(金) 13:26
コラム
外国人労働者とインバウンドの現場から見える新たな風景
一行廣国際アカデミー・行廣智明社長インタビュー
かつて、近所のスーパーでは同級生の女子高校生がレジ打ちのアルバイトをしている姿が当たり前だった。しかし今では、そうした風景を見ることはほとんどなくなった。代わりに目にするのは、年配の方や若い外国人が働く姿だ。数年前から首都圏では一般的な光景となっていたが、ここ栃木県でもそれが日常になっている。
こうした変化の背景には何があるのか。外国人材の受け入れに長年携わってきた行廣国際アカデミーの代表取締役社長、行廣智明氏に話を伺った。
行廣社長は大阪外国語大学(現・大阪大学)ベトナム語科の出身で、学生時代にはベトナム留学の経験もある。卒業後は様々な事業に挑戦してきたが、一貫してベトナム人を中心とした外国人との関わり」を軸に
事業を続けてきた。現在は外国人材の人材派遣、日本語学校、専門学校の運営を手がけ、外国人材支援に関しては25年以上の経験を誇る。
外国人労働者のリアルな姿
「外国人労働者という言葉だけでは一括りにはできません」と行痰氏は語る。出身国によって価値観も目的も異なるからだ。
「日本人の多くは、彼らも日本で長く働くことを前提にしていると捉えがちですが、実際には‘‘お金を稼いで母国に帰る”という目的を持つ人が大半です。だからこそ、同じ職場で働くには、彼らの価値観を理解することが欠かせません」。
外国人材を単なる都合の良い労働力として見るのではなく、「どのように考え、何を求めて日本に来ているのか」を理解することが、共に働く上での出発点になり、外国人材との共通利益を開発できると行廣氏は強調する。
インバウンドビジネスの可能性
外国人労働者の受け入れだけでなく、行廣氏はインバウンドビジネスにも強い関心を持っている。
「最近は白馬やニセコといったスキーリゾートが外国人観光客、特に富裕層に人気です。いわゆる“観光地巡り’’をする一般客とは明らかに異なる層で、彼らは高品質な体験を求めて来日しています。そうした層をターゲットにしたビジネスの組み立てが進んでいます」。
また、現在注目されている観光地はすでに価格が高騰しており、次に狙うべきは「まだ目をつけられていない地域」だという。「価格が安いうちに魅力ある土地を押さえられれば、大きなビジネスチャンスにつながるはずです」と語る。
とはいえ、ビジネスを始めるうえで避けて通れないのが法規制との兼ね合いだ。「どんなに良いアイデアでも、法や制度に則った設計ができなければ前に進まない。法律を理解し、それに適合する形で組み立てることが鍵になります」。
「趣味だけではつまらない」人生の本質
仕事に打ち込む日々の一方で、行廣氏はかつて「趣味に全力を注ぐ」期間も過ごした。釣りが趣味の彼は、家族の理解を得て2年間、休日を釣りに費やす生活を送ったという。
「確かに楽しかった。でも、しばらくすると‘‘趣味だけの生活ってつまらない’’と感じるようになったんです。仕事があるからこそ、趣味も生きてくるんだなと実感しました。
また、私が力強く活動を続けられるのは、家族を支え、自らの夢や希望のために挑戦し続ける外国人材と誠実に向き合うことが、私自身の原動力となっているからです。」
すべては「人材が輝く場づくり」のために
行廣国際アカデミーの経営理念は明快だ。「仕事をつくり人材が輝く場をつくり未来を変える」
社長自身が、今も精力的に現場を飛び回り、実態を見て、肌で感じながら事業に取り組んでいる。
外国人労働者の受け入れにせよ、インバウンドビジネスの開拓にせよ、すべての根底にあるのは「人と向き合う」という姿勢だ。行廣氏の取り組みは、これからの地域経済と外国人材活用の在り方に、一つのヒントを与えてくれる。
[文責]石綱知進
株式会社共立 代表取締役
Posted on 2025年8月1日(金) 13:54
News Topic 01 栃木のNEWS
