Posted on 2025年12月26日(金) 13:49
Posted on 2025年12月26日(金) 13:35
「何が何でも生き残る」を胸に、
激動の時代を乗り越える学びの基盤を築いた一年

2025年は、我々中小企業家にとって、経営の前提そのものが揺らぐ激変の年となった。米国の相互関税政策の本格化、胚史
的な円安と物価高騰が進行し、加えて世界情勢が不安定化する中、中小企業にとって平和があって初めて経済活動が行えるという現実を痛惑した。また、地方の停滞が加速し、「全く先が読めない環境」での経営判断が常に求められた一年であった。
この一年を振り返ると、我々は「経営の畑を耕し、種まき、根をはる一年~ 1年で終わらない経営の畑づくり、3年は企業づくりを~」と定時総会で決議したテーマに基づき、質の高い学びを追求してきた。5月の定時総会では、京都大学名誉教授の岡田知弘氏から、激動する外部環境の客観的な情勢分析をいただき、さらに11月経営フォーラムでは、都留文科大学の古屋和久教授を招き、「わからない」と言える「居場所」、すなわち社員が自ら育つ学習する組織文化の作り方を深く考えた。
また、組織の基盤強化にも注力した。事務局では迅速な月次決算と数値の透明化が実現し、運営改善と支出抑制の努力により、財務体質は改善した。また、AIを駆使して業務範囲が広がり、例会運営のサポート等、会員活動のサポート範囲を広げることができた。我われ栃木同友会は、多くの課題に向き合った2024年度の「畑を耕す」段階を終え、2025年度は活動の「種をまき、根がはりはじめた」年であると総括できる。
その上で、昨今の外部環境の変化を踏まえ、我々栃木同友会は、活動の柱を明確にしたい。それは、「何が何でも生き残るJ「仲間と共に生き残る」「暮らしと共に生き残る」「時代を超えて生き残る」ための経営を深く探求し、会員がそのための学びと体験を得られる場となることである。
この不透明な時代を乗り越えるには、外部環境の把握と、自社の揺るぎない理念と社員の信頼関係こそが不可欠である。
来たる2026年、我々の学びの場はさらなる高みを目指す。5月の総会では、「絶対にあきらめない~地域と共に存続を目指す銚子電鉄の挑戦~」と題し、竹本勝紀社長に登壇を依頼する。竹本社長からは、数字による現状把握、仮説と実行という徹底したPDCAサイクルに基づく、時代を超えて生き残るための実践的な経営姿勢を学ぶ。
激変の時代だからこそ、我われ中小企業家は同友会という場で、学びの場を深め合い、互いに育ちあうことが重要です。この学びと体験の場は、必ずや皆さまの企業づくりに役立つはずである。熱意をもって活動にご参加ください。
[文責]斎藤 秀樹
栃木県中小企業家同友会 代表理事/(株)ウィステリアコンパス
Posted on 2025年12月26日(金) 13:19
News Topic 01 栃木のNEWS
2025経営フォーラム
「わからない」からはじまる「ひと」の育ち合い
~学ひ合う文化をすべての組織に~
11 月21 日、栃木県総合文化センターにて栃木中小企業家同友会2025 経営フォーラムが開催された。同友会会員30名、オブザーバー11名の合計41名が参加され、基調講演では都留文科大学教育学部教授の古屋和久氏を講師としてお招きし、ご講演いただいた。
私が初めて古屋先生を知ったのは、「学び方を学ぶ」をテーマとした2023年県央支部10月の映像例会だった。『28の瞳~学び合う教室~ NHK ETV8』(2012年2月にNHKで放映)における、古屋先生の独特で斬新な子どもたちへの関わり方は印象深かった。当時、私と同様に古屋先生の教育方針に魅了された参加者と、実際にお会いしてもっとお話を伺いたいと感想を伝え合った記憶がある。
その後、2024年8月神奈川県同友会開催の講演会で古屋先生が講演されると聞き、私自身、数名の方と迷わずオブザーバーとしての参加を決めた。実際に講演を拝聴し、念願かなって直接お会いできた時の感動は忘れられない。おそらく今回の経営フォーラムの企画は、この時点でほぼ決まっていたように思う。
