新春対談

2022年 新年あけましておめでとうございます

栃木県中小企業家同友会 新春対談

代表理事 八木 仁 (株)シンデン 代表取締役
代表理事 山中 重雄 (株)こぶし 代表取締役社長

新春対談八木氏と山中氏の写真

八木仁氏            山中重雄氏

 あけましておめでとうございます。
 コロナ過で迎える2回目のお正月になってしまいました。早くコロナを意識しなくとも良いような環境に戻って欲しいと願い、我々にできることにまい進していきましょう。

それぞれの業界の現状を鑑みる

山中氏

某自動車メーカーの栃木工場は、金・土・日を休みとし、海外への輸出も止まっているようです。ブレーキパッドなど関連した部材の製造も止まっています。半導体の供給不足は様々な分野の製造を止めています。資材関係の運搬に関しても現在運んでいるものが昨年度の受注分です。今年度の新規受注が少なくなっていることを考えると今後の輸送量も厳しくなることが予想されます。食品関連などはほとんど変わらずに動いていますが、パイの減った市場では、すでに寡占化されていた分野においても過当競争が始まっているようです。

八木氏

おっしゃる通り製造に関わる業界によっては壊滅的な状況に追い込まれているところもあります。自社においては、これまでいろいろな仕事を手掛けてきたおかげで、一気に仕事がなくなるという状況は回避しています。素材を提供する会社と取り組むことで工賃収入をメインにやってきましたので、素材の高騰も若干ですが軽くなっていることを実感します。

強靭な会社作り

八木氏

当社の話ですが、昨年9月に息子を専務取締役として迎えました。その時に、経営者としての心構えなどを話していくなかで、第1にあげたことは「会社には組織化と役割が存在する」ということです。ある方から「会社(組織)は一人では出来ないことをする為に生まれた」と聞きました。当たり前の言葉ですが、突き刺さった言葉でした。組織は「一人ではできないこと」、「信頼を得る」ために作ら(組織化さ)れ、構成員や部署には「役割」が生まれました。さらにそこには「申し合わせ」と「教育・訓練」が必要になりました。

 「中小企業における労使関係の見解」(労使見解)の一文に、「いかに環境がきびしくとも、時代の変化に対応して、経営を維持し発展させる責任がある」と謳っています。また企業家の「企」には「爪先立つ」という意味があります。少しでも背伸びをして、先の変化を見ようとすることはわれわれ企業家の役割で、責任の一つでしょう。

 要するに、社長は少し先を一生懸命に見て、そして考えた方向には、社員のみんなの力を結集して進んでいくという事でしょう。

山中氏

当社は、これまでも下請け運送業者に対しては適正な価格を支払い、買い叩くようなことはしてきませんでした。その姿勢のおかげで当社の仕事を優先して扱ってくれます。そして、お客様にあいまいなことや嘘をつかないこと、定期便で運航している顧客に対してはドライバーを変えないこと、さらにお客さんの業界について学び精通することで、提案ができる関係になっていくことで付加価値を高める工夫を続けてきました。社員が作ってくれる顧客とのコミュニケーションにより、働き方改革等への対応に関してもスムーズに取り組めるようになっています。

 しかしながら社員との信頼関係づくりは時間がかかります。まず社長のことを信頼してもらうためには、決めたことを社長が率先して守ることが重要です。

 そして何か問題が起きればみんなで討議し最善策を探ってきました。当社では事故が起きた時は、その当時のシチュエーションを基にグループ討論を行います。何が問題だったのか、どうすればよかったのか…、そうした“振り返り”を行うことで事故は減っていきましたし、同時に隠し事が起きないような体質もできてきたのだと思います。

社員の成長と共に会社も変わっていく

八木氏

体質を改善していくには時間が必要ですね、同友会では、2016年に発行された「経営指針成文化と実践の手引き」で、「年齢構成表」・「10年ビジョン」を経営指針の中に入れていこうということになりました。

 当社の社員を見ていると、有給休暇の取得事由が年代によって特徴があります。30代半ばまでは自分自身の為、40代半ばまでは子供の為、50代半ばは介護の為、それを越すと自分の為に休暇を取ります。

 「10年ビジョン」は、一人一人の体の変化とあらゆる環境の変化を10年単位で考える時、10年後どのような会社でどのような仕事をしていきたいかを、社員さんと皆で考えることを同友会では推奨しています。

 長い時間の間に積み上げてきた過去が今の結果に結びついていることは、山中さんの事例からも明らかではないかと思います。過去の努力が今の結果である以上、今の取り組みが未来をつくります。刹那的に利を追うことなく、社員を最も信頼のおけるパートナーと位置づけ「自社の存在意義」を追求すること以外に未来を変えることはできないのだろうと思います。

 2022年も激動の年になることが想定されますが、同友会はその発生時より「激動を友に」社員と共に強じんな経営体質づくりに勤しんで参りました。今年も同友会にて知恵を集め時代に翻弄されない会社づくりに取り組んでまいりましょう。

[文責]事務局

栃木県中小企業家同友会

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