No.166_News Topic:全国のNEWS

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~第54回中小企業問題全国研究集会 in 三重~

理念実現のため激動時代の潮流に乗れ

宮之雪酒蔵 外観

宮之雪酒蔵

2024年3月7・8日、三重県で第54回中小企業問題全国研究会が行われた。

1日目は12分科会に分かれて開催された。私は第12見学分科会「ブランディングとマーケッティング~業界慣習を打破する「正統派異端系」のブランディング~」がテーマの(株)宮﨑本店 代表取締役会長 宮崎由至氏の報告を拝聴した。

(株)宮﨑本店は創業170年を超える老舗で酒蔵は国の有形文化財に指定を受けている。明治時代は周囲に33店舗の酒蔵があったが、時代の波に飲まれ倒産・廃業が繰り返された。ほとんどの酒蔵は吸収合併され、現在では宮﨑本店のみとなった。

工場見学では2018年に新しく建てた酒蔵や製品の梱包現場などを見学した。新しい酒蔵は、今までの大きいタンクで大量に作る手法ではなく、小さいタンクで常にフレッシュなお酒造り、小回りを活かした新品種造りが特徴だった。また、酒蔵や梱包現場はDX化も進んでいた。

宮﨑氏の報告は、①「時代認識」から始まり②「大企業と中小企業経営者の違い」③「戦略と戦術」④「価格決定権」⑤「付加価値をどうつけるか」⑥「原料から製品へ」⑦「狭く、深く」⑧「企業の維持、発展」の8項目で報告が進んだ。私が特に印象に残ったのは「時代認識」、「戦略と戦術」、「付加価値をどうつけるか」であった。

「時代認識」では、現在は「総務の時代」だと語った。AIやDXが進んでも会社を回すのは人であり、人の採用・定着は必須だ。また、2024年問題で物流が停滞するなか滞りなく仕事を進めるには総務の力は重要になる。

「戦略と戦術」について宮﨑氏は、【戦略】とは役員が会社の方向を決めたもので、【戦術】とは各現場が戦略を達成するための行動指針と言った。当時の宮﨑本店は、4ℓサイズのキンミヤ焼酎を主力として販売していたが、他社との価格競争から薄利だった。宮﨑氏は状況を変えるべく戦略として、「値下げしない」ことを決めた。戦略を決めた後は自社のお客様を調べ、キンミヤ焼酎の売り方を変え4ℓから600㎖にサイズを変更した。

宮の雪樽 写真

宮の雪樽

飲食店では4ℓの瓶は棚に陳列されて見栄えは良いが、実際に卓上に来た飲み物の銘柄は分からない。それが600㎖の瓶ならお客様が手酌で飲む事から認知度を高める事ができた。

「付加価値をどうつけるか」では売場と顧客の選別が必要だ。「スーパーや問屋、チェーン店では、担当者と良好な関係を作れたとしても、価格を決めるのは会社でありビジネスパートナーとして捉えるのは難しい。それなら実際に飲んだ人の声が聞こえる飲食店の大将等をビジネスパートナーと捉えた方がお互いに成長出来る関係になる。」と語った。

最後に宮﨑氏は人生を楽しむためには、「蛇口を閉めるな」と言った。何かに取り組み、情報の間口を広げていれば、人と繋がり人生は楽しくなると語って報告が終了した。

宮﨑氏の報告は学びが多く貴重な体験だった。

[文](株)シンデン
八木匠

栃木県中小企業家同友会

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