No.197_News Topic:栃木のNEWS
Posted on 2026年11月3日(火) 13:31
News Topic 02 栃木のNEWS
栃木県中小企業家同友会10月県例会
30アールの畑が、16年で467倍になりました。そんな農業経営者の話を伺いました。

10月5日、鹿沼日光支部の設営で、栃木同友会の県例会をコンセーレで開催しました。報告者は、群馬同友会渋川吾妻支部の都丸悟氏で、株式会社トマルファームの代表取締役です。テーマは「自分で価格を決められる農業へ」。参加者は16 名でお子様連れの方もおり、ゲストは3名。女性が3名、農業関係者もゲスト含めて3名という、農業経営をテーマにした例会らしい顔ぶれとなりました。
都丸氏が就農したとき、お父様は農業をやめようとしていて、残っていたのは30 アールの畑でした。都丸氏は一度別の仕事に就いた後、群馬の農業法人「野菜くらぶ」で農業の経験と売る側の営業の経験を積み、農業経営を基礎から学びました。作る力だけでなく、売る力を先に身につけたのです。その後、お父様の農場を承継して独立し、事業を広げ、今は売上4億4千万円。畑は、約140ヘクタールになっています。
承継後の戦略は、具体的なものでした。北海道や九州といった大産地の出荷時期から少しずらし、品目も増やして、ほぼ一年中、畑に仕事がある状態をつくっています。雇用に見合う仕事をつくる、という発想です。農地は、耕作放粟地になる前に農家から借りて広げ、機械を入れて一人当たりの生産量を上げています。出荷先も農協だけに頼らず、生協など直接取引できる先を広げています。外国人材の雇用にも積極的です。
農協とは良い関係を保ちながら、自分で商流をつくっています。その結果が、価格決定力を持つ、つまり、より良い価格を自分で選べる立ち位置でした。私は、「価格を決める」というより、「価格を支配されない」と言った方が近いのではないかと惑じました。売り先も、作物も、一つではありません。年間を通じて作物が回るので、多少の変動があっても、従業員を雇い続けることができます。

設備投資の話も印象的でした。産地の組合が持つような大型の機械を導入し、約3 年で回収する計画とのことです。減価償却費は大きいですが、それでも、驚くほど速いスピードで成長していま
す。守りに入らない姿勢が、数字にも表れていると惑じました。
価格を決めるというより、複数の作物や販売先を組み合わせて全体で調整し、価値をつけていく力なのだとも受け取れます。
後半は、二つのグループに分かれての討論でした。女性の参加者を多めにしたグループに都丸さんも加わると、質問が次々に上がり、終わった後も立ち話が続くほど盛り上がりました。後日、ゲストの一人から、「皆様の考え方がしっかりしていて、とても勉強になった」と連絡をいただきました。女性農業者の集まりをつくろう、という話まで出ています。
実は、この例会は始まりにすぎません。10月23日には県央支部の例会があり、テーマは「農業は中小企業の未来を語る」。そして11月5日の県フォーラムでは、北海道のJA浜中町から、石橋榮紀元組合長が来てくださいます。ハーゲンダッツの原料に選ばれたJA を主導された方です。農業という切り口で、三つのイベントが続きます。
自分で価格を決める力を、どう手に入れるのか。農業に限らず、私たち経営者全員への問いだと思います。それぞれの会社に持ち帰って、考えるきっかけにしていただければ幸いです。
[文責]斎藤秀樹(副代表理事)]
株式会社ウィステリアコンパス