第57回中同協総会に参加して
去る7月、神奈川県横浜市にて 中同協総会が開催されました。
今年は「労使見解」発表から50年という節目の年であり、総会全体 を通して「労使見解」を改めて見つ め直す 2日間となりました。
1日目は、 各テーマに分かれて17の分科会が行われました。
私は第4分科会「同友会と企業経営は不離一体 一 同友会の学びと実践」に参加しました。
報告者は、1946年創業の化粧品卸•株式会社NODA の古川敦義社長(新潟同友会理事)です。
前社長の急逝により30歳で事業を引き継ぎ、長年かけて会社を変革してきた経緯を報告いただきました。
「ガツガツやるタイプではない」と語る社長ですが、 同友会で毎年経営計画(経営指針)を作成し、 それを 軸に長年にわたって強い会社を第き上げてきました。
一時は順調に見えたものの、2004年の7.13 水害を 皮切りに、地震•水害など8年間で7回もの大きな災害に見舞われます。
しかし、長年積み重ねてきた自己資本比率50~ 70%という堅実な財務基盤をもとに、 健全な会社経営を実現してきました。
古川社長は、同友会活動と自社経営を一体のもの と捉え、同友会での学びを自社に持ち帰り実践するこ とで、経営の安定化を図ってきたと語ります。
まさに「お勉強」ではなく、実践的な経営の学びの 場としての同友会の意義を感じる内容でした。
「自社の行く末を決めるのは社長の責任である」と、 改めて認識することのできた発表でした。
2日目は、前中同協会長・愛知同友会の鋤柄修氏 による全体会「「労使見解j発表50年 経営者の責任一学んで実践し続けてこそ」が行われました。
中同協幹事長を5年、中同協会長を10年務めた鋤柄氏からは、「真の経営者とは何か」「本物の経営者 はどうあるべきか」「同友会運動の最終目標とは何か」 などについて、力強い問題提起がありました。
鋤柄氏には、以前、栃木同友会でもご講演いただ いたことがあり、そのときのことを懐かしく思い出させるような内容でもありました。
また、定時総会の議案も無事に承認され、2025年度の中同協の活動がスタートしました。
余談ですが、総会翌日の 7 月 5 日は、「日本に大災害が起きる」というデマが流れ、全国の地方ホテルが 満室になるという出来事(いわゆる “大椿寺騒動”)が 起きた日でした。
その影評か、横浜の宿泊費が思いのほか安く済みました。 今後またこのような話が出た際には、逆に好機と捉えて、ぜひ学びたいテーマに合わせて全国行事にご参 加ください。
[文責]株式会社共立 代表取締役
石綱 知進
Posted on 2025年8月1日(金) 13:39
News Topic 02 栃木のNEWS
~県南支部6月例会〜
『転ばぬ先の杖』
令和7年6月1 8日に小山交流センター「ゆめまち」 にて県南支部6月例会が開催された。
冒頭、山崎支部長のあいさつで「この場では、参加 者がダメ経営者の仮面を付け、他の参加者から冷や水を浴びせられる場でありたい」と説明があった。
今回の例会テーマは「失敗から学び、リスクに備え ましょう」。
ファシリテーターは、(株)行廣国際アカデミー代表取締役の行痰氏が務めた。
行廣氏から「今回の例会は自社・自身の失敗を素直に話し、 失敗の要因と原因を全員で分析し、 今後の事業への成功率を高める事が目的です。」と発表された。
参加者から以下のような失敗談がで た。
「将来の不安から、 安易に新規事業を始めた。」
「本業と関係ない分野への過剰投賓をした。」
「仕事が少ない焦りから、 価格が合わない仕事を受注 した。」
「簡単·短期・大金を謳っている仕事に手を出した。」「他社が出来たから自社も出来ると思い込み、 受注したが出来なかった。」
これらの失敗事例からの学びとして、 次のような視点が導き出された。
「経営者が思っている不安が現場と合っているか話し 合う。」
