No.148_コラム
Posted on 2022年9月30日(金) 09:00
コラム
私と中小企業家同友会1
有限会社赤札堂印刷 代表取締役
栃木県中小企業家同友会 理事 小山研一

私が栃木同友会に入会したのは、1986年頃で28才位だったと思います。営業の足しになれば…なんていう軽い気持ちで入会しました。
当時は、バブル景気に突入せんとする頃で大きな話が飛び交い、好景気に浮かれていました。同友会の経営指針セミナーでも「前年比10%増なんていう目標ではだめ、2倍、3倍にするような目標を」と、ハッパをかけられたものです。
とにかく求人難の時代で、募集しても人材が集まらない事が発足間もない栃木同友会の会員の共通の悩みでした。そこで、東京の真似をして共同求人をやろうという事になり、やり方もわからないままに十数社でポスターを作って県内の高校・専門学校・大学などに配布して合同説明会なるものを企画しました。
さてその当日、会場設営をして待ち構えるも、一人も来ない。途方に暮れているところに、たった一人作新の進路指導の先生がたまたま様子を見に来てくれました。「君たち、そんなやり方ではだめだよ」と、言う事で急遽、高校の新卒求人のノウハウについてアドバイスをしていただきました。企業説明会のはずが我々が説明を受けるという、笑えない状態でした。
翌年からは高校生、大学生それぞれに合った活動が出来るようになりました。また、同友会の共同求人は有名だったので、県内の大手ステーキチェーンや自動車販売、生協なども加わり形は整いました。しかし、長続きしなかったのは、同友会の理念ということが根底になく、ただ「採用」のためだけに集まって共同でやったに過ぎなかったので、求人状況が好転するとともに同友会から離れて行ってしまったように思います。
今思えば、わが社で人材が集まらない、育たなかったのは、経営者(自分)が未熟だったのです。同友会の例会で先輩経営者の素晴らしい経営体験を聞いて自社に帰るたび「笛吹けども踊らず」の社内に焦りと孤独感に苛まれていました。
経営理念を作って毎年計画を立て、どういう会社にしたいのか、具体的にどんなを目標を達成すれば利益が上がり社員にも還元が出来るのか、明文化し共有するなかで自信もつき、会社も安定しました。
あれからナン十年。残念ながら、何倍にも伸ばすような華々しい成果は上げられませんでしたが、毎年堅実に利益をあげてこられたのは、同友会で学んで指針を作れたからだと思います。
私と中小企業家同友会2
NPO法人CCV 副理事長
栃木県中小企業家同友会 理事 神戸真弓

NPO法人CCVは、フリースクールと障害福祉サービスを営む法人である。同友会との出会いは、「人間尊重の経営」という言葉を見た時だ。この言葉を掲げる同友会に入っている企業なら、障害者雇用に協力的なのではないかと考え、障害者雇用と実習先開拓を目的に入会した。
入会当時は、県例会等には参加せず、障害者問題委員会(現ダイバーシティ委員会)のみの参加だった。事業所が2つに増え、職員も増えてきた頃、徐々に経営を意識するようになり、経営指針セミナーを受講することにした。1年目は、数字(経営計画)について学ぶことだけで精一杯で経営指針を作るどころではなく、濃霧の中を歩いている感覚だった。2年目になってやっと数字も理解できて、理念と運営方針を作る事ができた。
当時私はまだ管理者ではなく、職員さんと一緒に現場で支援をしていた。理念と運営方針ができただけでも、現場の空気感が変わったように感じた。それからは県例会にも参加し、経営指針をつくるための学びを深めた。その後管理者となり改めて、自分が管理する事業所の経営指針をつくるために、再度セミナーを受講した。「理念」「ビジョン」「経営計画」をつくり、それを組織全体に浸透させていくために必要なことを、サポーターの皆さんや事務局の二階堂さんから、丁寧に教えていただいた。ひとつひとつできることから取り組んだ。
同友会は、人を大切にすることと同じくらいに、持続可能な経営を存続させ、そして発展させることの大切さを私に教えてくれた。倫理観と経営のバランスが大切だと教えてくれた。経営指針を職員さんと共有してから、職員さんが主体的に動けるようになったと思う。
これからは、経営指針を職員さんと一緒に磨いていき、目指す方向を共有したいと思っている。働きがいややりがいは、「やりたい」という気持ちがないと生まれない。主体的でないとその「やりたい」という気持ちは生まれない。働きがいを感じて働ける職場を職員さんと一緒につくっていきたい。そして利用者さんと職員さんが共に輝ける職場をつくっていきたい。
そのためにこれからも同友会を通して異業種の方々と共に学びを深めていきたいと思っている。