Posted on 2022年3月31日(木) 10:00
News Topic 02 栃木のNEWS
~県南支部2月例会~
少数派意見を取りこむ姿勢こそが、
自主・民主・連帯の精神
2月22日(水)ZOOMにて県南支部例会が開催された。
まずは恒例の近況報告から主だった情報を行い、本年中での事業承継に伴う社長交代に関する話が2例でた。すでに交代完了し体制づくり中の例をくわえると3例、後継者も同友会に参加されだしたケースをふくめると過半数の6名が事業承継中に該当し、県南支部の中心テーマのひとつが事業承継である事が感じられた。次にコロナ禍で売り上げが落ちるなか10年前に種まきしていた仕事が大型案件があり、通常の20倍の売り上げがあったという報告があった。現売り上げの60%まで伸びている事例も報告された。一見非効率でも次の種まきに一定の注力をする事の重要性を改めて感じた。世界的な半導体不足は自動車部品の不足という形でトラックの生産に影響を及ぼしており結果として従来の不人気メーカーの在庫車両が、供給不足の市場で好調に売れているという逆巻き現象も報告された。現代の経営は本当に複雑だと感じる。
オブザーバーとして初参加された探偵業の個人事業主の方についても少し紙面を割いて紹介したいと思う。探偵ときいて一般にイメージされる浮気調査なども行うが、主な業務内容は企業による新規取引先企業の与信調査や、求人採用時の候補者の調査などが多いとのこと。帝国データバンク等が競合相手なのか?という質問には「帝国データバンクは基本ヒアリングの結果をそのまま載せている。真偽の区別まではされていないのでその情報の確認・裏取りを行う事も少なくない」とのこと。現在は一人で営業されているが複数人数が必要な時には同業者との連携で行うなど業界のネットワークが強固なようだ。興味のある方は事務局に問い合わせをして頂きたい。
続いて今月の座談会について。2月のテーマ「労使見解」の読み合わせとそれにつづく意見交換座談会だった。冒頭に県南支部所属である八木代表理事による同友会における労使見解の位置づけと重要ポイントの概略説明がなされ、そのあとに1章節ずつ全員で読み合わせをして意見交換するという進行だった。
労使見解は正式名称を「中小企業における労使関係の見解」と言い、大きくわけて8章節からなる文章で1975年に、当時の労働争議などの時代背景の中にまとめられたものであり、わが中小企業同友会の活動の中心をなす文章である。結論からいうと議論は非常に盛り上がり全8章節のうち2章節まででタイムアップとなった。
1章「経営者の責任」につづく2章「対等な労使関係」が大きな論点となった。社員を最大のパートナーとして経営に臨もうという内容について、ある社長からは「言いたいことはわかるが業界によっては必ずしも信用しきれない層の人(社員)たちが多数を占めており素直に首肯しかねる」という異論がでた。このくだりは我が県南支部では名物的であり近年恒例でもある。しかし今回は読み合わせをしていた中で感じるものがあった。第2章には労働者からの要求に関し「契約は双方対応の立場で取り交わされることがたてまえですから~(後略)」という文面がある。入会当時には「面白い文章だ」程度に思っていたが今回の議論と照らして労使見解が編纂された時にも今の県南支部と同じように首肯しかねた層がいた事が強く思い起された。労使見解の素晴らしいところは、そういった少数派の意見を切り捨てることなく文章の中に“ためらい”の様な表現で残していることである。それが一筋縄ではいかない現実の経営に対する厚みや懐の深さとなり時代をこえて現代でも通用する文章足りえていると感じた。
そして編纂当時より益々多様性を増していく現代の経営において、対立する少数派意見を一つの多数派意見で塗りつぶすことなく取りくむこの姿勢こそが、自主・民主・連帯という同友会の重んじる姿勢の体現であり、ポイントだと感じた。その意気、姿勢を忘れることなく会運営・自社経営に取り組んでいきたいと感じた。
[文責]タカマチ産業株式会社 専務取締役
山嵜俊也
Posted on 2022年3月31日(木) 09:00
News Topic 03 栃木のNEWS
