No.175_News Topic:栃木のNEWS

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~2024年経営フォーラム~

 栃木経営フォーラム
「自社の『か・だ・い』知っていますか?」

シリーズ例会「インナーブランディング」の完結編

五十嵐久仁子氏 写真

五十嵐久仁子氏

2024年11月22日(金)、ミナミテラスとちぎを会場に「自社の『か・だ・い』知っていますか?」と題した経営フォーラムが開催された。

報告者は、株式会社フロット(山形市)の常務取締役・五十嵐久仁子氏。母体となる田宮印刷株式会社は創業117年を数える老舗企業だが、デザイン部門の子会社だったフロットを吸収合併するタイミングで社名を「株式会社フロット」として新たなスタートを切った。その陣頭指揮を執ったのが五十嵐氏である。

印刷業界の衰退に伴い、事業の見直しが急務に

そもそも吸収合併が生じたのは印刷業界の衰退に端を発する。市場縮小に伴い売上減少を見据えた方針転換と戦略策定が急務だった。そこで売上重視から利益重視へ、量から質への転換を図ることになる。

キーワードは「戦略的縮小」で、具体的には、①市場を見据えコンパクト化する事業と強化する事業に分ける、②製品やサービスの付加価値を高める、③ブランド力を上げる、という成長モデルを描くことであった。

そこで取り組んだのが全社一丸となって会社をつくり変える「インナーブランディング」だった。五十嵐さん自身はデザイナー出身で田宮印刷に入社後、デザイン部門を経て執行役員に、フロット設立時は子会社に移籍して取締役を務めている。

同友会的手法で、“真”の答えを導き出す

インナーブランディングと横文字にすると耳障りはいいが、現実はスマートなものではなかった。まず、愛社精神溢れる古参社員から猛反発にあった。「合併でリストラ?」との噂で社内が騒つく。また、クリエイター的なデザイナーと技術者的なオペレーターとの価値観の違いもあり、全社一丸は程遠かった。

五十嵐さんはトライ&エラーを繰り返す中で、ついに見出したのが同友会的手法だったという。同友会の「社員共育」をヒントに全社員を巻き込んだ委員会活動を実践。①つながる委員会(コミュニケーション活性)、②むりむだ委員会(業務効率)、③いごこち委員会(職場環境改善)、④まなぶ委員会(共育)を地道に続けた結果、社員の自主性や相互理解などに一定の効果があった。

その後、インナーブランディングは次なるフェイズへ。真の顧客とは何か、他社にはない強みは何かなどについて検討を重ねた結果、新たな事業分野を導き出し、①中小企業のトータルブランディング、②想いを繋ぐセールスプロモーション、③大学・教育機関の広報支援、④企画力アップコンサルティングの4つのソリューションを立ち上げる。先に触れた戦略的縮小の答えがこれで、現在のフロットの業務の柱を形づくった。

実践編・ブランドステートメントを創る

後半はブランドコンセプト構築の前段階にあたる「ステートメント(声明)」を作成するミニワークがあった。

ワークシートは「1.自社の観察」と「2.文章にする」に分かれ、最初に機能的価値と情緒的価値の両面から自社を観察し、シートの空白を自身の言葉で埋めていくと、自ずと文章化できる仕組みだ。自身の潜在的な声が自動筆記されるようで興味深く、客観的に自社を見直すよい機会となった。

2024年経営フォーラム 開催時の様子

[文]アデラ・コンテンポラリー
鈴木正則

栃木県中小企業家同友会

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