No.195_コラム
Posted on 2026年9月7日(月) 15:37
コラム
農業経営と中小企業経営
8月上旬。11月5日の経営フォーラムの報告者である石橋氏とZoomで打ち合わせをした。北海道で元JA理事長を務めた86歳の石橋氏は驚くほど未来を見ている。短い時間であったが、農業の過去と未来を語っ
てくれた。
わたしは設備業者なので、農業には疎い。打合せの後、石橋氏に講演内容をお願いするために戦後日本の農業の概観を調べてみた。どうやって調べたら良いのかわからなかったので、まずはAIに以下のような質問を入れてみた。「ここ40年の農業政策で、大きな転換点と言えるものを年代順で挙げてください。」「北海道農業と照らし合わせた場合に、どう見えてきますか?」そうすると、AIは以下のように答えた。
・「保護・価格維持を中心とした農政」から、「市場・経営体重視」、さらに「食料安全保障・持続可能性重視」へ、この40 年でその様に移ってきた。
・北海道農業と重ねると、日本の農業政策の40年はかなり違った姿に見える。結論を先に言うと、国が1990年代以降に目指した「大規模化・専業化・担い手への農地集積」は、北海道ではすでにかなり進んでいた、ということ。逆に2020年代の「食料安全保障」になると、北海道の重要性がもう一度大きく上がってくる。
そして、「効率的で安定した農業経営体を育成する」
という一言がでてきた。
あれ?どこか中小企業向けの施策と似ている。そう感じたので、さらに以下のような質問をした。「農業政策と中小企業政策が同じベクトルを持っているように見えますが、どうでしょうか?」
AIは答えた。
・はい。かなり同じベクトルを持っています。しかも単に「似ている」というより、1990年代以降の農業政策と中小企業政策は、日本の産業政策全体の同じ思想転換から出ていると見ると理解しやすいです。大きく言えば、「広く一律に保謹する」→「自立・競争カ・生産性を高める主体に重点支援する」→「しかし、それだけでは地域も供給基盤も維持できないので、小規模主体の持続も再評価する」という流れです。
という回答だった。今、農業政策ですすめられている「適正価格・省力化・スマート農業」は中小企業政策で見れば、「価格転嫁・省力化•DX ・賃上げ」にあたる。どちらかといえば、農業政策のほうが中小企業政策よりも少し先に進んでいるようだ。農業における大規模化に相当するのは、中小企業では2024年版中小企業白書では100億円企業の育成だろう。
そう考えると、某氏が「人口減少の観点からして、小規模事業者の中でも中堅企業にはならない、なろうとしない、慢性的な赤字企業はただの寄生虫ですから、退場してもらったほうがいい」、「中小企業は消えるしかない」といっていたのは、そういったことの地ならしだったのか。
北海道の農業は他の場所から見れば人口減少や担い手不足が先行する。だから、見方を変えれば、北海道で起きていることはわれわれ中小企業経営者にとっての先行指標になる。すでに北海道は米どころになってかなり経ち、今ではにんにく・さつまいも・落花生なども栽培され始めている。従来は道内で育てにくいとされていたものが、気候変動で状況が変わってきている。
北海道農業のように、われわれの経営の足元も変わってきていないか?
11月のフォーラムでは、参加者それぞれが、今の自分の状況を考えるきっかけになればと考えている。
[文責]石綱 知進(専務理事)
株式会社共立 代表取締役


