No.187_News Topic:栃木のNEWS

News Topic 02 栃木のNEWS

長野同友会塩尻支部道中記
(木曽路は遠かったです)

きっかけは、ある人の軽いひと言だった。

11月某日の昼すぎ、LINEが入る。

「新しい事務所を出したから、あそびに来ない?ひまだからw」

なんだそれ、と首をかしげたが、気は向いた。

理由は分からない。けど、こういう誘いは断りづらい。
「14時半なら行ける」と返した。

新しい事務所は、宇都宮市の住宅地の中。

ガレージハウスみたいな外観で、これまでの会社の場所を思うと、かなり意外だ。

外階段を上がってインターホンを押すと、本人が顔を出す。

なかに入ると、青いバランスボールがいす代わり、モニターが二台、うしろには本棚。

士業とか、クリエイターが好む空気だった。

ひと仕事をすませた彼が戻ってきたので、「なんでここに事務所?」と聞くと、ちらしを一枚出された。

作業着の猫がいて、今までの仕事とは違う文言が入っていた。

ここは新しい商いの拠点だった。

仕事の話、世間話、いろいろ話しているうちに、外は夕方。

帰ろうとしたら、また声がかかる。

「11月下旬に、長野の例会に行くけど、空いてる?あいてたら一緒に行かない?」

その日は、自分の誕生日だ。

予定はなかったので、OK した。

当日、自分は三十一歳。

その人を車に乗せ、塩尻に向かう。山に入ると、まこうして、あの人のひと言でひらいた誕生日の予定わりは暗い。

会場そばには保存地区の看板があり、ルートに迷いながら、なんとか奈良井の宿場町へ。

公民館には「熊注意」のポスター。

受付をすませ、名簿を見ると、四国からの参加者までいた。

話し手は同い年。「人が成長する条件」というテーマ。熱い話、こちらの胸も動いた。

そのあと、懇親会の「なべを囲む会」の案内があったが、場所が精密機械工場。

さすがに帰り道3時間はかかるので、ことわって帰る。

帰り道の運転中、日が変わり誕生日はしずかに終了。濃い霧の中をゆっくり運転する。

次の日はいつもどおり出社。

社員に「ねむそうですね」と言われる。

顔に出る自分に、ため息まじりの笑い。予定の管理は大事だと痛感した。

こうして、あの人のひと言でひらいた誕生日の予定は終わる。

そして、“このこと書いてみない?”のひと言で、これまでとひと味ちがう商い話が、また動き出した。

[文責]八木匠
株式会社シンデン 専務取締役

栃木県中小企業家同友会

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