『 No.194 』カテゴリーの投稿一覧

No.194_目次

  • 発行日:2026年7月31日
    発行者:栃木県中小企業家同友会
    〒321-0968 栃木県宇都宮市中今泉2-3-13
    TEL 028-612-3826 FAX 028-612-3827
    E-mail:t-doyu@ninus.ocn.ne.jp
    URL:https://www.tochigi.doyu.jp/
    企画編集:広報委員会 印刷:有限会社 赤札堂印刷所
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No.194_News Topic:全国のNEWS

News Topic 01 全国のNEWS

中同協第58回定時総会 in 静岡

「地域の隅々に 人を生かす経営の 実践企業を広げよう」をスローガンに7月9日と10日の2日間、中小企業家同友会全国協議会の第58回定時総会が静岡
市において開催された。この総会の意義・目的は4つある。

1つ目は、「同友会理念の実践と継承」 三つの目的(よい会社・よい経営者・よい経営環境)と自主・民主・連帯の精神を改めて学び、同友会と企業経営を一体として実践し、その成果と教訓を次代へつなぐこと。

2つ目は、「人を生かす経営と企業づくり」真の人間尊重に基づいた経営を学び合い、21世紀型中小企業づくりの実践を交流し、時代の変化に対応できる企業体質の強化に取り組むこと。

3つ目は、「地域と共に歩む中小企業運動」中小企業憲章・条例推進運動を展開し、地域の人々と共に地域づくりと経営環境改善に取り組むことで、中小企業の社会的地位の向上と魅力発信につなげること。

4つ目は、「新しいステージに立つにふさわしい組織へ」 同友会理念の体現者を増やし、地域に同友会の輪を広げ、5万名会員達成に向けた強靭な組織づくりをめざすこと。

このスローガン、意義・目的のもと企画された、総会議事や特別報告から構成される全体会と14からなる分科会において、全国各地から集まった約1,000人の経営者と共に2 日間にわたって学びを深めた。

分科会においては、経営戦略の再構築をテーマとした「『このままでは続かない』から始まった経営戦略の転換~『断る』決断から始まった企業体質強化」へ参加した。この分科会を選択した理由は、自社の課題
に対する強い危機感からです。仕事を断らないゆえに多角化が一層進み、各セクションが売上至上主義へと傾くなか、目の前の仕事をこなすことを優先したグループとなっていました。その結果、目的や目標を共有したチームとしての機能が損なわれ、社員個々の存在意義が薄まってきていることに危機感を抱いたのです。「何でもやる会社」から人を生かすためにも「提供する価値で選ばれる会社」へと転換する必要があるとの考えが強くなっている。

経営体験報告を聞き、グループ討論を経たうえで私が得たものは、こうした事態を招いたことは経営者である私の失敗であるが、「①課題を見つけ、逃げずにまずは行動する⇒②行動し続ける⇒③失敗し、痛みを知る⇒④本気になる⇒⑤成長につながる⇒①さらに良くしようと一段上の課題を見つける」という循環を続けることの大切さであり、こうしたことを続けられる意欲をまだ私は持ち合わせているという自信である。

普段から我々は良い会社、良い経営者になるために多くの努力と実践をしている。本気でやろうとすればするほど大きな痛みが伴う。しかしながら、その痛みを味わって初めて本気になることで、本当の成長につながり、人が生きる強靭な企業体質を作り上げていくことができると思う。そしてこの痛みを互いに対等な立場で交流させることは、痛みに屈しない自らの耐性をつくることになる。更に集まった仲間同士が連携すれば自分たちの力で良い経営環境をつくることが可能となり、もう一段上のステージへと上がることができる。こうした可能性が栃木同友会には無限にあると私は確信している。

来年の総会は7月15日と16日に香川県高松市で開催予定である。栃木同友会の多くの仲間と高松へ赴き、学び合い、高め合って帰って来るのが今から楽しみである。

[文責]小岩 圭一(代表理事)
株式會社総研 代表取締役社長

No.194_News Topic:全国のNEWS

News Topic 02 全国のNEWS
全国事務局員「学びと成長」研修会 参加報告

~共に歩む「真の事務局」を目指して~

会員の皆様、日頃より同友会活動にご尽力いただき、誠にありがとうございます。 去る7月16日、17日の2日間にわたり開催された、2026年度全国事務局員「学びと成長」研修会に参加してまいりました。今回の研修は、全国から集まった同友会事務局員(入局0~3年)が、理念や役割を再確認し、相互に学び合うことを目的としたもので、研修生およびサポーター総勢34名が参加しました。