「新規事業を始める際は、 その事業が自社の強みを生 かせるものか。 また、 理念や目的に一致しているか確認する。」
「本業から逸脱した新規事業は失敗のリスクが高い、事業を広げる時は本業を元に隣接する事業が好ましい。」
「他社が成功している事業が自社に適しているか、 惜報を躾め偏りがなく正確な情報か確認する努力が必要。」
今回の例会では、 参加者から失敗を共有する事で、多くの学びを得る事が出来た。 失敗の背景には、「不安」「焦り」「思い込み」「惜報の偏り」など様々な要因•原因があること、 そしてそれらを具体的に知る事が出来た。
今回学んだ事を「転ばぬ先の杖」とし事業の成功に繋げて行きたい。

[文責]八木匠
株式会社シンデン 専務取締役
Posted on 2025年8月1日(金) 13:33
News Topic 03 栃木のNEWS
~第11回経営指針をつくる会がスタート〜
情勢に関する座談会
6月7日、 第11回経営指針をつくる会がスタ ー トしました。 受講生2名、 修了生のサポータ ー 7名で、9月までの4カ月にわたって経営について学びます。全員が年齢や立場に関係なく ‘‘知り合い・学び合い・ 援け合う’’という謙虚な姿勢で参加しています。
第1講は、 栃木県教育会館で行われました。
まずは現状把握・現状認識です。 自社の仕入れ・製造・販売の流れと構造を表現して、 リソースの確認を行いました。 内部環境を考えることで、自社がコントロール可能な要因を知り、経営資源を見つめ直すことができます。
第2·3講は、「和の音交流館 鬼怒川宿」での宿泊合宿です。 とことん自分と向き合う2日間。通称「付箋貼り」 これが簡単そうでキツイのです。 参加者全員が頭を抱えてため息をつきます。 はじめに、 気になることを16個付箋に書き出します。なんとなく思うことや、私生活を含めて気になることで、 特に書きたくないことを書き出します。 丁寧に時間をかけて。 書き出した付箋を模造紙に貼ります。 次に、 隣り合うものの共通原因を探り出し付箋に書きます。 二次原因を探り、 三次•四次原因を探り、付箋4枚の原因を2枚に集約し、最後に一言集約します。 私の一言集約は、 やっばりな…と思いつつ、 見たくない現実を目の当たりにして苦笑いするしかありませんでした。 これで終わりではありません。 現状把握の一言集約をそのままにしていたら次に起こることを16個書き出します。 同じように一 言艇約し、 出た言葉を体で味わう。このワ ークを[予悔」 と言います。 この一言集約は全て自分の考えていることから導き出されたものなのですが、 自分でも受け止めるのに時間がかかる程、 想像していない見たくない自分が出てくるのです。 人が危機に直面した時、 いくつかの行動パタ ーンがあります。 一つは危機に立ち向かい問題解決を行うこと。もう一つは、 事実を見ないようにすること。後者を「防衛」と呼びます。 第3者に見てもらいながら現状把握をするのは、 この防衛を外す ためです。 人は無意識のうちに多くの防衛をしていることに照かされます。
私は第9回・10回を受講生として参加し、 今年からサ ータ ーとして学んでいます。 3 年連続で参加しても同じ内容ではありません。 外部環境の変化が大きい現在は、 内部環境も刻一刻と変わっていきます。 参加者みんなでやることで、 一人では見えなかったことに気づくことがとても多いのです。
全9講から成る経営指針をつくる会は、 深く自分と向き合い、 自社の現状を把握して計画を立て、 指針書をつくり「強い経営者をつくる」という大きな目的を持って開催されています。 これからまだまだ魅力的なワークが盛りだくさんです。一緒に学んだ同期やサポーターはかけがえのない仲間となります。 経営者として成長するために同友会で学び続け、 経営指針の実践に取組むことで、 厳しい経営環境に負けない強い会社にしていきたいです。
[文責]中村あさみ
株式会社ボーダレス 代表取締役