『 企業訪問 』カテゴリーの投稿一覧

No.68 第28回 企業訪問 (株式会社 ゼニス)

物を作るだけの製造業は終わった

株式会社ゼニス 代表取締役 中村 勝

「物を作るだけの製造業は終わった。」そう語るのは株式会社ゼニス代表取締役中村勝氏である。昭和60年東京都日野市に株式会社ゼニスを創業し、平成12年に本社を現在の那須塩原市上厚崎に移転。事業内容は、コピー機等のOA機器の部品・ユニットの開発製造販売を手掛ける会社である。また平成18年には香港ゼニス事務所、中国ゼニス工場を設立し海外での製造販売も強化しています。皆さんの会社にあるコピー機の定着ユニットやクリーニングユニットが、株式会社ゼニスで作られたものかもしれません。

リーマンショックでの打撃、回復の兆しをみせた矢先の東日本大震災、そして現在の超円高。ドル建てのため円高による損失は自社で受け持たざるをえず、円を107円程度で設定しているため、現在の77円という超円高はボディブローを通り越し直接ストマックブローを打ち込まれているような、かなり厳しい状況である。今後ドル建てから円建てへのシフトしていく予定であるとのこと。

ただ物を作っていればいいだけの時代ではない。技術力は日本だけのものと思っているのは大間違いである。技術力は、中国や韓国も身につけている。では今後製造業が生き残って行くにはどうすればよいか。その手段の一つとして、核となる材料は日本で製造し、それを海外に輸出し製造していく。そうならないと、日本は生き残っていけないだろう。また、日本は重箱の隅をつつくような視点で、他国にはない物作りで成功してきたが、重箱の隅をつつくような視点では内向きな考えしか出てこない。従来日本はそういう所に目を向け成功してきたことも事実であり、それが良さであり現在の技術力に繋がってきたが、各国が技術力を身につけてきた昨今、これからはもっと大きな視点での考え方、つまり外向きの視点での考えが必要である。

売り方も考えなくてはいけない。作って売りっぱなしではなく、売ってから自社と離れられないというビジネスモデルの構築が必要である、と。

最近では環境ソリューション事業の展開を開始。バイオ式生ゴミ処理機により食品廃棄物の量を減量し、残渣は堆肥や肥料に加工(再生利用)して使用する。ここで重要なのが、アウトプットである。いくら再生利用可能としても、その受け入れ先がなければ何にもならない。そしてこの環境という分野は個人レベルではなく、行政レベルでの取り組みが大切である、と中村社長は話します。現在アウトプット先として、畑を借り受け、加工した肥料でトウモロコシを作っている。糖度も高く生で食べられるというトウモロコシ。皆さんも是非ご賞味下さい。

中村社長の考えの一端が垣間見ることができた有意義な企業訪問でした。

文・八木澤 和良

会社概要
社   名/株式会社 ゼニス
本社工場/〒325-0026 栃木県那須塩原市上厚崎170-2
TEL 0287-62-3104 FAX 0287-64-1441
第2工場/〒325-0001 栃木県那須郡那須町高久甲4690-238
代 表 者/代表取締役 中村 勝
資 本 金/1,000万円
事業内容/1.OA機器部品の研究・開発・製造・販売
2.環境関連機器の研究・開発・製造・販売
会社創立/1985年12月
従業員数/54名(2010年4月1日現在)
香港ゼニス/ N&F ZENITH HONG KONG LIMITED
中国工場/広東省中山市

No.66 第27回 企業訪問 (下野農園)

栃木こだわり農家情報発信するレストラン
 下野農園

昨年12月、宇都宮市下戸祭、競輪場通りから南へ少し入ったあたりに「下野農園」という、少々変わった名前のレストランがオープンした。今回は、このレストランを運営する(株)ファームアンドファームカンパニーを訪問して、藤井社長の話を伺った。

訪問先がレストランと言うことで、迷惑を掛けないように平日の午後2時という約束で訪問したにもかかわらず店内はお客様で溢れ、活気に満ちていた。とりあえずランチとコーヒーを注文、出てきた料理を見て納得した。地元産のこだわり野菜を使ったサラダに、何と、メインは八溝山系の野生の「猪」料理!味はもちろん、おしゃれな盛りつけが美しく、店内が女性客で埋まっているのも頷けた。

