No.75_第33回 企業訪問(株式会社ビジュアル)

企業の「困りごと」をビジネスヒントに、
柔軟な企画力・発想力で新規事業に繋げる

株式会社ビジュアル(宇都宮市下川俣町)代表取締役 深澤 義雄 会員

平成3年(1991)3月、同社は企業紹介や社員研修、各種プロモーションビデオなど、映像制作を中心としたプロダクションとして創業しました。今でこそ、ちまたに映像があふれる時代となりましたが、当時、栃木県内においては先駆けだったそうです。

「創業当初、最先端の表現は注目を集めましたが、スポンサー企業は映像表現と自社のビジネスを結びつけるという発想がありませんでした。質の高いサービスであっても、時代に合わなければ仕事には繋がらないと感じ、その後、求人チラシに力を入れるようになりました」と深澤社長は当時を振り返ります。

今から20年以上も前、求人チラシはモノクロ1色刷りが常識で、掲載業種は大手メーカーを中心とした製造業がメインでした。また、栃木県内においてはすでに、求人チラシを扱う中堅企業が数社あり、確固たる実績と高いシェアを有していたそうです。そうした状況下で、後発企業である同社が取った方法は、求人チラシをカラー化することでした。

「求人チラシは文字だらけで、モノクロ印刷でも十分ですが、差別化するためにはたとえコストが掛かっても、カラー印刷にする必要がありました」

求人チラシのカラー化は全国初の試みだったとか。しかも、これまで製造業がメインだったスポンサーを、より生活者の暮らしに直結した「飲食業」や「サービス・販売業」などにシフトしました。

こうした試みは求人チラシの概念を大きく変え、例えば飲食店にとっては表現方法を工夫することで、店舗への来客を促す広告にもなるなど付加価値をプラス。やがて新形態のメディアとして捉えられるようになり、人材が欲しいときだけの出稿ではなく、「継続的な出稿は広告効果も期待できる」といった認識を植え付けることに成功。スポンサーの意識改革にも繋がったそうです。

現在同社は、新聞折込求人チラシ『Visual Press』、求人情報誌『Visual Free』などの求人関連メディアを中心に、クーポン付きフリーペーパー『情報マーケット』、子育て応援誌『ママトコドモト』、ペット情報誌『とちポチ』など、さまざまな切り口の媒体を手がけるようになりました。それぞれにウェブサイトと連動させ、幅広く情報発信するなど、常にコンテンツの充実を図っています。

「最近、取り扱う媒体は増えましたが、当社が目指すのは、求人屋でも広告屋でもありません。スポンサーが抱えるさまざまな『困りごと』を、持ち前の企画力・発想力でサポートし、新たなビジネスに繋げていく会社でありたいと思っています。同友会の理念とも一致しますが、陰ながら地元の中小企業を応援し、そのサポートに尽力していきたいですね」

創業当時、時代の10歩先を闊歩していた深澤社長は現在、スポンサーの半歩先を、後ろを振り返りながらマイペースで歩いているそうです。

栃木県中小企業家同友会

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