~鹿沼・日光支部2月例会~
どんな時でも仕事はある
~ここで仕事をつくり、ここで仲間たちと生きる~
2月24日に開催された鹿沼・日光支部の2月例会の様子を皆さんにお伝え致します。今回の例会は「どんな時でも仕事はある!~ここで仕事をつくり、ここで仲間たちと生きる~」と題して、株式会社行廣国際アカデミー 代表取締役 行廣智明氏に報告を頂きました。
行廣氏は、広島県三次市で生まれ、大阪外国語大学(現・大阪大学)ベトナム語科を卒業後、外国人の就業支援をするお仕事をなされ、現在、外国人技能実習生、留学生、特定技能外国人、高度人材などの外国人材受入れ母体である監理団体(協同組合)、日本語学校(株式会社)、専門学校(学校法人)を直営(HPより引用)されている企業家です。通算25年以上外国人材の支援を行ってきたスペシャリストです。
と、行廣氏の経歴を紹介すると外国人労働者にフォーカスされた報告と誤解されそうですが、今回の報告はたまたま事業に従事する方々が外国人というだけで国籍を考えずに事業者と事業に従事する方々が取り組んだ実践報告です。
前置きが長くなりました。ここから例会の様子をお伝え致します。
報告の具体的な内容は、令和2年3月頃からコロナウイルスの影響で外国人留学生の入国が停止されたり、鬼怒川のホテルでアルバイトしていた留学生が雇止めにあったりと会社の収益に直結する悪い状況が発生し、売上げが前年比71%減という経験したことのない落ち込みで会社経営に多大なダメージを受け、そこから従業員、家族、会社を守るため、公的補助金の申請に奔走したということでした。皆さんの会社でもコロナウイルスによる売上げの大幅減少を経験されたのではないでしょうか。行廣氏は危機的状況の中で諦めずに外国人留学生のアルバイト先を変えたり、ゲストハウスに住む場所が無くなった留学生や外国人労働者を住まわせたりして彼ら彼女らの収入を得る支援を試行錯誤しながら続けてきました。しかし、感染の状況が第3波、第4波など感染者の減少と増加を繰り返していて状況が好転しないのが続いていたところ、懇意にしているホテル経営者の悩みから高冷地野菜農家と外国人の国内失業者や帰国困難者のマッチング事業を始め、これが功を奏し、会社の売上げが増加に転じました。ただ、高冷地野菜の収穫時期が6月から11月の為、12月から5月には彼ら彼女らはまた仕事がなくなるためこの期間の別の農家とのマッチングをする必要があり、栃木の名産である『いちご』がちょうどこの時期が収穫時期であることを調べて、高冷地野菜農業に従事していた彼ら彼女らといちご農家とのマッチング事業を行いこちらも好評を得て彼ら彼女らが失業することなく働くことができ、会社の売上げもコロナ前の売上げを超える状況になったとのことでした。
今回の例会の目的は、「どんな時でも仕事はある!~ここで仕事をつくり、ここで仲間たちと生きる~」とあるように、仕事になるような情報を平時から収集し、それを仕事にする経営者の判断を学ぶことでした。また、平時から経営者の視野を広げて情報を収集し、それを分析することの大切さも学ぶことでした。ただ、会社には従業員の方々がおり、その従業員たちにはその住む場所で生活があるので、会社が新事業のために自分たちの生活の場から離れた場所に移動されるとその従業員たちは条件によって働くことができなくて辞めざるを得なくなることもあるから、会社のある場所を変えずに新事業を立ち上げることの大切さも学びました。
グループ討論の結果を聴いていると、先に目的で挙げたようなことを学んだことが発表されました。また、社長の理念を従業員に言い続けることがピンチになった時に社長と同じ方向を向いて一緒に歩むことができることを理解されたことを発表されました。4グループの発表を聞いていて、今回、参加された皆さんに学んでほしいことが討論されたことが分かりました。
[文責]浅野知則司法書士行政書士事務所 所長
浅野知則
Posted on 2022年2月28日(月) 11:00
News Topic 01 全国のNEWS
~第52回中小企業問題全国研究集会 in 大分~
地方発!私たち中小企業家が未来を切り拓け!