藤井社長は若干35才、海外留学からホンダ技研勤務を経て農業関連の会社設立という異色の経歴の持ち主である。会社設立の志を尋ねると、会社員時代に不満が有ったわけではなく、ホンダ技研でも充分自己実現出来ていたが、さらに社会に貢献したい=人を喜ばせたいと考え、退社して独立開業の道を歩み始めたそうだ。

以前からより良い社会を作るためには、疲弊した地方の活性化が不可欠であり、地方の活性化のカギは農業にあると考えていた藤井社長は、中小企業診断士の資格をとり経営を学ぶと、トータル的な農業支援の会社(株)ファームアンドファームカンパニーを立ち上げた。地方でビジネスを立ち上げる中でそこの農産物を特産ブランド化し地方にお金が回る仕組みを作る。これこそが農業の活性化=地方の活性化だと考えた。行政や農協は、みんなに平等を原則とするため、かえってブランド化の妨げになる場合があると聞いたことがある。ブランド化とは差別化なので民間ビジネスを通じてこそ特産ブランド化が達成可能となるのだろう。

下野農園では、各テーブルにその素材(農産物)の生産者の写真と共に、生産者の思い・こだわりを詳しく記したパンフレットが置いてある。また、ファーマーズナイト(交流会)や見学会なども開催している。単なる料理の提供ではなく、消費者と生産者の接点とすることでここを通じてブランド農産物づくりに役立てようというものだ。

下野農園はまだ始まったばかりだが、とりあえず「食」に興味を持って頂いたお客様をその奥にある「農」にまでどうやって興味を深めて頂くか、また生産者に対しては消費者のニーズをいかに的確に伝え、それぞれの農産物を改良・開発しブランド化をすすめてもらうかが今後の課題だという。

同友会で良い仲間づくりをしたいという藤井社長の挑戦にエールを送ろう。

取材・小山 研一

(株)ファーム・アンド・ファーム・カンパニー
〒320-0055 栃木県宇都宮市下戸祭 2-3-2
TEL 028-678-3411 FAX 028-678-3412
http://www.farmfirm.co.jp

下野農園
TEL 028-678-6593 FAX 028-678-6594
lunch 11:30〜14:00
diner 17:30〜22:00(金・土〜23:00)
close 月曜日
http://www.shimotsukefarm.com

No.64 第26回 企業訪問 (株式会社 共立)

原点から可能性へ
 ~ファクトリンを武器に顧客開拓へ~

宇都宮市問屋町に入ると、すぐにヨークベニマルの真向かいに株式会社共立の大きな看板が見える。ファク卜クリシを武器に顧客開拓をする2代目社長・石綱知進氏にその戦略を聞いてみた。

株式会社共立は昭和39年に父である石綱勇氏が空気調和・製缶・鋼構造物を基軸に個人事業者として創業した。
昭和50年に法人化してから物流機器・自動機器の製造等を加え、生産に係る周辺設備を統合的にエンジニアリング出来る会社として成長してきた。平成13年に新しい部門であるファクトクリン事業部を立ち上げ、株式会社共立が現在もっとも力を入れている事業である。
ファクトクリンとは、生産機械・設備等の清掃・整備を行い、作業環境改善を可能にすることを目的としている。

最近、栃木県から撤退する大企業が増えている外部要因のため受注減の対策をしていかないと今までのようにはいかない共立ではファクトクリンをこれからの営業の軸にし、そこからメインの工場設備・設置・メンテナンスと窓口を広げて行く考えだ。ファクトクリンは競合する会社は少ないが、乾燥機・搬送装置(コンベアー)などの機械の掃除することは、メーカーを問わず機械を判断する能力がないと仕事が取れない。従業員の能力を上げるため今以上に人材育成には力を入れていく。

知進氏が平成6年に株式会社共立に入社し、平成17年には37蔵という若さで社長に就任した。社長になるまでは経営について意識したことがなく、ーから経営を勉強するために同友会の経営指針セミナーに参加して計数管理的なことやマーケテイングに興昧を持ち、経営の考え方が変わった。

