No.130_特集コラム

特集コラム

「人間らしく生きる」

「生きる、暮らしを守る、人間らしく生きる」
赤石さんが同友会にのこしていった言葉。赤石さんは同友会の考え方の基本を創られた先輩方の一人だ。赤石さんは同友会にこの言葉でなにをのこしたかったのだろう。

故赤石義博さん(元中同協会長)は同友会の「人を活かす経営~労使見解」をつくったメンバーだ。同友会理念を仲間たちと一緒にわたしたちに、残してくれた人だ。同友会の中核にあるのは「人間らしさ」を追求することだ。

人の営み、生き物の営みの最大の目標は「存続すること」にある。最初の生き物から数億年経った我々の人間は「存続すること」という原則でつながっている。

金持ちであろうが貧乏であろうが、偉かろうが偉くなかろうが、どんな人種であろうが、この原則は変わらない。このつながりが一度絶えてしまっていれば、この先の道は絶対につながらない。

企業経営では、役割を明確にする。何をやるのかをはっきりさせる。やることに不足があったら利益はあがらない。企業のほとんどは営利企業だ。だから、利益を上げることが企業の目的になる。でも、ほんとに利益だけを追求していれば良いのだろうか。

人間の生きている本当の目的は「存続すること」。そのためには「生きる、暮らしを守る」事が必要になる。衣食住が満ち、その先に「人間らしく生きる」という人間に必要な営みが現れる。人が絶えてしまえば「人間らしく生きる」はない。

自分の関わる人にできるだけ「人間らしく生き」
てほしいと願う。これが中小企業家の多くの気持ちではないだろうか?人により守備範囲の広さが違うだけだ。自分の広さがどの範囲なのか、自分の力量はどのあたりか、それを見極めながら範囲を広げていく。そのためには目的を明確にし、自分のしたいことと出来ることを知ること。自分のしたいことは何かを知ることが必要になる。

役割をはっきりさせると、やらないことやってはいけないことも明確になる。やれることとやっていいことは違う。役割を超えて行動すれば問題が起きる。公共で取り扱う必要のあるものを営利企業がやれば問題が起きる。税というベーシックな収入がある政府や地方自治体と違って、営利企業は利益の上がらないものには投資をできない。生活の基礎というべき教育、医療、道路、水道などは社会資本と呼ばれていて完全な営利企業が運営することは難しい。短いあいだならうまくいくこともあるが、長い期間でみると、単に過去の蓄えを食いつぶしているだけで、数字の上で利益を出しているだけで、実態はやせ細っていくだけということはよくある。生活の基盤をつくることは、一朝一夕にはできない。どんなにお金を積んでも、時間の中で積み上げられたものは取り戻せない。丁寧に守り育てるしかない。阪神淡路大震災で、東日本大震災で、数々の地震で、コロナ禍でわたしたちはそれを体験してきた。

会社の、中小企業家の役割は何なのだろうか?人間らしく生きるためにはどうしたらいいのだろうか?赤石さんたちはそんな問いかけをずっとしていたのではないだろうか。

わたしたちは中小企業家の役割は何なのか?改めて、昨今の状況はわたしたちに「人間らしさとは何か?」といった宿題を突きつけてくる。

5月からはじまる「経営指針をつくる会」は、自分の会社のことを集中的に考えるいいチャンスだ。この機会に、自分の会社のことを深くかんがえてみませんか?

[文責]専務理事
石綱知進

栃木県中小企業家同友会

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