Posted on 2020年5月31日(日) 09:00
News Topic 03 エッセイでちょっと一息
~ひこばえの底力~
樹木や農作物で一度地上部分を収穫されてしまった後の、残った切り株から生えてくる芽を「ひこばえ」というのだそうだ。
雑木林を歩くと、切り株を中心に三~四本の幹を持つ樹木をよく見る。人間に一度切られてしまったことでかえって複数の幹を持つ立派な姿に育ったのである。こうしたひこばえを見ると、いつも植物の再生能力に感心させられる。
十一月の中頃、田んぼのあぜ道をジョギングしていた時の事。ふと、田んぼを見ると稲刈り後の切り株は皆、三十センチくらいの緑色のひこばえを生やしていた。
まあ、いつもの光景と思って通り過ぎようとしたのだが、よく見ると何とそのひこばえ達がそれぞれ稲穂をつけているのに気付いた。
それぞれ小さな実がわずか数十粒程度ずつだが、確かに稲籾をつけている。
九月の稲刈りから僅か二か月、一度収穫され切り株だけになってしまった稲は、根に残った養分で新たに芽を出し葉をつけた。そして、冬に向かって日に日に短くなる日照を最大限取り込み大急ぎで光合成をし、養分を貯め、花を咲かせ、稔らせたのに違いない。
人間にとって嬉しい収穫の時も、稲にとってみれば大災難、子孫を残すべき大切な種を全て失う緊急事態だ。何とかしてリカバーしないと絶滅してしまう。
樹木などの多年性の植物であれば、慌てなくても取り敢えず来春に期待しながら冬を越すことが出来る。しかし、一年性の植物にとっては、成長が中途半端な段階で冬を迎えてしまえば、それまでの努力は水泡に帰してしまう。
何としても、種を作ることだけが唯一の越冬手段である。迫りくる冬を前に、短期決戦で種を残した底力に感心した。見事な危機対応力である。
われら人間も含め、全ての生き物にとって種の保存は究極のテーマだ。生存競争と自然淘汰の中で生き残れなかった生物は数多くいた。しかし、今生きている者にとっては逆に先祖をたどれば、はるか遠く地球上に生命が誕生したその時まで、連綿と途切れることなく命のリレーが続いてきていることは間違いない、我らはみんな様々な逆境を乗り越えてきた進化の勝ち組なのである。
かつて恐竜を滅亡させた地球環境の激変や氷河期、害虫、疫病など様々な逆境を生き抜いてきた記憶は遺伝子にしっかり刻まれており、普段は忘れられていても緊急事態がスイッチとなって目を覚ますのだ。人間も幼いころに栄養不足で育つと飢餓対応の遺伝子のスイッチが入ってしまい、栄養をため込んで肥満になりやすい体質になってしまうそうだ。
様々な環境変化に対する適応力は過去の進化の勝ち組としての現生物すべてが持つ能力なのだろう。
稲は長年にわたり栽培され人間に食べられるために品種改良を続けられてきた。人間にとってひこばえが種もみを作る必要性はなくなっているのだが、種としての危機対応プログラムはしっかりと遺伝子にきざまれており、稲刈りと同時にスイッチが入り、復元能力を発揮したのだ。
最悪な条件下でも、何とか種を残すひこばえに生命の逞しさを見た気がした。パンデミックで世界的危機となった昨今、人類の眠れる免疫能力が覚醒して早く乗り越えられるよう願うばかりだ。
さて、一方で人間に庇護されない生物たちにとっての環境は現在、かつてないほどに脅かされてきている。地球温暖化はじめプラスチックごみなど人類の欲深い増殖は多くの生命種にとって最大の脅威となってきている。
さらに人類はついに、進化の大切な記憶が詰まった遺伝子にまで手を付けて己の欲望のために改造するようになってしまった。これは、地球上の多くの生物たちにとって最大の脅威、緊急事態である。
もしかすると地球環境という生命の大きな集合体からみれば、この脅威に対する復元プログラムは既に発動されているのかもしれない。
「人類を減らせ……」と。
(有)赤札堂印刷所
小山研一
Posted on 2020年3月31日(火) 12:00
発行日:2020年 3月31日
発行者:栃木県中小企業家同友会
〒321-0968 栃木県宇都宮市中今泉2-3-13
TEL 028-612-3826 FAX 028-612-3827
E-mail:t-doyu@ninus.ocn.ne.jp
URL:http://www.tochigi.doyu.jp/
企画編集:広報委員会 印刷:有限会社 赤札堂印刷所
※左の画像をクリックするとPDF版がご覧いただけます。
Posted on 2020年3月31日(火) 11:00
News Topic 01 栃木のNEWS
~各社の取り組み~
新型コロナウィルス関連のニュースが日本国内で取り上げられてから、二か月になる。当初は武漢で新しい型のコロナウィルスが広がっているとの他人事であったニュースが、瞬く間に自分達の暮らしにかかわる事態へと変化していった。日を追うごとに変わるフェーズに、半ば翻弄される方も多い中で、同友会メンバーの現実的な対応の速さが心強かった。
(株)こぶしでは、3月10日からすべてのドライバー及び社員の皆さんが、前日どんな行動をして、誰にあったのか(濃厚接触者)、今朝の体温は何度で、健康状態はどうなのか、その毎日のデータを顧客先に転送している。「大手の運送業者は代替えが効くが私たちは何かあったら営業停止になる。最善の準備で臨まなければ50人の社員を路頭に迷わせてしまう。」そんな思いからの行動であった。
また、タカマチ産業(株)の山嵜専務は2月段階での受注の落ち込み、三月前半の状況を踏まえて経営計画書の見直し(栃木同友会covid-19 ニュース4参照)を行った。昨対の落ち込み割合を向こう3か月続くことを想定し、資金繰り計画の作成及び助成金の申請(小山市で1番早かった)を行った。この際に山嵜氏は父である社長と昭和天皇崩御の際の自粛の状況とその当時の自社への影響を聞くことができた。栃木同友会でも世帯交代は進み、かつて起きたオイルショックやバブル崩壊、銀行による貸し渋り、貸しはがし、リーマンショック、東日本大震災でさえも未体験という経営者も増えている。以下にも触れるが同友会はそういった経済の危機を乗り越えた経営者の宝庫である。
山嵜氏の事例を見習い、今だからこそ先代と会話する、先人の知恵に学ぶことが必要なのではないかと思われる。