1日目の第1 講では、中同協専務幹事の佐藤紀雄氏より、同友会運動の歴史と理念について学びました。その中で特に心に残ったのが「中小企業家同友会の願いは、孤独な経営者をなくそう、地域を元気にしていこう」という言葉です。 私自身、日々の業務を通じて「経営者ほど孤独で、一人で壁に立ち向かう機会が多いのではないか」と感じていました。同友会という場があることで、その壁を乗り越える知恵や方法を見出すことができると感じます。私たち事務局は、そんな皆様の伴走者でありたいと改めて強く思いました。

第2講では、株式会社エイチ・エス・エー代表取締役の田中勉氏より、リカレント教育や答えに縛られない生き方についてお話を伺いました。「安定は×、夢を持て、冒険心を忘れるな」という熱いメッセージの一方で、グループ討議では若手事務局員たちからリアルな声も上がりました。「夢を持つのは大切だが、安定という足元がしっかりしていないと冒険や挑戦はできない」という意見でした。 会員の皆様の中にも、若い頃から身一つで苦労を重ね、ようやく安定した土台を築き上げたからこそ、今の新しい挑戦があるという方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。生活や経営の「底辺の安定」があってこその冒険。それぞれの立場や世代によって見え方は異なりますが、そうした多様な背景を理解し合うことも大切ではないでしょうか。

2 日目は、各地の事務局員による実践報告とグループ討議が行われました。 広島同友会の保田氏の実践報告では、会員の皆様を単なる「経営者」としてではなく「仲間」として捉え、相手の話を「ちゃんときく」姿勢の重要性が語られました。時にはモヤモヤすることもあるかもしれませんが、それを放置せず、しっかりと確認して対話していく。それこそが信頼関係の第一歩だと気づかされました。

中同協の中根氏の報告からは、事務局員は同友会の手引きを読み込むこと、自ら新しい提案をすること、そして仕事の目的意識を持ち初心に返ることなど、それらの重要性を再確認しました。私自身、入局したときにさらっとしか読んでいなかったと反省しました。「働きがいは自分でつくる」という言葉が印象的でした。

グループ討議では、多くの事務局員が「会員さんの会社を訪問したいが、どう行動していいか分からない」「先輩事務局員に色々相談したいが、迷惑ではないかと悶々としてしまう」という意見が、多々ありました。私自身は、日頃から専務理事に何でも相談できる環境におりますが、だからこそ甘えることなく、もっと主体的に動かなければと背筋が伸びる思いでした。 研修全体を通して出た結論の一つが、「やはり会員訪問をやるべきだ」ということです。単なる事務作業をこなす「事務屋」ではなく、皆様の顔が見える「真の事務局」へと成長するためには、現場に足を運び、会員の生の声を聞くことが何より重要で、その延長線に会員同士を繋げるのが大切だということでした。

今後は、役員の方々との同行訪問など、訪問方法を模索しつつ、皆様の会社をもっと深く知る努力を重ねてまいります。そして、そこで得た気づきや皆様の奮闘ぶりを、本会報誌の「商い話」などのコラムを通じて積極的に発信し、会員同士の新たな繋がりを生み出すお手伝いができればと考えております。 まだまだ未熟ではございますが、皆様とともに学び、成長していける事務局を目指してまいります。今後とも、忌憚のないご意見とご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

[文責]江口 好子(事務局)]

No.194_コラム

コラム

AIを使っていて感じること

AIを使うようになって、改めて感じることがある。AIとうまく付き合うためには、AIそのものを知ることよりも、自分自身の知識や経験を整理し、それを言葉にできる能力が重要だということである。私は、このことを生成AIが登場する以前から経験していた。十年以上前、社員に「これを調べておいてほしい」と依頼し、インターネットで検索をしてもらったことがある。しかし、その社員は目的の情報にたどり着けなかった。そこで自分で検索してみると、数語入力しただけで目的のホームページが見つかった。当時は、「検索が得意だから見つけられた」のだと思っていた。しかし後になって振り返ると、違っていた。違っていたのは検索技術ではなく、基礎知識である。知識が違えば、検索するときに思い浮かぶ単語が違う。検索語が違えば、当然検索結果も違ってくる。つまり、検索とは知識を言葉へ変換する作業だったのである。生成AIでも、この構造は変わらない。