基調講演の18時35分から約80分間、参加者全員、古屋先生の独特な雰囲気での語り方に菓中して聞き入っており、とても短く惑じた。その後約50分間、グループに分かれての討議や活発な話し合いが行われ、数グループからの質問に古屋先生が応えられ、最後は座長の小岩代表理事のまとめで会を締めくくり閉会となった。
古屋先生が考える教育とは、児童や学生が自主的に問題点に向き合い、仲間たちと協力し合って答えを導き出す経験を活かし、教師はその一助となることが望ましいということかもしれない。言い換えると、教室で学ぶ者は、柔軟な考え方を持ち、相手の考えを尊重し、仲間と関わりながら成長していくことが大切なのだ。教師が解決策を与えてばかりでは、本当の意味での成長には繋がらないとも捉えられる。この事は中小企業家同友会の考え方と近似しているのではないか。
「わからない」ことを「わかった」振りをしてしまうよりも、「わからない」ということを素直に認め「わかろうとする」ことが非常に大切なのだと、先に述べた2年前の県央支部例会時の映像でも伝わってくる。これは、私たち中小企業家にも言えることである。経営者自身、社員や関係業者に「わからない」と言えているだろうか。素直に「わからない」を言い合える関係性を持つことは、自他ともに成長するためには必要なことだと考える。学校での「教室文化」は、会社内の「企業文化」にもおおいにつながるものな
のだ。
今回オブザーバーの中には6名の教職員が含まれている。6名の内訳は、中学校教諭2名、高校学校教諭4名であるが、講演後のグループ討議では、それぞれの立場で各々の考え方を伝え合い、私たちと共にグループ討議に参加され、教育関係者として今後のヒントを持ち帰られたなら幸いである。同友会のフォーラムや例会の企画の中で、産官学金の中の「学」に関わる方がここまで多く参加された企画は今までなかったのではないだろうか。
私たちにとっても、6名の教育関係者から間接的に私たちの中に落とし込めることが多くあったことも確かであり、今回の企画は、教育の観点から「学び合う文化の大切さ」をわかりあえる、非常に有意義なフォーラムであった。
今後、全県行事のテーマは、今回のテーマから引き継がれることとなる。学びの共同体はまさしく、栃木県中小企業家同友会の今後のあゆみを形容するものである。
[文責]臼井 進
U-TEC株式会社 代表取締
Posted on 2025年12月26日(金) 12:03
News Topic 02 栃木のNEWS
長野同友会塩尻支部道中記
(木曽路は遠かったです)
きっかけは、ある人の軽いひと言だった。
11月某日の昼すぎ、LINEが入る。
「新しい事務所を出したから、あそびに来ない?ひまだからw」
なんだそれ、と首をかしげたが、気は向いた。
理由は分からない。けど、こういう誘いは断りづらい。
「14時半なら行ける」と返した。
新しい事務所は、宇都宮市の住宅地の中。
ガレージハウスみたいな外観で、これまでの会社の場所を思うと、かなり意外だ。
外階段を上がってインターホンを押すと、本人が顔を出す。
なかに入ると、青いバランスボールがいす代わり、モニターが二台、うしろには本棚。
士業とか、クリエイターが好む空気だった。
ひと仕事をすませた彼が戻ってきたので、「なんでここに事務所?」と聞くと、ちらしを一枚出された。
作業着の猫がいて、今までの仕事とは違う文言が入っていた。
ここは新しい商いの拠点だった。
仕事の話、世間話、いろいろ話しているうちに、外は夕方。
帰ろうとしたら、また声がかかる。
「11月下旬に、長野の例会に行くけど、空いてる?あいてたら一緒に行かない?」
その日は、自分の誕生日だ。
予定はなかったので、OK した。
当日、自分は三十一歳。
その人を車に乗せ、塩尻に向かう。山に入ると、まこうして、あの人のひと言でひらいた誕生日の予定わりは暗い。
