No.128_特集コラム

特集コラム

コロナが見せてくれたもの

思いもかけないものが思いもかけないものを見せてくれることがある。
昨年のコロナ禍は色々隠れていたものを加速させた。

1つには、経営者には自分たちのビジネスの強い点と弱い点をマザマザと見せつけられた。弱点を持っているビジネスは問題を大きくクローズアップされ、強みが内包されたビジネスはさらに強みが明らかになっていく、そんな1年。これから収束まではまだまだこの路線は続く。

社会構造の弱点も明らかにされた。少子化は加速し、病院が根本的に足りないことも露呈した。生活の変化が、精神に変調を起こす人があらわれ、逆に束縛から開放されていきいきとする人たちも出てきた。繋がりのあり方が人に影響することが目に見えるようになってきた。

リアルで会えないからやらないという選択をするもの、なんとか繋がりを持とうそして模索するもの。電話を使ったり、メールを使ったり、LINEを使ったり、FAXを使ったり。みんながアレヤコレヤと工夫をして対処していった。そんな中で昨年大きくクローズアップされたのがインターネット会議システムのZOOMというツールだ。

栃木同友会では2020年4月から段階的に、ZOOMを取り入れていた。主に経営労働委員会からはじまり、各支部でも行われるようになる。実際にビジネスの現場で取り入れた会員企業も現れた。営業ツールとして使うものもあれば、遠隔地との通信手段として使うもの、感染症対策として使うもの、使い方はそれぞれだ。

実際に使っている事例を会員企業から教えてもらうことがあった。営業系や福祉系での利用の例。特に福祉系ではZOOMを導入することで、対面で何かをすることがすごくプレッシャーだった施設の利用者が、より頻繁に施設の作業に参加するようになって来たという。そのことは6月ごろに教えてもらっていたのだが、その時点では、そういう事例があるんだなぁという感覚しかなかった。

ところが、先日インターネットラジオを聴いていたら、大学生の退学率が下がってきていて、例年よりも授業の成績が上がっているという。それは、いままでリアル対面では先生や同級生の前で発言できなかったり、目立つ子の影になって気にかけられていなかった子たちがZOOMを使うことで先生との1対1の関係性から“無視されていない”と感じるようになり、大学を退学しなくなり、学習意欲も高まっているということであった。

ここで、少し大きな視点で見ると、福祉施設の話と大学で起きていることがつながってくる。人は関係性があれば健やかに育つのではないか?ということだ。これは、どんな場合でも言えるのではないだろうか。家庭でも、仕事でも。
太田堯先生の生き物の特徴「ちがう」「かかわる」「かわる」がここでも顔を出す。
今までのやり方ができなくなり、新しいやり方が現れると、目立つプレイヤーがかわる。今まで目立っていた人とは「ちがう」人たちの登場だ。それが、先生や職員との「かかわり」の中で、自信をつける。そんななかから、それぞれが「かわり」はじめる。これは、経営者自身にも言えることだし、社員にとっても同じことだ。

先日の中同協主催、吉田敬一先生ZOOM講演では面白いことが起きていた。オンラインの講演なので、もちろん聴衆は画面の向こう。吉田先生からみたら無味乾燥な講演になるはずだった。最初は普通に資料をみながら聴いている。先生の話が進んでいくと、みんなの視線が上がってくる。画面の吉田先生を凝視する視線に変わる。画面の向こうの聴衆が話にひきつけられて熱を帯びるのがわかる。みんな
が変わっていく。

また、県央支部の例会ではZOOMを使った近況報告例会をおこなった。12名が参加。リアルで会えない状況の中、やはりお互いに話したいことがたくさん出てくる。数ヶ月押さえつけられていた思いが、話したいこと、聞きたいこととして溢れ出てくる。お互いに言葉をかけ合い交流がすすむ。楽しい時間だ。あっという間の2時間。みんなの気持ちが溢れ出ていた。

面白いものは面白いのだ。1年、実際に動いたことで、リアルかZOOMか、ではなく、どう関係を作っていくのかが大切だということがわかってきた。
リアルで会うこと、ZOOMで話すこと、それぞれに一長一短がある。特徴を掴み、うまく活用して行くことで私達は、まだまだやれることがある。

2021年度の総会はこの状況下、今までのように開催することは難しい。そんな中、ZOOMだけを使ったものになるか、ZOOM+対面のハイブリットになるかは今後の状況次第になる。
総会講演会ではパネルディスカッション形式をとり、昨年を振り返り今年を展望したい。その上で、グループ討論で参加したみんなの思いの丈をはなしてもらおう。
許されるなら本当は対面で行いたい。だめならば、この1年間で培ってきたZOOMのノウハウを盛り込んだものに挑戦してやろう。
皆さん、2020年度の栃木同友会の総決算をみてほしい。

[文責]専務理事
石綱知進

栃木県中小企業家同友会

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