Posted on 2015年8月1日(土) 09:00
連載03 合同説明会はつらいよ(下野新聞 2015年4月22日掲載)

現在各社で、来年度の新卒者を対象にした合同企業説明会、いわゆる合説が開催されている。新卒採用を計画している企業が一堂に会し、学生たちが関心のある企業の話を聞くというものだ。
机を挟んで、自社の業務内容を説明する担当者と熱心に話を聞く学生たち。そのような写真がこの時期になると、よく新聞に載る。
しかし現実は、企業の知名度等によって、学生が一人も座っていないというところもあるのだ。
私が社長に就任した直後、初めて参加した合説では、椅子に座り、キョロキョロし、時々ウロウロすること以外やることがなかった。午後1時から5時までの開催で、終了間際にやっと1人という状況であった。
合説への申し込みが遅かったので、メインの会場には入れず、外の廊下の一番端にブースが割り当てられた。机の横は喫煙所。タバコを吸っていた学生とは一言二言話しはしたが、前の席には来てくれなかった。
途中何回も参加企業ガイドを見ながら、会場の学生と企業の様子を確認した。
「どうしてうちには学生が来てくれないのか?」、「おかしい!」、「みじめだ!」と思った。
求人広告やハローワークでは、求職者が来ないとき、他社の状況が見えないので景気やタイミングのせいにできる。それが合説で、学生が座れず立って聞いている他社のブースなどを見てしまい、いろいろと考えざるを得なかった。
われわれ企業家の中には合説で同じような経験をし、会社を変えてきたという者が多い。この情けない合説は私にとっても経営の考えを変えるきっかけとなった。
企業には三つの側面がある。一つ目は「科学性」。どんな商品・サービスを行っていくのか。二つ目は「人間性」。社員との関係はどのようなものか。三つ目は「社会性」。関係先を含め社会との関係はどのように考えていくのかというものである。
当時の経営は、一つ目の「科学性」を重視し過ぎており、「地域」との関係性が強い残り二つの側面はおろそかになっていた。その後は「地域」での在り方も意識して、
三つの側面を強化してきた。
「中小企業家同友会」では、良い会社、良い経営者を目指すだけでなく、企業として存在していくために、地域社会も含めた経営環境の充実も目指している。会社、経営者が良くなっても、関係先そして地域に働く人がいなくなると、企業は回らなくなる
からだ。
他県に比べて栃木の若者は地元で就職するよりも都会で働きたいという人が多いと聞く。高校卒業後、修学のために離れることは仕方ないが、就職はぜひ県内を検討して
もらいたい。
ところで、県内の高校の評価にはいろいろあるが、人口減対策の観点から考えると卒業生が県内で暮らしている人の多い学校が良い学校ではなかろうか?
「地域に働くところがない」というのであれば、高校のカリキュラムに「起業プログラム」を組み込んでみてはと思う。
Posted on 2015年8月1日(土) 08:00
連載04 「アンパンマン」に学ぶ(下野新聞 2015年5月27日掲載)