会場そばには保存地区の看板があり、ルートに迷いながら、なんとか奈良井の宿場町へ。
公民館には「熊注意」のポスター。
受付をすませ、名簿を見ると、四国からの参加者までいた。
話し手は同い年。「人が成長する条件」というテーマ。熱い話、こちらの胸も動いた。
そのあと、懇親会の「なべを囲む会」の案内があったが、場所が精密機械工場。
さすがに帰り道3時間はかかるので、ことわって帰る。
帰り道の運転中、日が変わり誕生日はしずかに終了。濃い霧の中をゆっくり運転する。
次の日はいつもどおり出社。
社員に「ねむそうですね」と言われる。
顔に出る自分に、ため息まじりの笑い。予定の管理は大事だと痛感した。
こうして、あの人のひと言でひらいた誕生日の予定は終わる。
そして、“このこと書いてみない?”のひと言で、これまでとひと味ちがう商い話が、また動き出した。
[文責]八木匠
株式会社シンデン 専務取締役
Posted on 2025年12月26日(金) 11:48
コラム
AIとの付き合い方を学ぷ本
ここ1年ほど、AI関係のセミナーを何度か受講している。
iPhone のことを思い出したから。2007年に発売されてもうすぐ20年。あの頃といまとの変わりようを考えてみてほしい。携帯電話からスマートフォンが当たり前になってしまった。60歳近いとはいえ、このあとも働くことを考えると、いまついていかなければ社会から振り落とされる。そうならないために出来るだけAIに触れるように心がけている。
昨年秋には某大学のDX講座を受講して、AIを利用したドローン制御の話を聞いた。“こんなに自動化できるようになってきたのが”と驚かされた。
今では、動画・画像・チラシの作成などが当たり前になってきて、わたしたちの仕事も変わってきている。挨拶文などはすでに頼り切っている。記事などを書かせれば、読みやすい文章を書いてくる。ロボットと組み合わせた仕組みも出来上がってきており、物流倉庫などで使われ始めている。ピッキングを人間がやる必要がなくなっている。定型的な単純な業務から人間はどんどん解放されるだろう。
今はまだ、複雑で質の高い問いに関しては、AIがうまくさばけていない。が、簡単なことは上手にこなす。うまく利用すれば業務の効率化は進む。
また、ChatGPT Searchが出てきて「いま」の情報をネット検索するようになった。たくさんの結果から目的のものを見つけるより、フィルタリングされた結果をもらうほうが、はるかに楽だ。曖昧な記憶のまま“こんな惑じ”と聞いてみてほしい。自分では検索しきれないようなものでも、ある程度欲しいものを探し出してくれる。木を撮影して種類や剪定方法をきけば、くわしく教えてくれる。
言葉づかいも、わたしたちの個性を学習し、あわせた言い方をしてくれる。表やグラフなどの資料も人間がやるよりも数十倍早く作れる。
かなりAIを使えるようになったが、ちょっと手の混んだことをさせると壁にぶつかる。当たり前だが命令や質問を正確に伝える力がないと、望む結果が得られないのだ。自分の日本語がちゃんとしていないから、出してくる答えがこちらの意図通りではなくなる。まるで新入社員に仕事を頼んでいるときのようだ。
この問題に対応するには、AIに対して伝える力、書く力がないといけない。ここ最近、そう思うようになってきた。

業務にAIを使いたい、でも上手に使いこなせない。そんな経営者のための国語カアップの参考文献をご紹介したい。即効性はないが、続けることで確実に能力が上がる方法だ
「三行で撃つ〈善く、生きる〉ための文章塾」近藤康太郎著。
文章の書き方の本だ。ここには学校でならった作文の碁礎がたくさん示されている。学び直しにはいい。
わたしは、国語が得意ではなく、子供のころから作文などからは逃げ回っていた。数十年経って、いよいよ捕まってしまった。今、子供の頃のつけを払っている。時代は楽をさせてくれない。
[文責]石綱知進
株式会社共立 代表取締役