No.166_News Topic:栃木のNEWS

News Topic 02 栃木のNEWS
~鹿沼・日光支部2月例会~

RTCつながる社会に新たな価値を
~事業承継を越えた先にある事業変革とは?~

櫻井仙長氏 写真

櫻井仙長氏

2月22日、鹿沼市の板屋ビルヂングにおいて鹿沼・日光支部の2月例会が開催された。

上三川町にある株式会社アール・ティー・シーは、現在半導体技術を核として、自動車電装、防衛・船舶、産業機械、住宅設備、医療機器、情報セキュリティ、介護福祉等のマーケットで製品の開発等々実に幅広い分野に及んでいる。

現社長である櫻井氏の父1970年代木製ドラムの製造会社を営んでいた。やがて素材の主流は木製からプラスチックに変わり、つくる商品はビデオデッキの組み立てに変わった。1985年プラザ合意によりドル高の是正が行われると生産の拠点は海外に移転し始めた。アメリカ留学を終え、半導体メーカーに勤めていた櫻井氏が上三川に帰ってきたときには、父の会社は未来が見えない状況になっていた。

上三川に帰ってきて2年後、氏は(株)RTC(R絶対信頼の構築・T卓越した技術力・C無限なる創造性)を立ち上げる。製造の現場が日本から中国・韓国・東南アジアなどに移動していく中で、日本で継続出来るマーケットを求めた。

1990年代世界の半導体の5割は日本のメーカーの製品であった。今では半導体生産量ベスト10に日本企業は一社も入っていない。しかし、日本の経済も成長していないわけではない。RTCにはドイツ・スウェーデン・フィンランドなどの福祉先進国から見学にやってくる。先端技術が超高齢社会をどう支えているのかを知るためだ。

「私たちが目指すマーケットは日本で継続出来るマーケット、まだ伸びることができるマーケットです。」と氏は語る。マーケットを認識するには自分たちの周りの人はどういう生活をしているのか、何に困っているのかを知る必要がある。

「わが社はデジタルな会社ですが、やっていることはアナログです。」RTCの隣には特別養護老人ホームがある。三世代共生の施設であり、保育所もある。この施設と密接につながっている。RTCの社員は全員認知症サポーターを取得し、この施設の職員とも連携する。更に櫻井氏は執行理事になっている。

三世代共生の施設であればそのニーズも多様であり、特に医療の分野においては沢山のヒントがある

例えば介護施設の見守り支援として、利用者がベッドから起き上がる。或いはベッドから床に降りた時に、職員に知らせる機器がある。RTCの得意分野に「何かと何かが接する部分のセンサー技術」があるが、これを活用したシステムだ。

利用者のニーズ(問題)を自社の解決すべき課題に変えることが出来れば、あとはどう具現化するかである。実際の開発段階では自社だけでは難しいこともあるが、「わからければ聞けばいいんです。幸いなことに栃木県には医療系の大学が3校もあります。」と櫻井氏は淡々と語る。

RTCでは栃木県内をはじめ数多の大学、医療機関、学術機関、公的機関との連携を図っている。共同研究で生まれたものは展示会などを通して出展され、製品化して利用者に還元されている。利用者とつながり、様々な専門機関とつながり、誰かの役に立つものを世の中に提供しているのだ。

(株)RTCはアメーバ企業を目指している、その要となるのが社員の育成だ。

「ないないないの中小企業ですから、あらゆる場面を教育現場にします。例えば開発資金の一部となる補助金ですが、補助金を得るには、事業プラン、進捗、完了検査、報告と厄介な工程があります。これらは社員にやってもらいます。この経験は全体を見通す力、そして交渉能力を育みます。」「全体朝礼は週に1回、また全体教育は外部講師を招いて月に1回行います。また、社員にも話をしてもらう機会を作ります。自分が話すと、聞き方がわかる。聞くことが繋げる力を生みます。」と。

RTCでは自ら考える社員の育成が経営の根幹となっている。

ちなみに櫻井社長は地図を眺めるのが好きだそうだ。地図を見ているうちに見えてくるもがあるとのこと。視座を高くすると見えてくるものが変わる。どう見るか、どの角度から見るか、混沌の時代を打開するカギは身近にあるかもしれない。

鹿沼・日光支部2月例会開催の様子

[文]事務局

栃木県中小企業家同友会

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