No.189_コラム
Posted on 2026年3月5日(木) 16:33
コラム
今月の書籍紹介
AIと上手につきあうためのヒントになる本
みなさんは「AI(人工知能)」を使ったことがありますか。人工知能とは、人間のように考えたり答えたりするコンピューターのことです。最近はテレビやインターネットでもよく取り上げられ、この数年で驚くほど進歩しました。私が使い始めた約3 年前と比べても、その変化の大きさには目を見張るものがあります。
「ChatGPT」という対話型AI をご存じでしょうか。文章で質問すると、人と会話しているように自然な言華で答えてくれるサービスです。2年ほど前は、もっともらしい誤情報、いわゆる「ハルシネーション」を返すことも多く、正直あまり信用できないと感じ、一度使うのをやめました。
しかし現在はまた使い始めました。すごく優秀になってきているからです。「その情報のもとになった資料を教えてください」と求めれば、理由や出典を示しながら説明してくれるようになっています。知らない言葉をたずねればわかりやすく教えてくれますし、「さらに詳しく」と頼めば、より深く掘り下げてくれます。問いかけ方しだいで、答えの質も変わります。
もちろん完璧ではありません。最終的には自分で本や資料を確かめる姿勢が必要です。それでも、正しく使えばAIは学びを助ける強力な道具になります。
AIには無料版と有料版があります。有料版では会話の蓄積をもとに応答が行われ、自分に合った答えが返ってくるようになります。使い続けるうちに、まるでAIを育てているような感覚さえあります。ただし、日本語資料の検索や、歴史の流れを踏まえた総合的な判断、新しい発想を生み出すことは、まだ人間のほうが得意な面もあります。
何より大切なのは、使う人の知識や思考力が結果に大きく影署するという点です。便利だからと頼り切れば、自分で考える力は弱まります。AIは「何も知らなくても助けてくれる道具」ではなく、「考える力を持つ人がさらに成長するための道具」なのです。そこでおすすめしたいのが、渡邊雅子さんの『論理的思考とは何かj (岩波新書)です。AIを使いこなすには、筋道を立てて考える力、すなわち論理的思考が欠かせません。本書は、論理の形が世界共通ではないことを示しています。アメリカでは結論を先に述べ、日本では理由を積み重ねて結論に至るなど、文化によって道筋は異なります。
AIもまた、私たちとは異なる論理で動いています。考え方の違いに気づくことが、AIとの対話を深め、人とのコミュニケーションを豊かにする第一歩になるのです。
[文責]石綱知進
株式会社共立 代表取締役


