No.69 新春対談 2012年を復興の年に
Posted on 2012年6月26日(火) 14:56
新年を迎えるにあたり、山中重雄代表理事、深澤雄一相談役、佐山良一相談役の3人にお集まりいただき「熱い想い」を語っていただきました。
司会は、八木澤和良広報委員長がつとめました。
(八木澤)昨年は3・11の震災や原発放射能、超円高など日本経済にとって打撃となるような様々なことがございましたが、みなさんにとりましてどのような年でしたか?
山中重雄代表「震災に際して、自動車関連の物流は3〜4ヵ月ピタッと止まってしまったが、食品関連の物流だけは忙しかった。震災の少し前から食品流通への転換をはかっていた矢先のことだったのだが、被災地への食料品等の支援輸送が非常におおかった。震災後数カ月は、食品の輸送だけで会社はもっていたようなものだった。ただ、このことがあり食品輸送の足場が固められたのも事実。」
深澤雄一相談役「原料不足による仕入れ難があって、原料確保に必死だった。特にラミネートが鹿島の三菱が駄目になったので酷かったね。入ってくれば売れるのに。郡山から東京まで事業所があるけど、一番の被害は清原工業団地で、復旧まで3〜4ヵ月かかってしまった。その分他の事業所で売上をカバーしたので、対前年比で4%位減ですんだ。」
佐山良一相談役「大手企業が3ヵ月ぐらい駄目だった。断水とか放射能とかで、水の宅配の需要が伸びたね。水の宅配のおかげで対前年比で100%切っていないよ。普段からのお客様とのコミュニケーションがとれていたおかげで、顧客数は減らなかったね。」
山中重雄代表「原発の放射能問題は、輸出に多大な影響をもたらした。船が港に入ってこないから、荷物を積む船がないので輸出ができない。船に放射能があたると再起できなくなるからと、船が港に入ってこない。輸出関連の物流の売上は半減したがその分を食品で補っていた。」
深澤「原発問題は影響はさほど無かったね。」
深澤「円高の影響はプラマイナスゼロ。入ってくるのは安くなる出るのは高くなるんで。9月までの上半期は復旧の特需もあった。円高よりドル安が問題かな。」
佐山「円高で日本から出ていった企業はたくさんあった。今後は、より地域に密着し経営方針をしていくべきじゃないかな。客単価を減らしても顧客数を多くしていくべき。」
山中「TPPは政府の決定に従うしかないし、それに則って事業をすすめていく。」
深澤「垣根は撤廃すべきだね。本来グローバルであるべきもの。関税が撤廃されることにより日本の農業がダメになると危惧している人もいるけど、ダメにならない。サクランボ自由化の例がある。ちゃんとやっていれば大丈夫。補助金を頼りにしているとダメ。」
佐山「牛とかやっている酪農の人は海外に出ていっている方も多くいる。その人たちは、関税を撤廃してくれと言っている。TPPに反対しているのは、補助金を頼りりにしている人である。TPPはやるしかない。補助金が出ていない産業ほど発展しているのは事実だしね。」
山中・深澤「その通り。間違いない」
代表はじめ相談役は昨年の影響はあまり出ていないようである。震災原発円高という環境下で対前年
比はほぼ横ばいという経営手腕をみせた。一つのところに依存せず、多方面の取引先や事業展
開により、リスクを分散することにより被害が最小に抑えられたかたちだ。
2012年を展望して、同友会会員の企業経営にとって重要課題は何でしょうか。また、どんな方針を持って臨めばよいでしょうか?
山中「今年は更に厳しい年になると覚悟している」
深澤「パッとしない年になるね。昨年よりも厳しい年。」
佐山「競争が益々厳しくなる」
深澤「量より質の時代かな、即ち売上高より利益を重視すべき。会社の品格とか格が重要かな、それを決めるのはお客様の格。つまり、お客様がいいお客様であればあるほど会社の格が上がる。」
山中「そうだね」
深澤「いいお客様を取り込むだけじゃなく、今のお客様の格を上げるようなお手伝いもして行くことかな。」
佐山「企業と個人のお客様がいるが、徹底的にコミュニケーションをとって相手の経営内容まで分かるようにならなければならない、そこで初めて経営に合った提案ができる。滞在時間が長いことが情報をとれる。そうするといい提案ができる。営業のプロセス管理が大切、ちゃんと納得して買ってもらうこと。」
山中・深澤「うそう」
佐山「価値観の変革が求められる。企業モラルが大切になる。儲かればいい経営者ではだめ。オリンパスや大王製紙がいい例かもしれない。」
お三方とも今年は昨年よりさらに厳しい年になると考えている。そのなかで、生き残っていくには、「質」であり「品格」「モラル」というもの。企業として欠かしてはいけないものを再度見直していかなければならない。
2012年栃木同友会が飛躍するためにどんな点に重点を置いた活動をしますか?
山中「栃木に同友会ができて、250社を超えることができなかったという現実を見据えて取り組んでいかなければならないと思う。みんなで方針や骨格を決めて、それに一丸となってみんなで取り組んでいきたいと思う。県例会に参加すれば学びがあるし、その学びを実践して未来を引き寄せる活動をしていきたいと考えています。シリーズもので、例会を行うのも手かもしれない。」
深澤「拡大していかなければならないかな。今はまだ過渡期に過ぎないので、栃木の企業数2万8千社の1%、つまり300社を目指していかなければならい。それは、影響力のある経済団体となるには、少なくとも企業数の1%が必要になるから。」
佐山「会員企業の満足度を上げていくことだね。入会して成長しているという実感が大切かな。新入会員を育てていき満足度を上げ同時にレベルを上げていく。一年間を通じて同じテーマの例会を行うのもいいかもしれないね。」
短い時間でしたが、熱い想いを語っていただけました。ありがとうございました。