〜誰一人取り残されない社会を創ろう〜
新卒採用で会社が変わる
2022年2月17日・18日の2日間に亘り、ZOOMで中小企業問題全国研究集会(以下「全研」)が開催された。
1日目は全部で8つの分科会が開催され、第5分科会「社員が育っているぞ。コロナ禍を乗り越えるんだ~雇用の責任を自覚し、働く環境を整えて、人が育つ会社づくり8年~」(株)アーム 代表取締役 阿萬英一氏(宮崎同友会設営)の報告に参加した。但し、阿萬氏が急遽体調不良となり、座長の(株)おりなす建材 代表取締役 那須久
司氏による代理報告となった。
阿萬社長は10代から建築現場で働き、結婚を機に宮崎県にUターンし、22歳で起業。当初は相次ぐ社員の退職・新人採用・その繰り返しの中で、同友会に入会し、経営指針を学び実践するも社員の退職が続いた。
阿萬氏は、2013年に愛媛で開催された共同求人委員会全国交流会に参加し「新卒採用で会社が変わる」という報告に驚き、2014年には宮崎同友会の共同求人委員会委員長として学び、2015年に新卒採用を実践。新卒者を採用したが、社内の協力が得られず2年で退職した。その時、赤石氏(元中同協会長)の言葉を思い出した「社員共育は薄紙を1枚1枚重ねていくようなもの、一人の社員が育つのに15年かかるよ」。それまで社長主体だった社員との向き合い方を改め、社員と共に、時間をかけて、会社の風土を作り、計画的に社員共育を行っていくという、当たり前のことに気付いた。
それからは、社員から提案される研修を積み重ね、新卒採用社員が疑問に思う就業規則とその運用を改め、社員からの信頼の元、共育ちの土壌づくり、多様な働き方、社員発案の新規事業の立ち上げを進めていった。
最も価値ある経営資源は知識(人)

(株)地域科学研究所
会長 木下光一氏
2日目の記念講演は、(株)地域科学研究所 会長 木下光一氏の報告。44年前、個人の不動産鑑定事務所として創業以来、業態を幾度も変えながら、経営理念を確立し、人材を育て、現在は地方の活性化をテーマに高い課題把握力と高度なICT技術を駆使して課題の解決を行政と協働して事業として行っている。
木下氏は採用・共育の重要性を次のように力説した。「現在は産業基盤社会がすでに終了した後の知識基盤社会で、最も価値ある経営資源は知識である。知識は人に付いているため、人を大切にしなければ企業は、成長はおろか存続すらできない。知識をどう企業に取り込み、活用するか。採用・共育の仕組みづくりが企業の生命線となり、やりがいある仕事を作ることで社員が学び続け、本人が成長できた実感を得られる場を作る。そして採用と共育は絶対にトップが関わり続けることが必要である。」
阿萬氏・木下氏は、社員主体の採用と共育の大切さ、そして経営はトライ・アンド・エラーの繰り返しの上での積み重ねであることを、共通して強調されていた。栃木同友会においてもこの討議ができる場が必要であると、強く感じた全研となった。
[文責]斎藤秀樹
(株)ウィステリアコンパス
Posted on 2022年2月28日(月) 10:00
News Topic 02 法改正のご案内
厚生労働省関係の主な制度変更を
社労士の八木澤氏が解説します

八木澤和良氏
ご存知の方も多いと思いますが、令和4年1月に法改正がありました。そして4月にも新たな法改正が控えています。ご存知の方にとっては確認の意味で、ご存知でない方はこの機会に、知って頂ければ幸いです。
まずは今年の1月に改正されたものから。
雇用保険マルチジョブホルダー
複数の会社で働いている65歳以上の方で、一か所の会社では雇用保険の加入の対象とならないが、2か所以上の会社を合計して雇用保険の対象となれば、本人の申請で雇用保険に加入できるというものです。端的に言いますと、「複数の会社で働く65歳以上」「2つの会社(1つの会社の週
労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の労働時間が20時間以上」の方となります。
会社としては普通の社員の方と同様に雇用保険料を徴収します。
傷病手当金の支給算化
傷病手当金という制度を聞いたことがある方も多いと思います。健康保険に入っている方が病気やケガで会社を4日以上休み、給与の支払いがない場合に、健康保険から給料のおおよそ6割が支払われる制度です。支給期間は、支払われた日から最長1年6カ月。この1年6カ月には、職場復職して再度同じ病気やケガで休まなくてはならなくなったときに、その職場復職した期間も含まれます。令和4年1月から、この支給期間が通算化されました。つまり、職場復職して再度同じ病気やケガで休まざるを得なくなったとき、職場復職期間を除いて支給期間がカウントされることとなったわけです。
続いて今年の4月に改正されるものをみていきます。
パワーハラスメント防止措置