知進氏が今同友会に望むことは、経営指針セミナーに参加する方がもっと増えるようになること。自分自身がそうであるように、今一度自社の経営を見つめなおすため、経営指針・経営計画を全ての同友会会員が作成して欲しい。最近、神戸女子学院内田樹教授の本を読んでから、経営指針の必要性がより理解できるようになり、経営指針を今後の経営にさらに役立てようと考えている。

私もさっそく構造主義の本を読んで見ようと思う。

取材・橋本 秀則

会社の商号/株式会社 共 立
所 在 地/本社工場
〒321-0912 栃木県宇都宮市石井町3379
TEL 028-656-3508 FAX 028-656-3509
会社設立/昭和50年1月29日(創業 昭和39年1月)
資 本 金/15,000,000円
代 表 者/代表取締役 石綱 知進
事業内容/生産機械設備・産業用空調・ファクトクリン(機械・設備 清掃メンテナンス)

No.63 第25回 企業訪問 (有限会社 コパン)

共存の経営は楽しい
 ~チャレンジドの就労支援への挑戦~

栃木県は、障害者の雇用率が全国で下から3番目と低く、自らも障害者である有限会社コパシの金井先ー氏にチャレシジド(障害者)の就労支援を聞いてみた。

チャレンジドとは「生まれながらに天から挑戦するように運命付けられた人」という意昧で、障害や難病などの様々な機能不全やハンディキャップを持つ方、そして彼らの生活を支えている方のことで、有限会社コパンとNPO法人チャレンジドコミュニティの事業は、楽しく、幸せな人生をどう実現するか?またはどう実感するか?を目的に「就労支援」を事業化している。

現在、障害者は全国で723万人もいるが、常用雇用者はわずか44万人である。それは、健常者中心に設計された社会システムの中でチャンス平等・結果不平等の社会には適応できない人々が相当数いることを示している。

金井氏も2万人に1人という骨形成不全症というI型コラーゲン遺伝子の異常が原因で生まれながら骨折しやすく、人退院を繰り返してをしてきたため、学生生活は養護学校に通っていた。北海道から東京に上京しTKCに入社、システム開発部が宇都宮に出来たため、転勤をしてきた。

6年前TKCを退職し、就労支援の仕事を始める際に、NPO法人を先に作ることも考えたが、NPO法人では商売の道具が無いと人が集まらないため、先に有限会社コパンを設立し、後からNPO法人を設立することにした。従来の障害者就労事業の多くは、大企業の下請けや清掃であったが、有限会社コパンの事業は自分たちで価格決定権を持つことができるベーカリ一事業(パン屋)なら長続きできると考えた。

また、宇都宮では、手作り・無添加志向を目指して、障害者のお母さん達もパンなら宣伝しやすく、販路開拓にもつながるようになった。

職人さんも3名が協力してくれたため、現在ベーカリ一事業(パン屋)は、常勤3名とパート13名(障害者5名)と事業を拡大することができた。また、宇都宮駅に美術学校を作り、小-中学生にアートセラピーや絵画教室へ講師派遣も行うようになった。

県内で職場体験をする実習生も述べ80人も受け入れることもでき、養護学校の先生も職場体験をすることで指導に生かす成果も得られた。

有限会社コパン設立から1年後、NPO法人チャレンジドコミュニティを設立し、ホームページ作成など就労できない方の訓練も行うようになった。

昨年、ノーマライゼーション研究会と協働して、使う立場から使いやすい福祉用具商品のテストも行う機関を設立し、今までとは違う就労支援も始めた。

現在は障害者のグループホームがあっても職場が近くに少なく、職場があってもグループホームがないなど、片方のみだったのを融合できるようするのが夢だと、金井氏は力をこめて語ってくれた。

同友会の会員の皆様も障害者の就労支援(雇用・実習生受入・仕事の発注など)を行うことで、助成金などの補助も受けられるし、同友会が目指す理念に合致する社会貢献が出来ると思った。

取材・橋本 秀則

栃木県中小企業家同友会

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