(株)こぶし 社員向け文書1

(株)こぶし 社員向け文書2

経営計画見直しプロセス
Posted on 2020年3月31日(火) 10:00
News Topic 02 栃木のNEWS
~先人の知恵に学ぼう~
(株)フカサワの深澤会長は過去に3回大きな波に晒された。1992年バブル経済崩壊の翌年、及び2002年のアメリカに端を発したITバブル
の崩壊と、2008年のリーマンショックである。バブル崩壊の翌年(株)フカサワは会社設立以来初めての赤字を計上した。その後社長交代、半年後「フカサワは潰れる」の噂が流れた。噂は大阪の取引業者まで伝播し「本当に潰されると覚悟した」と深澤雄一前社長は語った。噂は3ヵ月で消えた。折れずに継続することで1度目の危機を乗り越えた。
ITバブル崩壊の時には仕事の激減から6名の社員のリストラを行った。社内は疑心暗鬼、信頼関係が崩れ社内は意気が上がらぬまま低迷が続いた。その経験からリーマンショック時にはリストラを行わず、役員報酬のカットを行った。社長は半額、役員は20%、その他支店長クラスは10%など上司ほど厳しく、一般社員の給与には手をつけなかった。実はこの年(株)フカサワは過去最高利益を上げた。その利益は減収されていた役員や支店長クラスを始め一般社員へも還元した。「どんな時でも社員の暮らしを守る」その姿勢は全社員の志気を高めその後の躍進に繋がっている。
深澤氏は、こんな時代だからこそ、ベテラン経営者は伝えるべきことを伝える必要があると語る。今回の新型コロナウィルス感染症はスペイン風邪(1918年~1919年にかけて世界的に流行した急性インフルエンザであり、当時の全世界の3割(6億人)が感染し、2000~4000万人が死亡したといわれている。)の再来などとも言われている。更に約100年前1817年にカルカッタで発生したコレラの流行はアジア全域に拡がり全世界に流行した。「天災は忘れたころにやってくる」の諺通りおよそ100年周期でパンデミックは繰り返される。経済の危機も同様に何度も繰り返されてきた。先人がその時代にどう対応し、何を残したのか、今だからこそできる対話を試みたい。
(深澤氏の体験談は同友会動画≪HP 内≫にて配信予定)
Posted on 2020年3月31日(火) 09:00
News Topic 03 全国のNEWS
~歴史を見てきた巨木「蒲生の大クス」~
「これはでかい。」地上1.3mで周囲が24.22m、高さ30mまさしく樹霊だ。幹には苔は基より「ひば」「南天」他3 ~ 4種、やどり木している。樹齢は1500年以上のようだ。囲いで中に入れない。手の届く所の根っこに触ってみた。「お前は何者じゃ。」と言わんばかりの威厳があった。根っこの一塊が30cm程だ。
関東以北では、なかなか成長しないのだろう。やはり南の地域ならではである。この幹の周囲を4回ほど行ったり来たりしてしまった。余りの大きさに圧倒された時間だった。この大クスは、クスでナンバー1だけでなく、全樹木でも日本一の巨樹であることが分かった。神社境内という環境の中であって保護された為にこのように長寿で大きくなったようだ。

撮影・・鹿児島県蒲生町八幡神社内
[文・写真](株)フカサワ
深澤雄一