現在、私は一般公開されている情報から名簿を作る作業をAIに手伝わせている。しかし、思ったような結果を得るためには何度もプロンプトを書き直さなければならない。同じAIでも、命令文を少し変えるだけで結果は大きく変わる。なぜそうなるのか。AIは、人間のように「言わなくても分かる」という前提を持っていないからである。曖昧な指示を書けば、曖昧な結果が返ってくる。逆に条件を具体的に書けば、結果も安定する。仕事でAIを使うほど、このことを痛感する。遊びで相談をしたり、アイデアを出してもらったりするのであれば、多少AIが推測しても問題はない。しかし仕事では、推測では困る。仕事では、再現性のある結果が求められる。そのためには、AIが迷わないように条件を整理し、言葉で表現しなければならない。

現在の生成AIは、LLM(大規模言語モデル)と呼ばれる仕組みで動いている。AIは人間のように意図を理解して文章を書いているわけではない。学習した膨大な文章の中から、もっとも可能性が高い言葉を選び続けて文章を生成している。だから、曖昧な指示を与えれば、その曖昧さを埋めるためにAIは推測を始める。仕事で欲しいのは推測ではない。だからこそ、人間が曖昧さを減らして指示を書く必要がある。LLMの仕組みを知ってから、私は「AIは賢い」というより、「こちらの伝え方が結果を決める」と考えるようになった。日本には昔から「あうんの呼吸」という言葉がある。共通の経験や文化を持つ人同士であれば、言葉が足りなくても意思疎通できる。しかしAIには共通体験がない。一つの言葉から考えられる可能性が無数に存在する。だから、人間以上に曖昧な表現が通用しないのである。AIは、人間のように察してはくれない。

栃木同友会の「経営指針をつくる会」では、週二回、「事実」と「感情」を分けて短文を書くワークを行っている。受講生はLINEで近況報告を書き、それをサポーターが添削する。これを約四か月、三十回ほど繰り返す。最初は事実と感情が混ざった文章を書く人が多い。しかし、回数を重ねるにつれて、「起きた事実」と「自分が感じたこと」を分けて書けるようになる。私は、この訓練はAI時代に非常に意味があると考えている。AIは感情は動かない。事実と条件を整理し、必要な情報を言葉で伝えたときに、初めて期待した結果を返してくれるからである。ここで誤解してはいけないことがある。言語化能力だけがあればよいわけではない。言葉は器でしかない。その器の中に入るものは、知識と経験である。知識がなければ考えられない。経験がなければ判断できない。AIは知識や経験を持っているように見える。しかし、それは人間のように経験して得た知識ではない。だから、AIに何を考えさせるかを決めるのは、人間の役割である。知識や経験が豊かな人ほど、AIへ投げかける問いも深くなる。そして、その知識や経験を正確な言葉へ置き換えられる人ほど、AIから得られる結果も質が高くなる。つまり、知識・経験が思考を生み、言語化能力がその思考をAIへ伝える。このどちらが欠けても、AIは十分な力を発揮できない。

近年、文章を読む力が落ちていると言われる。『本を読めなくなった人たち』でも、その傾向が指摘されている。文章を読まなければ、文章を書く力も育たない。文章を書く力は筋力と同じである。使わなければ衰える。AIが文章を書いてくれる時代だからこそ、自分自身が読むこと、考えること、書くことをやめてしまえば、言葉を扱う力は少しずつ失われていく。

私はAIが普及すれば、仕事はもっと楽になると思っていた。実際、便利になったことは間違いない。しかし実際に仕事で使ってみると、AIが仕事をしてくれるようになったのではない。人間の考え方や伝え方が、これまで以上に問われるようになったのである。AIは曖昧な質問にも、それらしい答えを返してくれる。だからこそ、人間は曖昧なまま考えることが許されなくなった。AI時代になっても、知識や経験の価値が下がることはない。むしろ、その価値はこれまで以上に高まると私は考えている。知識や経験があるからこそ、本質的な問いを立てることができる。そして、その問いをAIが理解できる言葉に変換できて初めて、AIは本来の力を発揮する。AI 時代に求められるのは、知識だけでも、経験だけでも、言語化能力だけでもない。知識と経験を積み重ね、それを正確な言葉に変える力。この三つを磨き続けることが、これからますます重要になっていくのである。

[文責]石綱 知進(専務理事)
株式会社共立 代表取締役

栃木県中小企業家同友会

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