「そうだうれしいんだ 生きるよろこび たとえ胸の傷がいたんでも~」これはアニメ「アンパンマン」の主題歌「アンパンマンのマーチ」の出だしの部分である。
東日本大震災から3~4日後のある日、あるラジオ番組に「アンパンマンマーチを流してください」というリクエストがあった。放送されるやいなや避難所では、子どもたちがラジオに合わせて大合唱。それを聞いた大人たちは涙し感動した。それからラジオ局は連日この歌を流したという。
地震の後、事務所の電話が鳴らないので寂しいと感じ、ラジオをつけていた。私もこのアンパンマンのマーチを聞き、勇気づけられた。
20年前、子どもが2歳か3歳の頃、妻が「アンパンマン」の主題歌を聞くと涙が出そうだと言った。私にとって「アンパンマン」はテレビで垣間見る程度、曲は少し聞いたことがあるぐらいだった。歌詞をよく読んでみると確かに奥が深い。その後しばらくの間、携帯電話の着メロは「アンパンマンのマーチ」だった。
ところで「中小企業家同友会」では会員に「理念」「方針」「計画」の三つで構成されている「経営指針書」をつくることを奨めている。特に事業を行う上で、「理念」は経営者の社会に対する責任や社員に対する経営の基本的なあり方を表わしたもので重要と考えている。その「理念」を考える過程で、「自分は何のために経営をしているのか?」という問いにぶつかる。多くの経営者は、そんなこと考える暇なくいろいろな業務に追われてきているので、答えを出すのに少なからず苦労する。
「アンパンマンのマーチ」の最後は「みんなの夢を守るため」というフレーズで終わる。これを知った時、私にとって、先の問いの答えはこれだと思った。
「働く」ということには「生活」のためだけでなく、「かっこいい車に乗りたい」、「庭のある家に住みたい」、「子供を大学に通わせたい」、当社のある社員の夢などは「家に水族館を作りたい」といった夢も上乗せされている。よく「社長さんは社員やその家族の『生活』を支えているので大変ですね」と言われる。会社が傾いた時、「生活」の方は完ぺきとはいえないだろうが、雇用保険などでかなり守られていると思う。しかし、夢の方は修正を余儀なくされるであろう。だからこそ大変で、企業を維持させることはアンパンマンのようにみんなの夢を守っていくことだと思った。
先日、合同面接会に入社2年目の女子社員を連れて行った。学生から「あなたはなぜ入社しようと思ったのか」と聞かれ、「会社見学の時、こんな先輩方と共に働けたら楽しいだろうなと思ったから」と彼女は答えていた。それを聞いて、畑から予期せぬ「芽」が出たと思った。
「アンパンマンのマーチ」を意識するようになって20年、「みんなの夢を守る」ということは、「芽」を成長させ、すばらしい「実」がなるように、「会社」という「畑」を手入れしていくことだと考えるようになった。
Posted on 2015年6月15日(月) 12:10
発行日:2015年 6月15日
発行者:栃木県中小企業家同友会
〒321-0968 栃木県宇都宮市中今泉2-3-13
TEL 028-612-3826 FAX 028-612-3827
E-mail:t-doyu@ninus.ocn.ne.jp
URL:http://www.tochigi.doyu.jp/
企画編集:広報委員会 印刷:有限会社 赤札堂印刷所
※左の画像をクリックするとPDF版がご覧いただけます。
Posted on 2015年6月15日(月) 12:09
News Topic 01 全国の話題 ~第45回 中小企業問題全国研究集会報告~
経営者の熱意なくして人財の育成無し!
今年3月5~6日、パシフィコ横浜で中小企業問題全国研究集会が開催され、全国から1203名が集まった。
1日目は18の分科会に分かれての報告、グループディスカッションが行われた。私は人材育成がテーマの分科会に参加。報告の中で「外国人労働者を採用しようとしたところ、言葉が通じないなど社内の猛烈な反対にあった。しかし、日本人同士でも言葉が通じていないケースが多々あると押し通して採用。結果として彼らのひたむきな姿勢が社内全体にとても良い影響をもたらした」というエピソードが印象的だった。その後のディスカッションでは経営者がいかに本気で従業員と向き合えるかがキモになるという話で大いに盛り上がった。
2日目は崎陽軒の野並社長による全体講演で締めくくられた。3代目である野並社長の、伝統を守りながらローカルブランドとしての崎陽軒を守り、育てようという熱意がひしひしと伝わり、あっという間の90分だった。余談だが崎陽軒の創業者は鹿沼出身とか。商品名がシュウマイではなく、シウマイというのはなまりのためだそうだ。
次回は来年2月18~19日に香川県で開催予定。普段会うことのない経営者の生の声が聞ける素晴らしい機会なので、次回もぜひ参加しようと思っている。
[報告] 共に育つ経営研究部会・副部会長
石川大樹 / (有)イシカワ
Posted on 2015年6月15日(月) 12:08
News Topic 02 栃木の話題 ~第30回定時総会報告~
閉塞感を打ち破り、躍進の年にしよう!

国吉昌晴副会長
今年4月20日、ベルヴィ宇都宮を会場に本会の第30回定時総会が開催された。
総会は第1号議案の14年度の報告を代表理事である私、シンデンの八木より、決算報告を副代表理事の共立・石綱会員より、そして監査報告を小林会計事務所・小林会員より行った。続いて第2号議案(本年度体制)、第3号議案(予算)も議案通り可決された。これにより再び私八木が代表理事に、新任の理事を含み新体制は発足した。この体制で会の発展に努めたいと考えている。
八木澤社会保険労務士事務所の八木澤会員の提案から、30年目の区切りとしての活動を理事会等で検討していくことを回答した。
その後、中小企業家同友会全国協議会・国吉昌晴副会長の基調講演「同友会は魅力がいっぱい」が行われ、会発足前の話から、全国の同友会会員の会社・地域が変わった事例の報告があった。
懇親会は盛り上がり、近年の閉塞感を打ち破ることを期待させるものであった。
[報告]代表理事 八木 仁/(株)シンデン