大企業では既に義務化されているパワハラ防止措置ですが、4月1日から中小企業も対象となりました。パワハラ防止措置は、「①事業主の方針等の明確化および周知・啓発」「②相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」「③職場におけるパワハラに関する事後の迅速かつ適切な対応」「④併せて講ずべき措置」というものです。詳細は割愛しますが、パワハラ防止の策定や相談窓口の設置が求められます。
改正 育児・介護休業法
今年はこの育児・介護休業法の改正が目玉かもしれません。以下の5項目が順次施行されます(②⑤は令和4年4月1日から、①③は令和4年10月1日から、④は令和5年4月1日から施行)。
①男性の育休取得促進のため、子の出生直後の育児休業の創設(出生時育児休業。(通称:産後パパ育休))
②育休を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け
③育児休業の分割取得
④育児休業の取得の状況の公表の義務付け
⑤有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
等の措置を講ずるものです。
労働法は毎年のように法改正があり、対応するのが大変ではありますが、法に則った会社作りが、従業員にとって働きやすい環境となります。
[解説]八木澤和良
八木澤社会保険労務士事務所
Posted on 2022年2月28日(月) 09:00
News Topic 03 栃木のNEWS
~県南支部1月例会~
「いま、気になってること座談会」
1/19(水)ZOOMにて新年初となる県南支部例会が開催された。
久々に顔を合わせるメンバーも数名。都合により傍聴のみの者もふくめ11名が参加した。今回の座談会テーマは「いま、気になっていること」。県南恒例の近況報告も合わせ、今回も様々な話がでた。
ネット型求人サイト
最初の盛り上がりはネット型求人サイトでのトラブルの話から。
電話営業をかけてきたネット型求人業者に「半年間だけ利用する」と話し契約したつもりだったが、その後50万円弱の請求書が届く。自動更新になっていた。業者側は契約書に書いてあるでしょとの言い分で話は平行線。別の会員から「ウ
チにも同じ業者から電話がきたが、ネットで調べたら評判がよくなかったのでやめた」との声。求人事業者関係でのトラブル事例は全国的に頻発しているようだ。
電話営業の業者を利用する際にはネットで評判を調べるなどの防護措置をとりたい。ちなみに結局1人も採用にいたってないとのことで、ネット型求人サービスでは結果が保証されないので空振りのリスクがあるという話に。逆に、「就職したら手数料を払う一本釣り方式」の方が、ハズレが少ないとの声があった。
手数料は雇い入れた者の年収の3~5割がひとつの目安。10割という例もある。すぐに退職した場合は在籍期間に応じて返金される仕組み。5割は高いとの声が多かったが、都内では年収が200万円に満たない層の可能性が指摘され、単純に割合で考えるのではなく額面で妥当性を考える必要性がありそうだ。
ホームページ作成会社の会員からは、「副業として自分を売り込みにくるIT系会社員が増えている」との話があった。「試しに要件をだして見積りをさせてみると納期は出せるが、金額で提示することができない人ばかり」との話。経営者でも売価の設定は難しい。副業が普及する社会だが、自分のスキルを売りたいという会社員にも、売価設定を意識することは難儀なようだ。
「若者と企業を丁寧にマッチングできればビジネスチャンスになるよね」という話題にもなったが、弱電屋(通信や宅内配線などの電気業者)の会員からは、「やるとなれば全国を対象にサービス網を構築しないと、利益がでるビジネスにするのは難しい」との意見もあった。
サブスクビジネス
「昔の着メロ月300円など、目立たず、契約していても忘れられてしまっているような、堅実にかせぐ小額サブスクや、ライフライン化するようなサブスクビジネスはどうなのか?」という問いかけに、「60歳以上の社長になると、そもそもネットを利用できない者も多いが、やらざるを得ないIT雑務は増加している。そのサポートをサブスクビジネスとするのはどうか?」という意見がでた。直接対面してサポートするビジネスへの要求も高まっている、そこに中小企業の出番もある筈だ。
保険業の会員の話では、「お金が貯まらない人」が増加中とのこと。支出を見ると少額の使途不明金の積み重ねで正体不明な出費が多いとの事だった。月額定額性のサブスクサービスの普及によるものも多そうだ。サブスクはやめ時が難しいとの意見もあり、それゆえに経営視点では魅力的で、消費者視点では食い物にされている感もあるという感想もでた。
いろんな意見を聞けて満足感のある例会になったと思う。

県南支部1月例会ZOOM風景
[文責]山嵜俊也
タカマチ産業(株)