No.183_コラム1

コラム

外国人労働者とインバウンドの現場から見える新たな風景
一行廣国際アカデミー・行廣智明社長インタビュー

かつて、近所のスーパーでは同級生の女子高校生がレジ打ちのアルバイトをしている姿が当たり前だった。しかし今では、そうした風景を見ることはほとんどなくなった。代わりに目にするのは、年配の方や若い外国人が働く姿だ。数年前から首都圏では一般的な光景となっていたが、ここ栃木県でもそれが日常になっている。

こうした変化の背景には何があるのか。外国人材の受け入れに長年携わってきた行廣国際アカデミーの代表取締役社長、行廣智明氏に話を伺った。

行廣社長は大阪外国語大学(現・大阪大学)ベトナム語科の出身で、学生時代にはベトナム留学の経験もある。卒業後は様々な事業に挑戦してきたが、一貫してベトナム人を中心とした外国人との関わり」を軸に
事業を続けてきた。現在は外国人材の人材派遣、日本語学校、専門学校の運営を手がけ、外国人材支援に関しては25年以上の経験を誇る。

外国人労働者のリアルな姿

「外国人労働者という言葉だけでは一括りにはできません」と行痰氏は語る。出身国によって価値観も目的も異なるからだ。

「日本人の多くは、彼らも日本で長く働くことを前提にしていると捉えがちですが、実際には‘‘お金を稼いで母国に帰る”という目的を持つ人が大半です。だからこそ、同じ職場で働くには、彼らの価値観を理解することが欠かせません」。

外国人材を単なる都合の良い労働力として見るのではなく、「どのように考え、何を求めて日本に来ているのか」を理解することが、共に働く上での出発点になり、外国人材との共通利益を開発できると行廣氏は強調する。

インバウンドビジネスの可能性

外国人労働者の受け入れだけでなく、行廣氏はインバウンドビジネスにも強い関心を持っている。

「最近は白馬やニセコといったスキーリゾートが外国人観光客、特に富裕層に人気です。いわゆる“観光地巡り’’をする一般客とは明らかに異なる層で、彼らは高品質な体験を求めて来日しています。そうした層をターゲットにしたビジネスの組み立てが進んでいます」。

また、現在注目されている観光地はすでに価格が高騰しており、次に狙うべきは「まだ目をつけられていない地域」だという。「価格が安いうちに魅力ある土地を押さえられれば、大きなビジネスチャンスにつながるはずです」と語る。

とはいえ、ビジネスを始めるうえで避けて通れないのが法規制との兼ね合いだ。「どんなに良いアイデアでも、法や制度に則った設計ができなければ前に進まない。法律を理解し、それに適合する形で組み立てることが鍵になります」。

「趣味だけではつまらない」人生の本質

仕事に打ち込む日々の一方で、行廣氏はかつて「趣味に全力を注ぐ」期間も過ごした。釣りが趣味の彼は、家族の理解を得て2年間、休日を釣りに費やす生活を送ったという。

「確かに楽しかった。でも、しばらくすると‘‘趣味だけの生活ってつまらない’’と感じるようになったんです。仕事があるからこそ、趣味も生きてくるんだなと実感しました。

また、私が力強く活動を続けられるのは、家族を支え、自らの夢や希望のために挑戦し続ける外国人材と誠実に向き合うことが、私自身の原動力となっているからです。」

すべては「人材が輝く場づくり」のために

行廣国際アカデミーの経営理念は明快だ。「仕事をつくり人材が輝く場をつくり未来を変える」

社長自身が、今も精力的に現場を飛び回り、実態を見て、肌で感じながら事業に取り組んでいる。

外国人労働者の受け入れにせよ、インバウンドビジネスの開拓にせよ、すべての根底にあるのは「人と向き合う」という姿勢だ。行廣氏の取り組みは、これからの地域経済と外国人材活用の在り方に、一つのヒントを与えてくれる。

 

[文責]石綱知進
株式会社共立 代表取締役

栃木県中小企業家同友会

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